トライアル東証一部上場目指す 韓国から中国展開へ
2018までに東証一部上場を目指し、成長を遂げているディスカウントストアを展開するトライアル。福岡から関東・北海道へ展開して今や136店舗を全国に構え、海外にも韓国に5店舗開設している。
同社では、その韓国で2014年までに100店舗まで拡大していくという。よほど韓国が好きなのであろう。
韓国のディスカウトストアも強烈。最大手ディスカウントストアのEMARTが、液晶のバックライトにLEDを使用した地デジ「ドリームビューTV」(PB)(32インチ、解像度1920X1080Full-HD)を、49万9000ウォン(約3万5,000円)で販売。サムスンやLGの32インチLEDテレビに比べて20万ウォン(約1万5,000円)ほど安い価格であったことから用意した5,000台があっという間に売れてしまったという。
韓国でも来年末に地デジに切り替えられることから、今後とも熾烈な価格競争が続くものと思われる。なお、ドリームビューTVは台湾のTVP社がOEM生産にあたっている。
こうした土壌へのトライアルの本格進出は、同社にとっても流通網も含め、今後の展開に大いに役立つと思われる。
また、同社は運営システムを自社開発しているが、そのシステム開発基地は中国煙台・青島に有している。仕入などの海外貿易部門もソウル、大連、青島、上海、義烏、広州、台北などに配置、海外品を大量に輸入販売、利益率の高いPB商品にも注力している。
そうしたなか、来年には、いよいよ中国へ進出する。
ところでトライアルの決算書を見てみると、ずうっと右肩上がりの売上高を計上している。しかし、気になるのが販管費率の増加である。低価格を売り物にするディスカウントショップにあり、ローコスト運営は必然。しかし、同社も15%の大台を超えてきている。これまでは、M&Aなどにより、建物償却が進んだ物件等を取得しながら売上高を増加させ、また、閉鎖されたスーパーなどに入居して、最大限店舗コストを抑えてきた。しかし、今後も同じ政策で売上高を伸ばしていけるかは、疑問とするところである。自社で店舗を開発すれば、自ずと全体の販管費率が上がるようでは経営は持たなくなる。やはり、粗利率の改善がまだまだ必要である。
5,076億61百万円売上げるドン・キホーテは、粗利率が25.42%あり、販管費も20.43%ある。販売価格も若者をターゲットにしていることからかトライアルより商品価格は高く、それでも売れる店舗作りが特徴となっている。安く販売されているように見えるのだが、しっかり粗利率は取っている。ドン・キホーテもローコスト運営となっているが、人件費外に店舗の償却費用などもあり販管費率は20%前後かかっているのが実情である。
トライアルがこれまでに改善してきた点は、生活用品でのPB商品拡充により、粗利率を5年間で2ポイント上昇させたことにあろう。しかし、ルミエールに見られるブランド品の比率が、同社では段々低くなってきている。PB商品や中国製ばかりが幅を利かし過ぎると、客の購入は限定されるものになる可能性がある。中国製の安物は、やはり品質的にも安物が殆どで、いくら中国製でも高く見られるものを安く販売しなければ、同社の存在価値は限られるものとなる。日本製中心の生活雑貨品は、他店舗価格と比較されてしまうが、それでも一定の利益率が稼げる仕入力も必要であろう。
トライアル決算推移5ヶ年
|
|||||
単体/百万円
|
2007年3月
|
2008年3月
|
2009年3月
|
2010年3月
|
2011年3月
|
売上高
|
130,092
|
150,400
|
171,100
|
209,654
|
238,415
|
原価
|
109,882
|
126,043
|
144,329
|
175,958
|
197,376
|
原価率
|
84.46%
|
83.81%
|
84.35%
|
83.93%
|
82.79%
|
粗利
|
21,002
|
24,356
|
28,920
|
36,176
|
43,293
|
粗利率
|
16.14%
|
16.19%
|
16.90%
|
17.26%
|
18.16%
|
販管費
|
19,333
|
22,787
|
27,974
|
32,572
|
39,313
|
販管費率
|
14.86%
|
15.15%
|
16.35%
|
15.54%
|
16.49%
|
営業利益
|
1,668
|
2,597
|
946
|
3,604
|
3,980
|
営業利益率
|
1.28%
|
1.73%
|
0.55%
|
1.72%
|
1.67%
|
経常利益
|
1,687
|
2,566
|
1,004
|
3,690
|
3,947
|
経常利益率
|
1.30%
|
1.71%
|
0.59%
|
1.76%
|
1.66%
|
当期利益
|
844
|
1,277
|
418
|
2,825
|
7,177
|
単体/百万円
|
2007年3月
|
2008年3月
|
2009年3月
|
2010年3月
|
2011年3月
|
有利子負債
|
9,186
|
18,930
|
17,427
|
15,623
|
16,147
|
社債(年)
|
90
|
440
|
440
|
540
|
475
|
短期借入
|
4,675
|
4,445
|
1,888
|
420
|
230
|
長期借入(年)
|
1,236
|
2,627
|
3,050
|
3,576
|
3,948
|
社債
|
315
|
1,305
|
920
|
880
|
1,005
|
長期借入
|
2,870
|
10,113
|
11,129
|
10,207
|
10,489
|
有利子負債率
|
26.86%
|
41.58%
|
33.44%
|
26.39%
|
24.17%
|
純資産
|
1,424
|
2,701
|
6,120
|
8,886
|
16,170
|
資本金
|
449
|
449
|
1,949
|
1,949
|
2,123
|
純資産率
|
4.16%
|
5.93%
|
11.74%
|
15.01%
|
24.21%
|
総資産
|
34,205
|
45,523
|
52,113
|
59,193
|
66,802
|
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
コメントする