関東運輸局は10月2日、令和8年1月以降、東海汽船(株)および同社所有船舶に対し、海上運送法第25条第1項に基づく検査を実施したところ、同社が海上運送法に基づき定めた安全管理規程を遵守していない等、海上運送法に違反する事実を確認した。今後、同様の事案の再発防止を図るとともに、輸送の安全を確保するため、海上運送法第17条の規定に基づき、船舶の使用停止命令を発出した。
東海汽船フェリー 飲酒運航でも・捕されず行政処分 違反13項目関東運輸局は10月2日、令和8年1月以降、東海汽船(株)および同社所有船舶に対し、海上運送法第25条第1項に基づく検査を実施したところ、同社が海上運送法に基づき定めた安全管理規程を遵守していない等、海上運送法に違反する事実を確認した。今後、同様の事案の再発防止を図るとともに、輸送の安全を確保するため、海上運送法第17条の規定に基づき、船舶の使用停止命令を発出した。
事業者の名称 : 東海汽船株式会社
本社所在地 : 東京都港区海岸一丁目16番1号
代表者名 : 代表取締役社長 山﨑 潤一
同社は伊豆諸島・小笠原諸島への海運事業をほぼ独占している。
コンプライアンスの徹底が求められる上場企業でもあり、経営陣の法順守意識、フェリー運航会社として一番大事な安全運航の徹底と安全意識の欠落が今回、表面化したものとみられる。経営陣の総退陣が求められようか。
★★命令内容★★
【一般旅客定期航路事業の用に供する船舶の使用停止】
★東京~八丈島航路(関東第110号)
・船名:橘丸 船舶番号:142125
令和8年10月9日から令和8年10月28日までの20日間
★東京~大島~神津島航路(関東第125号)
・船名:橘丸 船舶番号:142125
・船名:セブンアイランド結 船舶番号:143663
・船名:セブンアイランド友 船舶番号:131269
令和8年10月9日から令和8年10月28日までの20日間
★熱海~大島航路(関東第142号)
命令の内容
【一般旅客定期航路事業の用に供する船舶の使用停止】
○東京~八丈島航路(関東第110号)
・船名:橘丸 船舶番号:142125
令和8年10月9日から令和8年10月28日までの20日間
○東京~大島~神津島航路(関東第125号)
・船名:橘丸 船舶番号:142125
・船名:セブンアイランド結 船舶番号:143663
・船名:セブンアイランド友 船舶番号:131269
令和8年10月9日から令和8年10月28日までの20日間
当局は、本事案について、事業者から適切な改善計画の提出があり、その実効性が認められたことから、事業の停止命令に代えて、一部船舶の使用停止命令を発出することにしたとしている。
※本来、フェリー運航最高責任者が最低でも書類送検されるべきだろうが・・・・。
★違反内容
1、安全管理規程第4条に基づく経営トップの主体的関与について、社長自ら大型船内における元日飲酒の慣行を認知していながら、適切な措置をとっていなかった等、関係法令及び社内規程の遵守及び安全最優先の原則の徹底等について主体的に関与しておらず、会社全体の安全マネジメント態勢を適切に運営していなかった。
2、安全管理規程第17条に基づく安全統括管理者の職務及び権限について、安全統括管理者は、関係法令の遵守と安全最優先の原則を社内に徹底して、安全管理規程の遵守を確実にすべきところ、全社的にアルコール検査体制が形骸化しており、アルコール検知器の使用方法ほか安全管理規程を実効的に機能させるための教育も実施していなかった等、安全統括管理者としての職務及び権限を果たせていなかった。
3、安全管理規程第18条に基づく運航管理者の職務及び権限について、運航管理者は、船舶の運航の管理その他の輸送の安全の確保に関する業務全般を統括し、関係法令及び安全管理規程の遵守を確実にして、その実施を図るべきところ、舷門未閉鎖状態での発航及び船内巡視時の舷門未確認が常態化しており、作業基準の内容ほか安全管理規程を実効的に機能させるための教育も実施していなかった等、運航管理者としての職務及び権限を果たせていなかった。
4、安全管理規程第31条に基づく船長による運航管理者に対する必要な情報の伝達について、「さるびあ丸」船長は、令和7年12月24日の式根島出港時に舷門が閉鎖できない事態が生じていたにも関わらず、次の目的地である神津島に到着するまで、当該事実を運航管理者に報告しなかった。
5、安全管理規程第35条並びに作業基準第8条及び第9条に基づく旅客の乗船から船舶の離岸に至るまでの作業手順について、2度目のインシデント発生(令和7年12月24日に式根島~神津島間を舷門閉鎖せずに運航)で問題が顕在化するまで、大型貨客船においては、舷門未閉鎖の状態で発航することが常態化していた。
6、安全管理規程第36条及び作業基準第10条に基づく船内巡視について、作業基準第10条に基づく船内巡視手順が形骸化しており、1度目のインシデント発生(令和7年11月7日に東京~大島間を舷門閉鎖せずに運航)で問題が顕在化するまで、大型貨客船の船内巡視に際しては、舷門の閉鎖確認を怠ることが常態化していた。
7、安全管理規程第38条に基づくアルコール検査の実施について、ジェットフォイルにおいて、令和8年4月25日にアルコール検査の替え玉受検が発生したほか、大型貨客船においては、出入港配置でアルコール検査を行わないことが常態化しており、加えて、令和8年1月1日には、航海当直中に抜け出して飲酒した後、アルコール検査を行わないまま再び航海当直に就く船員がいた等、アルコール検査体制そのものが形骸化していた。
8、安全管理規程第38条に基づく酒気帯び業務の禁止について、令和8年1月1日、「さるびあ丸」「橘丸」両船の船長を含む乗組員は、旅客運送中に船舶ぐるみで飲酒を行い、飲酒後時間をおかず、かつアルコールチェックも行わないまま、航海当直に就いていた。なお、飲酒量と飲酒時刻等から呼気中のアルコール濃度を算出するウィドマーク法により、航海当直を開始した時点での呼気1リットル中のアルコール濃度を計算したところ、0.15mgを大幅に超える状態で航海当直に就いていた乗組員が、船長を含め、複数人確認されている。
※ 安全マネジメント制度(法)において、航行する船舶の船員は呼気1リットル中1.5ミリ未満でなければならないとしている。
9、安全管理規程第38条及び第55条に基づくアルコール検査結果の記録について、飲酒習慣がないと自主申告をした乗組員を中心に、アルコール検査を実施していないにも関わらず、検査結果をゼロと記載することが常態化していた。また、令和8年4月25日、セブンアイランド結においてアルコール検査の替え玉受検が行われた際にも、事実と異なる記載がなされていた。
10、安全管理規程第40条に基づく発航前検査の実施について、大型貨客船においては、2度目のインシデント発生(令和7年12月24日に式根島~神津島間を舷門閉鎖せず運航)で問題が顕在化するまで、乗降用設備(タラップ)が架かったままの状態で発航前検査を終え、舷門を閉鎖しないまま出航することが常態化していた。
11、安全管理規程第40条及び第55条に基づく発航前検査結果の記録について、大型貨客船においては、発航前検査時に乗降用設備が架かったままであり、舷門が閉鎖されていない状態であることを認識していながら、発航前検査記録簿の「乗降用設備」欄に「○」を記載することが常態化していた。
12、安全管理規程第48条及び事故処理基準第4条に基づく事故等の連絡体制について、「さるびあ丸」が令和7年11月7日(東京~大島間)及び同年12月24日(式根島~神津島間)の計2回、舷門を開放したままで航路を運航したインシデントを運輸局に報告していなかった。
13、安全管理規程第50条に基づく安全教育について、アルコール検知器の使用方法のほか、アルコール検査体制を実効的に機能させるための教育を実施していなかった。また、大型貨客船においては、舷門の手動閉鎖に必要な非常用ポンプの作動方法ほか、作業基準の内容についての教育も行っていなかった。
以上、13件の違反