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アイコン 【倒産企業続報】全東信1151億円破産の余波続く 飲食店の資金繰りから投資ファンドまで波及

Posted:[ 2026年9月25日 ]

クレジットカード売上の早期決済サービスを手がけていた「(株)全東信」(大阪市中央区、法人番号:9120001118333)が2026年7月6日に破産手続き開始決定を受けてから、約2カ月半が経過した。

負債総額は約1151億6400万円。大型倒産そのものに注目が集まったが、その後を追うと、影響は全東信に融資していた金融機関だけではなく、同社のサービスを利用していた飲食店などの加盟店、さらに同社を最終的な資金需要者とする投資ファンドにまで広がっている。

政府は破産から4日後の7月10日、金融関係団体などに対して全東信の破産の影響を受ける事業者への資金繰り支援を要請。7月31日には「セーフティネット保証1号(連鎖倒産防止)」の対象にも指定した。

9月に入っても投資ファンド側では破産手続きの影響確認が続いており、全東信の破綻は単なる1社の大型倒産にとどまらない状況となっている。

数字で見る「全東信」破産
負債総額
約1151億円
約1151億6491万円
債権者
115名
破産申立時点
金融債権者
63社
貸付総額 約1130億円
関連ファンド
6本
オルタナバンク公表
ノンリコース型
5本
回収状況が償還に影響

※負債額・債権者数などは破産申立時点の公表資料等に基づく。破産手続きの進行により変動する場合がある。



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全東信の負債1151億円、金融債権者は63社

全東信は飲食店を中心に、クレジットカード売上代金を通常より早く加盟店へ入金する早期決済サービスを展開していた。

2018年9月時点では加盟店が20万店を超えていたとされ、2020年3月期には売上高82億円を計上していた。

しかし、その後はコロナ禍による飲食店の営業制限などで業績が悪化。さらに、破産申立書などから長年にわたり架空預金や架空債権、営業権の過大計上などが行われていたことが明らかになっている。

2026年7月6日に大阪地裁へ準自己破産を申し立て、同日、破産手続き開始決定を受けた。

申立書によると、金融債権者は63社、貸付総額は約1130億円。全体では債権者115名に対し負債約1151億6491万円とされている。

破産で問題となった「加盟店への入金」

全東信の破産で特徴的なのは、通常の取引先倒産とは異なり、同社がクレジットカード売上の早期入金を担っていた点だ。

飲食店などでは、カードを利用した客から直接現金を受け取るわけではなく、決済後に売上代金が入金される。全東信はその入金を早めるサービスを提供していた。

全東信の破産に伴い、同社のサービスを利用していた店舗では、すでに発生しているカード売上代金が予定どおり入金されない可能性や、利用していた決済サービス・端末の切り替えが必要になる可能性が指摘された。

飲食店にとって売上代金の入金は、食材の仕入れ、人件費、家賃など日々の運転資金に直結する。このため全東信の破綻では、単なる売掛金の回収問題だけでなく、加盟店の資金繰りへの影響が焦点となった。

政府が金融機関に資金繰り支援を要請

破産から4日後の7月10日、内閣府、金融庁、財務省、厚生労働省、農林水産省、水産庁、中小企業庁は、金融関係団体などに対して全東信の破産に伴う金融上の対応を要請した。

政府は、飲食店をはじめとする事業者の資金繰りに重大な支障が生じないよう、金融機関に対し、融資相談への丁寧な対応や既往債務の条件変更、借り換えなどへの迅速かつ柔軟な対応を求めた。

日本政策金融公庫も同日、全東信の破産によって影響を受けた中小企業・小規模事業者、農林漁業者などを対象とする特別相談窓口を全国の支店に設置した。

日本公庫では、中小企業・小規模事業者について「経営環境変化対応資金」などを利用した資金繰り支援を行っている。

「連鎖倒産防止」のセーフティネット保証1号も発動

さらに国は7月31日、全東信をセーフティネット保証1号(連鎖倒産防止)の指定事業者とした。

セーフティネット保証1号は、大型倒産事業者などに売掛金債権等を持ち、その影響で資金繰りに支障が生じている中小企業を対象とする制度。

一定の要件を満たし、市区町村長の認定を受けた事業者は、信用保証協会による通常の保証とは別枠の保証を利用できる。

全東信についての指定期間は2026年7月6日から2027年7月5日まで。

自治体が案内している認定要件では、全東信に対して50万円以上の未収入金などを有する事業者、または50万円未満でも全東信との取引額が売上高の20%以上となる事業者などが対象とされている。実際の利用には所在地を管轄する自治体での認定などが必要となる。

一方では投資ファンドにも影響

全東信の破産による影響は加盟店側だけではない。

オルタナティブ投資プラットフォーム「オルタナバンク」は、全東信を最終資金需要者とするファンドが6本あることを公表している。

ファンドID 概要 区分
889 クレカ早期決済代行事業短期支援 ノンリコース
918 クレカ早期決済代行事業短期支援 ノンリコース
943 国内分散短期運用型 リコース
991 クレカ早期決済代行事業短期支援 ノンリコース
992 クレカ早期決済代行事業短期支援 ノンリコース
1006 クレカ早期決済代行事業短期支援 ノンリコース

このうちリコース型のID943については、7月31日に予定どおり運用を終了し、元本が償還された。

一方、ID889、918、991、992、1006の5ファンドはノンリコース型。オルタナバンクの説明では、返済原資が全東信からの回収金に限定される仕組みとなっている。

このため最終的な分配・償還額は、全東信の破産手続きにおける回収状況に左右される。

9月に入っても破産の影響確認続く

オルタナバンクは9月8日に全東信問題に関する第5報を公表し、改めて対象となる6ファンドを明らかにしている。

破産直後から状況が変わっていない部分も多く、ノンリコース型のファンドについては、破産手続きにおける資産の換価や債権調査などが今後の回収額を左右することになる。

全東信の破産は、金融機関の巨額債権や粉飾決算だけを見ると「大型企業倒産」の問題に見える。

しかし実際には、カード売上代金を日々の運転資金としていた飲食店などの加盟店、資金を供給していた金融機関、さらに投資ファンドの出資者まで、異なる立場の事業者・投資家が同じ破産手続きの影響を受けている。

国が連鎖倒産防止のセーフティネット保証1号を発動したことも、全東信の破綻が中小企業の資金繰り問題へ波及する可能性を考慮した措置といえる。

全東信の破産をめぐる主な動き

2026年7月6日 大阪地裁に準自己破産を申請、同日破産手続き開始決定
7月8日 負債約1151億6400万円が判明
7月10日 政府が金融機関などに資金繰り支援を要請、日本政策金融公庫が特別相談窓口を設置
7月31日 セーフティネット保証1号の指定対象に。オルタナバンクのリコース型ファンドID943は元本償還
9月8日 オルタナバンクが第5報を公表。全東信を最終資金需要者とする6ファンドを改めて案内

※出典:金融庁、日本政策金融公庫、各自治体・信用保証協会、東京商工リサーチ、帝国データバンク、オルタナバンクなど公表資料。負債額や債権額は破産申立時点の数字を含み、破産手続きの進行により変動する可能性があります。

 

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