アイコン 選挙コンサルへの支払い問題 長崎県知事の答弁拒否が抱える政治的リスク(2022年12月9日~言論サイト『論座』郷原信夫)その2

Posted:[ 2023年1月19日 ]

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2022120700007.html

 

大石
【捜査対象者だと県議会で自ら認めている大石けんご知事】

 

 



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郷原元検事

「電話代」以外が含まれるのかという客観的事実は捜査に影響するか
郷原信郎 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

 

 

 

大石知事本人は、被告発人とはなっておらず、直接捜査対象とされているわけではないが、今後の捜査の進展によっては、本人にも嫌疑が及ぶ可能性もある。したがって、大石知事には、今回の告発事件についても、「黙秘権の保障」があり、答弁を拒否すること自体は、法的、政治的責任を生じるものではない。
 しかし、告発されている事件の内容と、これまでの答弁の経過からすれば、ここで402万円の「電話代」の中身について、全く説明しなかった(できなかった)ことで、公選法違反の嫌疑は一層高まり、知事として致命的な事態となったと言えるのではないか。
 まず、一般論として、公職にある者が、その地位にかかわるような犯罪の嫌疑について質問を受けた場合に、答弁を拒否できるのか、できるとすれば、どのような理由によるのかを考えてみたい。

まず大前提として言えることは、選挙で選ばれた公職者は、その職にあることについて疑念を持たれるような問題が指摘された場合には、それに対して、有権者の納得が得られるよう説明を尽くすべき義務があるということである。

 地方自治体の首長の知事にとって、県議会は、二元代表制の地方自治では、県民の代表である知事と、もう一方の県民の代表である県議会議員との討議の場であり、知事は、議員からの質問に対して、基本的には、真摯に誠実に真実を答えるべきであることは言うまでもない。

 一方で、このような場面で答弁拒否が許される最大の理由は、「黙秘権の保障」である。
 憲法38条1項は「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」として黙秘権を保障している。刑事事件の嫌疑があるとされている場合に、本人が黙秘権を行使する意思を表示したときには、その意思に反して供述させることはできない。公職者が議会等で質問を受けた場合も、そこで答弁した内容は、捜査機関が証拠として活用し、刑事裁判でも使われる可能性があるから、刑事事件で被疑者とされていて訴追される可能性があることを理由に答弁を拒否することは可能だ。

 もちろん、黙秘権を行使するかしないかは本人の選択による。
 議会等で質問を受けた場合に、「黙秘権の行使」をせず、自ら積極的に答弁して疑いを晴らすことも、一つの選択肢になり得る。取るに足らない言いがかり的な「犯罪の嫌疑」である場合、「黙秘権の行使」も「捜査・刑事処分への影響」も考えるまでもなく、自ら説明して、その嫌疑を晴らした方がよいと判断することもあるだろう。

>関連記事【「選挙コンサル」は民主主義の救世主か、それとも単なる「当選請負人」か】はこちら
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2022102200002.html

 


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