沖縄県知事選への立候補を表明し、政治活動を続けてきた下地幹郎元衆院議員が、告示を目前にして突然、出馬を取りやめた。
前稿では、下地氏と自民党幹部が交わしたとされる政策合意について検証した。
そこに並んでいたのは、
1. 沖縄県の子どもの貧困対策予算300億円の確保
2. 沖縄本島鉄軌道の5年以内の着工
3. 2030年G7サミットの沖縄誘致
4. 辺野古移設工事の2036年終了と、その後の普天間基地返還
という、沖縄県民にとって極めて重大な政策だった。
しかし、その文言は「実現する」ではない。
「実現に向けて努力する」である。

財源も、期限も、責任主体も、実現できなかった場合の政治責任も明記されていない。
言葉は大きい。
だが、保証は薄い。
そして今回、さらに見過ごせない問題が浮かび上がる。
下地氏の知事選撤退に伴い、次期衆院選で自民党の「九州比例1位」に処遇するとか、その前に副知事ポストの合意があったと報じられている点である。

「沖縄のため」だけなら、なぜ九州比例1位が必要なのか
下地氏は、政策合意によって沖縄の課題を前進させたと説明するのかもしれない。
しかし、県民が知りたいのは、政策合意の看板ではない。
なぜ知事選撤退と、下地氏自身の次期衆院選における処遇が同時に語られているのか。
ここである。
子どもの貧困対策も、鉄軌道も、G7サミット誘致も、普天間基地返還も、沖縄県民全体に関わる問題だ。
一方、「九州比例1位」は、下地氏個人の政治生命に直結する。
もし本当に「沖縄の政策を実現するための決断」だけだったというのであれば、なぜそこに本人の国政復帰への道筋まで必要だったのか。
政策とポストを一つのテーブルに載せた瞬間、県民から疑念を持たれるのは当然である。
県民のための政策を勝ち取ったのか。
それとも、知事選撤退と引き換えに、自らの国政復帰への切符を手に入れたのか。
下地氏には、この核心について曖昧な言葉ではなく、具体的な説明が求められる。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次