公正取引委員会は、ダンプカーなど特装車の架装物やトレーラー販売を巡り価格カルテルを結んでいたとして、極東開発工業(大阪市)と子会社の日本トレクス(愛知県豊川市)に独占禁止法違反の排除措置命令と課徴金約59億円の納付を命じた。
一方、新明和工業(兵庫県宝塚市)と子会社の東邦車輛(群馬県邑楽町)は自主申告により命令と課徴金を免れた。
特装車市場での価格カルテル 問われる企業ガバナンス公正取引委員会は、ダンプカーなど特装車の架装物やトレーラー販売を巡り価格カルテルを結んでいたとして、極東開発工業(大阪市)と子会社の日本トレクス(愛知県豊川市)に独占禁止法違反の排除措置命令と課徴金約59億円の納付を命じた。
一方、新明和工業(兵庫県宝塚市)と子会社の東邦車輛(群馬県邑楽町)は自主申告により命令と課徴金を免れた。
市場規模がいずれも約1000億円とされる架装物やトレーラー分野は、4社で7~8割を占める寡占市場。原材料価格の高騰を背景に、部長級社員らが情報交換から価格調整へと踏み込み、最終的には1割超の値上げを合意していた。不正は社会インフラを支える建設・物流・廃棄物処理分野に直結しており、利用者や自治体の信頼を裏切る形となった。
今回の事件ではリーニエンシー制度が機能し、早期の自主申告が有効に働いたことが浮き彫りとなった。しかし一方で、別の談合事件をきっかけに疑惑が発覚した企業もあり、内部統制やガバナンスの実効性には大きな疑問符がつく。
極東開発工業は役員報酬の自主返納や内部管理体制の強化を表明しているが、社会インフラを担う企業に求められるのは単なる「再発防止」以上に、市場の透明性と公正性をどう回復するかという姿勢だ。寡占市場ゆえにこそ、企業ガバナンスの確立は避けて通れない課題である。