2026年6月に掲載した企業倒産・法的整理記事のうち、負債額が判明している案件を対象に、負債額の大きい順に整理した。6月は、障がい福祉サービス関連の大型更生申請を筆頭に、金属スクラップ輸出、建築資材卸、製造業、医療法人、建設・不動産関連など、幅広い業種で大型倒産が確認された。
上位案件では、事業拡大に伴う借入負担、需要低迷、資材・人件費高騰、取引先破綻や行政処分などが重なり、資金繰りが急速に悪化したケースが目立った。特に、売上規模を拡大した企業ほど、環境変化や信用不安が発生した際の影響が大きく、負債額も膨らむ傾向がみられる。
本ランキングは、2026年6月に当サイトで掲載した倒産・民事再生・会社更生・特別清算などの記事のうち、負債額が確認できる案件を対象に集計した。グループ会社・関連会社を含む案件は、記事中に記載された合計負債額を基準とした。

2026年6月掲載 大型倒産ランキング
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順位 |
企業・法人名 |
所在地 |
主な業種 |
手続き |
負債額 |
主な要因 |
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1 |
(株)絆ホールディングスなど5法人 |
大阪府大阪市 |
障がい福祉サービス関連 |
会社更生法申請・自己破産申請 |
約289億5368万円 |
訓練等給付費の返還請求、指定取消処分などが経営を直撃 |
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2 |
豊栄通商(株)など3社 |
東京都江戸川区 |
金属スクラップ輸出 |
破産手続開始決定 |
約59億1500万円 |
急拡大後の資金繰り悪化、関係会社を含めた信用不安 |
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3 |
コーワ(株)など2社 |
埼玉県狭山市ほか |
建築資材卸・内装工事 |
破産手続開始決定 |
約38億7000万円 |
民事再生手続の廃止を経て破産へ移行 |
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4 |
中越エコプロダクツ(株) |
富山県高岡市 |
新素材シート製造 |
特別清算開始決定 |
約37億5100万円 |
共同事業の継続困難、事業計画の行き詰まり |
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5 |
(株)キュアテックス |
東京都世田谷区 |
和紙繊維製品製造 |
破産手続開始決定 |
約32億円 |
売上急減、事業拡大後の資金負担 |
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6 |
(株)トーシン、(株)レコ |
滋賀県甲賀市 |
再生合成樹脂シート製造 |
民事再生手続開始申立 |
約26億5100万円 |
売上減少、取引先とのトラブル、資金調達難 |
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7 |
西山寛商事(株) |
京都府福知山市 |
元食品スーパー運営 |
破産手続開始決定 |
約20億円 |
競合激化と売上減少、店舗譲渡後も財務改善進まず |
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8 |
医療法人アエバ会 |
大阪市生野区 |
病院・診療所・老健施設運営 |
破産手続開始決定 |
約17億円 |
外来患者減少、材料費・人件費高騰、借入負担 |
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9 |
(株)名古屋製作所 |
名古屋市熱田区 |
金属部品製造 |
破産手続開始決定 |
約17億円 |
受注低迷、コスト高、電力会社向け需要の減少 |
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10 |
国土建設(株) |
和歌山県和歌山市 |
建築工事・宅地分譲 |
破産手続開始決定 |
約15億7000万円 |
建築・不動産関連事業の採算悪化、資金繰り難 |
最大案件は絆ホールディングスなど5法人、負債約289億円
6月掲載分で最大となったのは、障がい福祉サービス関連の(株)絆ホールディングスなど5法人で、負債総額は約289億5368万円。同グループは、放課後等デイサービスや就労継続支援A型事業所の運営支援などを手がけていたが、訓練等給付費の返還請求や指定取消処分が経営を直撃した。
福祉関連事業は社会的需要が強い一方、行政制度への依存度が高く、返還請求や指定取消などが発生した場合、資金繰りに与える影響は大きい。今回の案件は、制度ビジネスの拡大局面における管理体制の重要性を改めて浮き彫りにした。
2位は豊栄通商など3社、金属スクラップ輸出で急拡大
2位は、金属スクラップ輸出を手がけていた豊栄通商(株)など3社で、負債総額は約59億1500万円。豊栄通商は、鉄・非鉄金属スクラップを仕入れ、韓国や台湾などアジアの製鉄会社へ販売していた。売上規模を急拡大させていたものの、資金需要も大きく、資金繰りの悪化から破産手続開始決定を受けた。
金属スクラップ業は相場変動の影響を受けやすく、仕入れ資金や在庫負担も重い。市況や回収条件が変化すれば、急成長企業ほど資金ショートのリスクが高まる。
建築・建材関連の大型倒産も上位に
3位には、建築資材卸などを手がけていたコーワ(株)など2社が入り、民事再生廃止時の負債総額は約38億7000万円。10位には和歌山県の国土建設(株)も入り、建築・不動産関連の大型倒産が上位に並んだ。
建設関連では、資材価格や外注費の上昇に加え、人手不足による工期遅延、住宅需要の変化、金融機関の融資姿勢の変化などが重荷となっている。売上を維持していても、利益率の低下や借入返済負担により資金繰りが逼迫するケースは少なくない。
製造業では中越エコプロダクツ、キュアテックス、名古屋製作所が上位
製造業では、中越エコプロダクツ(株)、(株)キュアテックス、(株)名古屋製作所が上位に入った。中越エコプロダクツは新素材「マプカ」関連事業、キュアテックスは和紙繊維製品、名古屋製作所は工作機械向け金属部材などを手がけていた。
いずれも独自性のある製品や技術を持っていたが、製造業は設備投資や固定費の負担が大きい。販売計画が崩れた場合、収益悪化が財務を直撃しやすい。原材料費やエネルギーコスト、人件費の上昇も採算を圧迫した。
医療法人アエバ会は負債約17億円、医療・介護も厳しさ続く
医療法人アエバ会は、大阪市生野区で外科病院や診療所、老健施設などを運営していたが、破産手続開始決定を受けた。負債額は約17億円。新型コロナ禍で外来患者が減少し、その後も回復は鈍く、光熱費、材料費、人件費の上昇が採算を圧迫した。
医療・介護分野は地域に欠かせないインフラである一方、診療報酬・介護報酬、職員確保、設備維持費の影響を強く受ける。収入の伸びが限られるなかでコストが上昇すれば、経営余力の乏しい法人ほど厳しい状況に追い込まれる。
6月大型倒産の特徴
6月の大型倒産をみると、単純な売上不振だけではなく、複数の要因が重なって経営破綻に至った案件が多い。主な共通点は、以下の通りである。
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事業拡大後の借入負担が重くなった
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資材費、人件費、エネルギーコストの上昇で採算が悪化した
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市場縮小や競合激化により売上が落ち込んだ
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行政処分、返還請求、取引先破綻など外部要因が資金繰りを直撃した
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コロナ禍後も需要が十分に戻らず、財務改善が遅れた
特に、福祉、医療、建設、製造、資源関連など、社会インフラに近い業種でも大型破綻が発生している点は注目される。需要そのものが消えたわけではなくても、制度変更、価格転嫁の遅れ、固定費負担、借入返済が重なれば、事業継続は難しくなる。
今後の見通し
2026年後半も、中小企業を取り巻く環境は厳しい。人件費や資材価格の高止まり、借入金返済、金融機関の与信姿勢、価格転嫁の遅れなどが引き続き重荷となる。とくに、過去に急拡大した企業や、設備投資負担の大きい製造・建設関連、制度依存度の高い福祉・医療関連では、資金繰りの変化に注意が必要だ。
6月の大型倒産ランキングは、単なる負債額の大きさだけでなく、現在の企業経営が抱える構造的な弱さを示している。売上規模の大きさよりも、資金繰り、利益率、内部管理、外部環境への対応力が問われる局面に入っている。