アイコン フェザーホーム破綻にみる「拡大の落とし穴」──建設業界に迫る成長リスクの現実

Posted:[ 2025年10月 7日 ]

建設業倒産

北海道・札幌市の住宅メーカー「フェザーホーム」が10月1日付で事業を停止し、破産申請の準備に入った。負債総額は約12億円。設立わずか4年、リゾート地向けの高級住宅を中心に急成長を遂げてきた企業だけに、業界関係者に衝撃が走っている。

同社は2021年2月の設立。札幌市や近郊エリアに加え、ニセコ・富良野といったリゾート地での住宅販売を強化し、富裕層向けの高デザイン住宅で短期間に顧客を獲得してきた。2022年1月期の売上高は1億6,900万円に過ぎなかったが、翌2023年には約13億円、2025年1月期には21億円超へと急伸。住宅メーカーとして異例のスピードで拡大していた。

とくに注目を集めたのが「サウナ付き住宅」だ。健康志向や“おうち時間”の拡大を背景に、2024年にはサウナ施工事業や用品販売を本格化。札幌にショールームを設けるなど積極的な設備投資を進めた。さらに2025年初頭にはフィットネスジムを開業し、「ライフスタイル提案型ブランド」として新たな市場を狙った。

しかし、その勢いが裏目に出た。

 



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急激な事業拡大により資金繰りは逼迫。建築資材の高騰や職人不足による人件費上昇が直撃し、利益率は急低下した。加えて、リゾート住宅という性質上、着工から引き渡しまでの期間が長く、キャッシュフローが固定化されやすい構造的リスクを抱えていた。

関係者によると、破綻時点で建設中の物件が17棟残っており、施主や下請けへの影響が懸念される。特に前払い金を受け取っていた契約が多かった場合、顧客側の損害が拡大する可能性もある。

フェザーホームのケースは、成長戦略の難しさを示している。
住宅市場の競争が激化する中、デザイン性や付加価値を武器に差別化を図る企業は増えている。しかし、需要に見合わないスピードで拡大すれば、収益基盤が追いつかずに崩壊するリスクが高まる。特に中小・地方の建設業者にとって、資金繰りと事業拡張のバランスを見誤ることは命取りになりかねない。

建設業界では、コロナ禍後の反動需要やリゾート開発ブームを背景に、若い企業が台頭している。一方で、資材価格の高止まりや金利上昇、労務コストの上昇といった外部環境の変化が続く。短期的な成長に目を奪われず、現場管理と資金管理をいかに両立できるか――。フェザーホームの破綻は、業界全体にとっても警鐘といえるだろう。

 

 

 


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