富士フイルムは10月1日、米バイオ企業VLPセラピューティクスの日本子会社から、新型コロナウイルス向けワクチン候補の製剤の製造を受託したと発表した。
VLPセラピューティクスは日本でワクチンの治験を予定しており、治験で使用される薬を提供する。
VLPワクチンは、米VLP Therapeutics社の共同創業者の赤畑渉博士が作ったより安全で効果のあるウイルスの殻(VLPワクチン)、体内の免疫力を上げてガンを治療する新薬「オプジーボ」を人間の体内で作らせるのと同等の効果を持つという。
マラリア、デングなどの感染症や癌など人類の敵である病気の根絶を目指し、PD-1やPD-L1も応用したがんワクチンも研究中。新コロナウイルスワクチンにも展開している。
<赤畑渉博士略歴>
1997年東京大学教養学部基礎科卒業後、京都大学大学院人間環境学研究科に入学、速水正憲教授のもとHIVワクチンの開発研究、博士号取得。
2002年から2012年まで、アメリカのNational Institutes of Health(国立衛生研究所)のVaccine Research Center(ワクチン研究センター)に勤務。
2009年よりVLP (Virus-like Particle, ウイルス様粒子)を使ったチクングンヤ熱のワクチンを開発。
研究成果の論文が、科学雑誌「Nature Medicine」に掲載され(VLP の写真が表紙を飾る)、世界的に注目される。
2010年、チクングンヤウイルスワクチン開発でNIHワクチン研究センター賞。
2012年、チクングンヤウイルスワクチン開発、他3種類のアルファウイルスワクチン開発でNIH の最高賞である、NIH-Director's Award受賞。
2013年、VLPを使って新薬を開発するため、米メリーランド州(ワシントンD.C.郊外)にVLP Therapeutics を創設し、CEO就任。
(ノーベル医学賞に一番近い人の一人)
<米子会社でもワクチン製剤受託生産>トランプ大統領訪問
米政府は2020年7月27日、富士フイルムホールディングスの米国子会社による新型コロナウイルスのワクチン生産を支援するため、約2億6500万ドル(約280億円)を拠出すると発表した。
当日、トランプ大統領が富士フィルムのノースカロライナ州モリスビルにある医薬品原薬や製剤の製造子会社「フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ」の拠点工場を訪問し表明。同工場でもコロナワクチン開発会社からワクチン製剤を受託生産することが決定していた。
なお、米国子会社の新コロナウイルスワクチン製造の受託は、米VLPセラピューティクス社が開発しているワクチンなのかは不明。
「世界は一つずつ、変えることができる。Value from Innovation」