中国経済は外患内憂状態が続いている。
中国は、2022年12月、先進国の政策から1年遅れてウィズコロナ策に転じたものの、それ以前のロックダウン政策による経済低迷からいまだ抜け出せないでいる。それは内需に加え、外需も低迷していることにある。
1、2017年のトランプ政権時代から続く米中貿易戦争、
米国は高関税で中国製品には高い関税障壁を設け、IRA法による中国勢が本格化させたEV輸出もバッテリー進出も実質不可としている。また、防衛制裁も兼ねるChips法による半導体障壁も製造装置から製品にいたるまで制裁を下している。
米国は別途、新彊ウイグル・香港の人権や安保上の問題などから、中国企業や中国人に対して直接制裁=エンティティリストしている。米国企業に対して輸入も輸出も取引も規制させており、その数は1000社・個人数に迫っている。
2、中国の輸出依存度が高い欧州経済もエネルギー高、金利高で経済低迷から抜け出すのに時間を要している。
3、東南アジアへの輸出は、欧米輸出の生産基地であり、おのずと欧米経済に左右される。
内需は、消費世代の若者の失業率が高くこれまでのような経済の牽引力になっていない。また、総就業者数も新コロナ前より2000万にあまり減少しており、消費低迷の一因となっている。
4、さらに、習国家主席の政策失敗、住宅価格は高すぎるとしていきなり導入した共同富裕論に基づく三条紅線、不動産開発会社は現生不足に陥り、借入金や社債の返済・償還ができないどころか、工事現場の支払いもできないまま破綻企業が続出、トップ数社も危機に陥り、実質、破綻状態にある。総合不動産開発の恒大の総負債は48兆円、住宅開発だけではトップの碧桂園は12兆円、但し、マレーシア開発の失敗だけでも10兆円規模あり、報道と異なる総負債があると見られる。
長期の習政権はこれまで何度となく不動産政策によって景気を調整してきたが、そうした経験を無視した強圧政策で不動産バブルは崩壊、何十万人、何百万人かがマンション購入被害やこうした不動産会社の社債を購入して人たちも被害にあっており、いくら新規住宅の購入側の規制を緩和しても、さらに不動産開発会社に対し銀行の融資を緩和させたところで、根本の三条紅線を一時的でも撤回しない限り、不動産経済が回復する見込みはない。(中国政府は金融機関に緩和指示し、それも乾かない今年2月に、銀行に対して「規律正しい融資を行うよう命令」している。銀行はこれではおいそれ融資姿勢を緩和できない)。
5、共同富裕論はアリハバの馬氏を拘束し、ネット巨大企業が政府方針に従わないとする権力者たちの意向に沿い、習政権がネット全体に対し規制強化したことに始まり、こじ付け的に「共同富裕論」を後付で規定した。規制はミット巨大企業の創業者たちの多くを拘束し、政府の言いなりになるように経営方針を修正させた。ゲーム内容規制によりネット配信も販売も規制、高額となった塾やネット塾も規制、ネットでの学生向け貸付なども規制強化した。
習政権のこうしたITネット事業開発の旗手たちへの規制強化は、次の新しいIT産業の芽を摘み取る結果を招いている。
北京の中関村も深センも失業者が溢、今では話題にも上らなくなっている。
<失業問題>
なお、中国の若年失業率は昨年6月21.3%、高き過ぎ、習氏の逆鱗に触れたのか、それ以降発表されず、昨年12月から再開、大学生の失業を外したそうだ。それでも14.9%と高い率となっている(全体は11月5.0%、12月5.1%、24/1月5.2%//この間、農民工たちが仕事なく大量に帰郷しており、それを換算すればより高いと見られる)。
若い人たちの失業率の高さは、ファンドリー工場や商業施設・サービス産業に多くが従事しており、そうした産業が低迷していることを表している。
鄧小平氏が1978年の白黒猫論で開放してきた中国経済、40年間どっぷり漬かり、この間、米国を利用し、国富を実現、その国富により覇権主義に駒を進める習政権、しかし、一方で習政権は、自由主義経済の恩恵で国富となった経済にチャチャを入れ、今では弊害が噴出している。
現在の中国は、共産党政権の習近平国家主席率いる中華人民共和国の問題だらけの実情ではないだろうか。
米国が、中国の国富に基づく赤裸々な覇権主義行動に、制裁を加えているのが、高利の輸入関税であり、エンティティリストやChips+法やIRA法ではないだろうか。
次期大統領がトランプ氏になれば、現行の中国に対する高関税を60%まで引き上げるとしており、中国の国富の削ぎ落としにかかるようだ。
一方、中国はネットやSNS規制にとどまらず、検閲による報道規制も強化してお、報道が大幅に制約され、国内の情報発信や提供が大幅に減じている。
強まり続ける言論統制、これは2020年3月から始まった武漢発の新コロナに対する地元医師たちや研究機関のSNSなどでの情報発信者たちの拘束から始まっていた(2019年12月発生とされる)。
習政権は2012年、胡錦濤最高指導者が習氏を指名して誕生した。そして10年後の2022年、胡錦濤氏が長老として反対(議場から強制退場)する中、発足させた中国にとって禁断の3期目。
中央政治局常任委員の7奉行も全員が習派に属し、独裁色をより強め、今や習氏に意見する者などいない。三条紅線の政策もこうした習政権の政策にあり、基本の変更はない。
ただ、米国でも中国でも風邪を冒いたら寝込むのが日本。
ここ1年、バフェットマジックで有頂天になり続けているが、政治による相変わらずの垂れ流しは、今や付け刃的に外資企業にまで巨額垂れ流しを続けているが、その未来戦略のスタンスはまったく見えてこない。半分でも未来を創出する可能性が高い学術研究予算に当てるべきだろうが・・・。
スクロール→
中国の経済
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インフレ率
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生産者
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小売
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GDP
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設備
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年月
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総合
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コア
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食料
|
物価指数
|
年間
|
四半期
|
稼働率
|
23/2.
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1.0
|
0.6
|
2.3
|
0.0
|
3.5
|
2.3
|
74.3
|
23/3.
|
0.7
|
0.7
|
2.4
|
0.0
|
10.6
|
23/4.
|
0.1
|
0.7
|
0.4
|
-0.5
|
18.4
|
0.5
|
74.5
|
23/5.
|
0.2
|
0.6
|
1.0
|
-0.9
|
12.7
|
23/6.
|
0.0
|
0.4
|
2.3
|
-0.8
|
3.1
|
23/7.
|
-0.3
|
0.8
|
-1.7
|
-0.2
|
2.5
|
1.5
|
75.6
|
23/8.
|
0.1
|
0.8
|
-1.7
|
0.2
|
4.6
|
23/9.
|
0.0
|
0.8
|
-3.2
|
0.4
|
5.5
|
23/10.
|
-0.2
|
0.6
|
-4.0
|
0.0
|
7.6
|
1.0
|
75.9
|
23/11.
|
-0.5
|
0.6
|
-4.2
|
-0.3
|
10.1
|
23/12.
|
-0.3
|
0.6
|
-3.7
|
-0.3
|
7.4
|
24/1.
|
-0.8
|
0.4
|
-5.9
|
-0.2
|
|
|
|
中国 貿易 ドルベース /10億ドル
|
|
輸出
|
←前年比
|
輸入
|
貿易収支
|
20年 億ドル
|
25,903
|
|
20,667
|
523
|
21年 億ドル
|
33,571
|
|
26,867
|
675
|
前年比
|
29.6%
|
|
30.0%
|
29.1%
|
22/1.
|
|
|
|
|
22/2.
|
|
|
|
|
22/3.
|
|
|
|
|
22/4.
|
|
|
|
|
22/5.
|
308
|
|
229
|
78
|
22/6.
|
328
|
|
228
|
97
|
22/7.
|
332
|
|
231
|
103
|
22/8.
|
315
|
|
230
|
81
|
22/9.
|
319
|
|
236
|
84
|
22/10.
|
296
|
|
212
|
85
|
22/11.
|
292
|
-9.0
|
225
|
69
|
22/12.
|
300
|
-9.9
|
228
|
77
|
22年累計
|
3,593
|
7.0
|
2,716
|
877
|
前年比
|
7.0%
|
|
1.1%
|
30.0%
|
23/1.
|
287
|
-12.0
|
193
|
94
|
23/2.
|
210
|
-3.2
|
197
|
13
|
23/3.
|
305
|
11.3
|
226
|
79
|
23/4.
|
291
|
7.3
|
204
|
87
|
23/5.
|
283
|
-7.3
|
217
|
66
|
23/6.
|
284
|
-12.4
|
214
|
70
|
23/7.
|
281
|
-14.3
|
201
|
80
|
23/8.
|
284
|
-8.7
|
216
|
68
|
23/9.
|
299
|
-6.2
|
221
|
78
|
23/10.
|
274
|
-6.4
|
218
|
56
|
23/11.
|
291
|
-0.4
|
223
|
68
|
23/12.
|
303
|
1.0
|
228
|
75
|
23年累計
|
3,392
|
-5.6
|
2,558
|
834
|
24/1.
|
304
|
-0.5
|
228
|
76
|