石油輸出国機構(OPEC)プラスは5日、閣僚級会合を開き、6月も日量43万バレルの小幅増産にとどめることで一致した。
(OPECは3月、今年9月ころには新コロナ以前の水準に戻るだろうと報道官が表明していた)
前日に欧州連合(EU)がロシア産の石油の輸入禁止を打ち出し、原油市場は高騰しているが、OPECプラスは大幅増産を見送った。
会合に先立つ4日、OPECのバーキンド事務局長は、生産者と消費者の双方にとって安定したエネルギー市場が大事だと指摘していた。
OPECプラスの参加国には、「多国間主義を引き続き支持することを求める」と協調を呼びかけていた。
原油はロシアによるウクライナ侵攻後に急騰している。国際指標となる米国産WTI原油の先物価格は3月上旬に一時1バレル=130ドル台をつけた。足元では100ドルを超える水準で取引されている。(OPECの決定を受け5月5日のWTI先物価格は110ドル/パレルまで上昇/6日は108ドル台で推移している)
米国や日本など主な消費国は大幅な増産を期待するが、サウジアラビアとロシアが中核のOPECプラス側にその機運は乏しい。
以上、
報道が久しく歪曲化され、OPECを悪者にしているが、2016年に米原油輸出解禁も含め、過剰供給で原油安に陥った時に、米国は減産を表明したOPECに同調せず、ロシアが減産に答えた経緯があり、その後OPECはロシアを含めOPECブラスという表現となった。
OPECの生産量は世界全体の41%でしかなく、イランやベネズエラは制裁を受け、輸出量が限定されている。
<問題の核心>
問題のすべては、最大の生産国である米国が増産スピードを上げないことにある。それはバイデン大統領と石油業界が犬猿の仲になっていることに起因している。そもそもバイデン大統領は化石燃料を忌み嫌い、トランプ前大統領が認可していたカナダからメキシコ湾岸の製油精製施設に至るパイプライン敷設を大統領就任直後にパフォーマンス的に取り消したことに対立が激化したままになっている。
↓米国の原油生産量(BBL/D/1K:::米EIA)
日本の報道機関はOPECばかり攻め立てているが、実際は世界一の原油生産国である米国が、価格が高騰しているにもかかわらず生産を増加させていないことに起因している。
とどのつまりは、サウジアラビアどころかベネズエラに対しても規制緩和を条件に増産要請するなど、どこ向いて政治しているのか本末転倒、チギハグな外交を行っている。ベネズエラはOPEC設立時からの加盟国であり、割り当て分以上には生産しない(未達分があればその分は輸出を増加させようが・・・/ただし現在は中国傘下にある)。
スクロール→
米国の原油掘削リグ数の稼動推移/ベーカーヒューズ社
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末基準
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稼動数
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原油価格
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2019/12月
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677
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59.80ドル
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2020/4月
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378
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16.71ドル
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新コロナショック
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2020/8月
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172
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42.42ドル
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新コロナ
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2020/12月
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267
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47.09ドル
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2021/6月
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372
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71.40ドル
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新コロナ経済回復
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2021/12月
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467
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71.53ドル
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2022/1月
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495
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82.86ドル
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2/28日
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522
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92.05ドル
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ウクライナ問題
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3/8日
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519
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124.66ドル/高値143.03ドル
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3/31日
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531
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100.28ドル
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IEA国家備蓄放出
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4/11日
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546
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93.35ドル
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4/13日
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546
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101.00ドル
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5/5日
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552
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110.00ドル
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・現在の掘削リグは効率の良いリグを稼動させており、原価は30ドル前後。概しても40ドル前後/原油価格はWTI先物価格
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