日本の感染者減に諸説が解説されている。
マスク等、日常の防疫意識の高さ説
ワクチン接種完了率の向上説
新コロナウイルス・デルタ株の自滅説
今度は自然感染説が語られている。
自然感染した人たちが多く、現在までに172万6千人が感染し、170万7千人がリカバリーしている。
こうした人たちの生活の動きは、感染前と変わらなくなっている。そうした人の動線の中で、同じ空間を共有(列車や職場など)している割合が高く、一度自然感染した人は免疫力が付いており、人工的に免疫による感染抑制力を増したワクチン接種者との相乗効果により、感染する人が少なくなり続け、こん日の感染者数となっていると論じている。
いくら防疫力を強化しても感染リスクがあり、パンデミック下では防疫対策は唯一無二の方策ではないとしている。
また、自然感染により獲得した免疫は、ワクチンより長期間機能すると見ているようだ。
厚労省発表値
|
2021年11月24日0時現在
|
累計感染者数
|
1,726,624
|
累計隔離解除数
|
1,707,182
|
累計死亡数
|
18,351
|
現在感染者数
|
1,091
|
入院数等
|
421
|
うち重症者
|
58
|
確認中
|
670
|
日本のワクチン接種完了率
|
日本
|
人口比
|
高齢者
|
6月末
|
14.1%
|
|
7月末
|
30.0%
|
|
8月末
|
46.4%
|
|
9月末
|
60.1%
|
|
10月末
|
72.4%
|
|
11/24現在
|
76.4%
|
91.3%
|
日本の感染者数の推移
|
|
累積感染者数
|
月感染者数
|
日当たり
|
4月
|
592,926
|
117,685
|
3,923
|
5月
|
746,642
|
153,716
|
4,959
|
6月
|
799,737
|
53,095
|
1,770
|
7月
|
926,758
|
127,021
|
4,097
|
8月
|
1,494,524
|
567,766
|
18,315
|
9月
|
1,705,223
|
210,699
|
7,023
|
10月
|
1,722,511
|
17,288
|
558
|
11/24日
|
1,726,355
|
3,844
|
160
|
しかし、この論は一理あるがすべではないだろう。
感染リスク者に自己防疫力があるからこそ感染拡大を防げ、自然感染とワクチンにより感染抑制力を増した人とともに共存し、ウイルスが感染先を見つけられず、自滅していったと見るほうが懸命ではないだろうか。
日本の感染者数は172万人、これは検査で明らかになった人たちであり、確認されなかった無症状者など同等以上にいるものと見られる。それでも人口の3%弱にしかならない。
東京都の場合でも、人口1404万人との比では、累計感染者数の公表値は38万2千人、倍と見ても76万人しか成らず、5.4%ほどしかならない。
しかし、こうした人が、家から、列車に乗り、職場に行くというワンパターンで生活している人たちがほとんどで、そうした感染リスク環境で、自然感染した人も含めワクチン接種者も高く、接種未完了者やワクチン接種者でも自己防疫を続けた結果、ワクチンの有効期間切れ前にウイルスが減少したものと見られる。
ワクチンの初期有効率も比較して高いファイザー製(デルタ株に88%)やモデルナ製(91%)だったことも激減に貢献したものと見られる。
ただ、それでもインドネシアの感染激減は説明できず、国立遺伝学研究所が発表したウイルスが持つゲノム修復酵素nsp14を、人が持つAPOBEC酵素が働き、nsp14酵素の機能を狂わせウイルス自体が修復できず自滅したという説も、日本とインドネシアを見る限り説得力を持つ。
同研究所によるとnsp14に作用するAPOBEC酵素(10数種ありその一つ)は東アジアやオセアニアの人に多くあるとされる。
それでは感染者数が高い韓国、ベトナム、タイ、マレーシアなどでは機能しないのかということになる。
例えそうであったとしてもあくまで自然感染による免疫力とワクチン接種の中和抗体による免疫力、強化された自己防疫により、日本の感染者は急減したものと見られる。
ただ、インドネシアの場合は、ワクチン接種完了率はまだ低いなか感染者数は激減している。
感染者数は6月1日は4800人、7月15日には5万6700人が感染、10月20日には1000人を切り、最近は500人以下で推移している。
ワクチン接種完了率は8月末13.0%、9月末18.5%、10月末26.7%、11月23日現在32.8%に過ぎない。それも初期有効率が低い中国製ワクチンが主を占めている。
謎だらけだ。
APOBEC酵素が鍵だとしたら、当該のAPOBEC酵素を人工的に製造し、ウイルスのnsp14酵素に作用する、接種や投与の酵素剤として開発したら、ワクチンではなく、この酵素の人工的製造者こそが世界のパンデミック撲滅の最大の功労者になり、ノーベル賞ものになることだろう。
今後の未知のウイルスに対しても開発がパターン化されることにもつながる。
国立遺伝学研究所および新潟大学の創薬における富岳利用に期待したい。
※日本の激減を自然感染説としたのは、慶北大学医学部予防医学科のイ・ドクヒ教授。
以上、