大阪市北区でメタバースオフィス「RISA(リサ)」の開発・運営を手がけていた「株式会社OPSION(オプション)」は、2026年10月21日、東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。
同社は2019年設立のIT企業。テレワーク向けの仮想オフィス「RISA」を開発し、2020年にはクラウドワークスから出資を受けていた。当時、RISAは100社以上が導入するなど、リモートワークの普及を背景に事業を拡大していた。
その後、2023年5月にはRISA事業を東証上場企業のMS-Japanに譲渡。MS-Japanは2025年9月30日をもって同サービスの提供を終了しており、OPSIONの破産開始決定はその約1年後となった。
2019年設立 アバターで出勤する仮想オフィス「RISA」を開発
OPSIONは2019年1月11日設立。インターネットを通じたソフトウェア開発などを手がけ、クラウド型仮想オフィス「RISA」を展開していた。
RISAは、利用者がアバターを使って仮想空間上のオフィスに出勤するサービス。パソコンのブラウザからアクセスし、従業員同士が同じ仮想空間に集まることで、遠隔地にいながらオフィスに近いコミュニケーション環境を構築できる仕組みだった。
従業員の在席状況を確認したり、気軽な雑談や打ち合わせを行ったりできることを特徴とし、テレワークによって減少した社員同士の交流機会を補うサービスとして開発された。
2020年7月にベータ版の提供を開始。新型コロナウイルス感染症の拡大によってテレワークが普及する中、企業の新しい働き方を支援するサービスとして展開を進めていた。
同年10月には製品版の提供を開始し、企業向けのクラウドサービスとして導入拡大を図っていた。
2020年にクラウドワークスが出資 RISAは100社以上が導入
2020年10月25日、クラウドソーシング事業などを展開する株式会社クラウドワークスは、OPSIONへの出資と資本業務提携を発表した。
当時の発表によると、RISAは同年7月のベータ版提供開始後、大手企業を中心に300社以上から利用申し込みがあり、100社以上が導入していた。
クラウドワークスは、サービスの企画・開発、営業、広報、採用などを支援する方針を示しており、OPSIONは上場企業との連携によって事業の拡大を目指していた。
2022年9月期のクラウドワークスの有価証券報告書では、OPSIONが持分法適用関連会社として掲載され、議決権所有割合は34.2%となっていた。
同報告書では、OPSIONの主要事業を「クラウドオフィスRISA」の開発・運用としており、クラウドワークスとの間に役員の兼任もあったことが記載されている。
ただし、100社以上という導入企業数は2020年当時の公表値であり、その後の契約数や最終的な事業規模を示すものではない。
2023年にクラウドワークスが株式売却 関係会社から除外
その後、クラウドワークスとOPSIONの資本関係には変化が生じた。
クラウドワークスの2023年9月期有価証券報告書によると、同社は保有していたOPSIONの株式を売却し、OPSIONを持分法適用の範囲から除外している。
また、同年度にはOPSIONに関する関係会社株式評価損を計上していたことも、クラウドワークスの開示資料で明らかになっている。
ただし、これらはクラウドワークス側の保有株式や会計処理に関する情報であり、OPSION自身の負債額や赤字額を示すものではない。
株式売却の詳しい条件や譲渡先、当時のOPSIONの財務状況などは確認できていない。
2023年5月に「RISA」をMS-Japanへ譲渡
OPSIONは2023年5月、主力サービスとして展開してきたRISAの事業を株式会社MS-Japanに譲渡した。
MS-Japanは同年5月15日、OPSIONからRISAを譲り受け、自社のビジネスメディア「Manegy(マネジー)」内でメタバースオフィスサービスの提供を開始したと発表した。
MS-Japanは管理部門や士業分野に関連する人材サービスなどを展開する企業で、RISAを新たなコミュニケーション環境として活用する方針を示していた。
譲受後のRISAは、パソコンのブラウザ上で利用でき、利用者がアバターを操作して仮想オフィス内で雑談や打ち合わせを行うことができるサービスとして提供された。
MS-Japanは、企業の管理部門や士業の利用者向けに、メタバース空間を使った情報発信やイベント、交流機会などの展開も構想していた。
なお、この事業譲渡はOPSIONによるRISA事業の譲渡であり、クラウドワークスが保有株式を売却した取引とは別のものである。
MS-Japanは2025年9月にRISAを終了 破産の約1年前
RISAは事業譲渡後もMS-Japanのサービスとして提供されていたが、2025年7月1日、同社はRISAのサービス終了を発表した。
発表では、2025年9月30日をもってサービスの提供を終了するとし、理由については「諸般の事情」と説明していた。
これにより、OPSIONが開発し、その後MS-Japanが事業を譲り受けたメタバースオフィスRISAは、2025年9月末をもって提供を終了することとなった。
OPSIONの破産開始決定は、その約1年後となる2026年10月21日である。
したがって、RISAのサービス終了と今回の破産手続き開始決定は時期も運営主体も異なる出来事であり、今回の破産によってRISAが終了したわけではない。
また、RISA終了の理由とOPSIONの経営状況との関係についても、確認できる資料はない。
2026年10月21日に破産開始決定 負債額・原因は未判明
株式会社OPSIONは2026年10月21日、東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。事件番号は令和8年(フ)第7600号。
破産管財人には鈴木崇弁護士が選任されており、破産債権の届出期限は2026年11月18日となっている。
財産状況報告集会、一般調査、廃止意見聴取、計算報告などの期日は2027年2月12日午前11時。
現時点では負債総額、直近の売上高、従業員数、事業停止時期、詳しい破綻原因は確認できていない。
また、RISA事業の譲渡後にOPSIONがどのような事業を主力としていたのか、事業譲渡の対価やその後の経営状況についても詳細は明らかになっていない。
2019年の設立から約7年。テレワーク需要を背景にRISAを開発し、上場企業の出資を受けたOPSIONは、主力サービスの事業譲渡を経て破産手続き開始決定を受けることとなった。
なお、クラウドワークスとMS-Japanは今回の破産手続きの対象法人ではない。
株式会社OPSIONの会社概要
|
法人名 |
株式会社OPSION(登記表記:株式会社OPSION) |
|
所在地 |
大阪府大阪市北区 |
|
法人番号 |
9120001218389 |
|
設立 |
2019年1月11日 |
|
主要事業 |
クラウド型仮想オフィス・メタバース関連サービスの開発 |
|
旧運営サービス |
メタバースオフィス「RISA」 |
|
クラウドワークス出資 |
2020年10月発表(2023年9月期に株式売却) |
|
RISA事業譲渡 |
2023年5月、株式会社MS-Japanへ譲渡 |
|
RISAサービス終了 |
2025年9月30日(MS-Japanの発表) |
|
破産手続き開始決定 |
2026年10月21日 |
|
裁判所 |
東京地方裁判所 |
|
事件番号 |
令和8年(フ)第7600号 |
|
負債額 |
確認できず |