厚労省が発表した今年4月の働く人1人あたりの基本給などにあたる所定内給与は、前年同月比で2.3%増加し、おおよそ30年ぶりの高い伸び率となった。しかし、物価上昇を反映した実質賃金は▲0.7%とマイナスが続き、春闘で賃上げの動きが広がったものの、物価上昇の影響が強い状態が続き、実質賃金を押し下げ田状態が続いている。
厚労省は全国の従業員5人以上の事業所、3万あまりを対象に「毎月勤労統計調査」を行っていて、今年4月分の速報値を公表した。
それによると基本給や残業代などをあわせた現金給与の総額は1人あたり平均で29万6884円と前年同月比で2.1%増と、28ヶ月連続増となった。
実質賃金がマイナスとなったのは25ヶ月連続と過去最長を更新し、依然として物価上昇に賃金の上昇が追いついていない状況が続いている。
厚労省は「春闘で高い水準の賃上げの動きが広がったことが所定内給与の増加につながったとみられるが、物価上昇の影響が強い状態が続いている。5月以降に賃上げを行う企業もあるとみられるので、今後、実質賃金がプラスに転じるのか注視したい」としている。
2018年当時、建設需要は国土強靭化策・東京大再開発・東京五輪を控え最高潮、企業収益も最高潮だった。AB氏はメーデーに参加し、企業に賃金を上げるように強く要請し、若干上昇したが、2019年の消費税増税を控えた動きでもあった。
今回は、2020年3月からの新コロナパンデミックを受け、資源・穀物・食料品の国際商品相場が、輸入に依存する日本の物価は上昇、木材価格は北米材が新コロナ前より一時4倍に値上がりした。2022年3月からはウクライナ侵攻・露制裁を受け、穀物やエネルギー価格が暴騰、超円安に、世界の主要国は物価高騰=インフレに対してインフレ退治に金利を上昇させ、賃金も上昇させた。しかし、日本はインフリ退治の金利高策をとらず、マイナス金利を2024年2月まで続けた。結果、金利差と日本の信用剥落により、超円安は150円台まで進んでいる。
この間、食料品は政府の監視もなく値上げを何回も続け、穀物などを輸入する内需型食品企業は2010年以降、最高の営業利益・純利益を出す始末。
世の中、政治資金問題どころではないのであるが・・・・。
政府は6月の減税分を給与明細に掲載せよと命令、これは義務だと息巻いているが、企業は別途表示できなくなり、企業にとっては大迷惑・現場知らず・官邸はお代官様のお達しを今に告げている。茶番。
スクロール→
実質賃金3ヶ年月別推移 /厚労省
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21年
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22年
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23年
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24年
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1月
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-0.5
|
0.5
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-4.1
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-1.1
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2月
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0.4
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0.0
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-2.9
|
-1.8
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3月
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1.0
|
0.6
|
-2.3
|
-2.1
|
4月
|
2.9
|
-1.7
|
-3.2
|
-0.7
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5月
|
3.1
|
-1.8
|
-0.9
|
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6月
|
0.5
|
-0.6
|
-1.6
|
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7月
|
1.0
|
-1.8
|
-2.7
|
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8月
|
1.1
|
-1.7
|
-2.8
|
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9月
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0.0
|
-1.2
|
-2.9
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10月
|
0.1
|
-2.9
|
-2.3
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11月
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0.1
|
-2.5
|
-2.5
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12月
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-1.3
|
-0.6
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-2.1
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年間
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0.6
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-1.0
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-2.5
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総賃金と実質賃金の年間推移 /厚労省
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給与総額
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実質賃金
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備考
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2014年
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0.5%
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-2.8%
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消費税増
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2015年
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0.1%
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-0.8%
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2016年
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0.6%
|
0.8%
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2017年
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0.4%
|
-0.2%
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2018年
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1.4%
|
0.2%
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2019年
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-0.4%
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-1.0%
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消費税増
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2020年
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-1.2%
|
-1.2%
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新コロナ・物価高騰開始
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2021年
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0.3%
|
0.6%
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2022年
|
2.0%
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-1.0%
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超円安・物価高騰
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2023年
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1.2%
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-2.5%
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