飲むカルシウム「カルナーカルシン」などを製造・販売する(株)カルナーカルシン(静岡県駿東郡清水町)が、弁護士に事後処理を一任し、破産申請の準備に入った。負債総額は調査中。
同社は、ホタテやカキの貝殻を原料とするカルシウム食品を開発し、病院や介護施設、学校給食向けなどに販路を広げていた。一方、公開資料を調べると、食品事業とは異なる交通誘導警備にも進出し、国土交通省発注の河川工事に関わっていたことが確認できた。
カルシウム強化食品の製造から警備業まで事業領域を広げていた同社だが、食品事業では販売競争や需要低下による減収が続き、長年の累積損失に伴う債務超過や借入金の返済負担が資金繰りを圧迫していたとされる。
食品メーカーが国交省の河川工事で交通誘導も担当
カルナーカルシンの事業を調べるなかで確認できたのが、食品分野とは異なる警備事業への進出だ。
国土交通省中部地方整備局沼津河川国道事務所が公開している「令和5年度 狩野川下流堤防維持管理修繕工事」の施工体系図には、「(株)カルナーカルシン 警備事業部 令和セキュリティ」の名称が記載されている。
担当業務は交通誘導で、同資料に記載された担当期間は2024年5月8日から2025年3月31日まで。静岡県公安委員会の警備業認定番号として第49000671号も掲載されていた。
さらに、静岡県内の求人情報では、2026年7月23日から9月2日まで「令和セキュリティ(本社)株式会社カルナーカルシン」の名義で交通誘導スタッフを募集していた記録もある。勤務地として沼津市、三島市、裾野市、御殿場市などが挙げられていた。
食品の開発・製造を主力として知られた企業が、公共工事に関わる交通誘導警備も手がけていたことになる。ただし、警備事業の売上規模や収益状況、今回の破産申請準備に伴う事業の取り扱いについては確認できていない。
出典:国土交通省中部地方整備局・工事施工体系図(PDF)
ホタテ・カキの貝殻を活用 自社工場でカルシウム製造
カルナーカルシンは1977年5月設立の企業。天然の貝殻を原料とした水溶性カルシウムの開発・製造を手がけていた。
同社の公式サイトによると、ホタテやカキの貝殻を洗浄し、特殊な高炉で処理した後、カルシウム成分を精製・粉末化する製法を採用。自社工場でカルシウム強化飲料や調理用の栄養強化食品を製造していた。
主力商品の一つが、飲むカルシウム「カルナーカルシン」。アップル、レモン、グレープ、ブルーベリー、スポーツタイプなどの製品を展開していた。
このほか、炊飯時やみそ汁、カレーなどに混ぜて使用する「クッキングカルシウムFe」も販売。飲料として摂取するだけでなく、毎日の食事にカルシウムを加える商品を展開していた。
同社の公式サイトには、貝殻の洗浄、特殊高炉による処理、精製、袋詰めといった製造工程が紹介されており、原料加工から製品化までを事業の特徴としていた。
「クッキングカルシウムFe」は医療・介護向け食品カタログにも掲載
同社の食品事業は、一般消費者向けの健康飲料にとどまらなかった。
「クッキングカルシウムFe」は、医療・介護向け食品を取り扱うヘルシーネットワークの商品情報にも掲載されている。
同商品は2.3グラム入りのスティック包装で、1包当たりカルシウム300ミリグラム、鉄2.5ミリグラムを含有。炊飯時に加えるなど、通常の食事を通じて栄養成分を補う用途を想定していた。
クッキングカルシウムFeの製品情報
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商品名 |
クッキングカルシウムFe |
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形状 |
粉末・スティック包装 |
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内容量 |
1包2.3g |
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カルシウム |
300mg/包 |
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鉄 |
2.5mg/包 |
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主な使用方法 |
炊飯、みそ汁などの調理時に添加 |
会社公式サイトの取引先欄には、製薬会社、病院、老人施設、陸上自衛隊、清涼飲料メーカー、乳製品メーカー、総合商社などが列挙されている。
また、全国病院用食材卸売業協同組合や日本栄養士会などの関係団体への加盟・賛助会員歴も紹介していた。一般の健康食品売場だけでなく、医療・福祉分野や業務用食品の流通経路にも販路を求めていたことがうかがえる。
なお、これらは会社の過去の公表情報であり、破産申請準備時点での個別取引先との契約継続や商品の供給状況は確認できていない。
販売競争と需要低下、累積損失が経営を圧迫
こうした商品開発と販路構築を進めてきたものの、近年は競争激化や需要低下などから売上高が減少していたとされる。
さらに、過去からの累積損失によって長年にわたり債務超過の状態に陥っていた模様で、借入金の返済負担も重く、資金繰りが限界に達したとみられる。
今回確認できた資料では、売上高の推移、債務超過額、食品事業と警備事業の売上構成比率は明らかになっていない。このため、警備事業への進出が経営再建を目的としたものだったのか、また同事業の採算が経営全体にどのような影響を与えたのかは不明である。
一方、事業内容をたどると、独自の製造工程を持つカルシウム食品事業と、公共工事にも関わる交通誘導警備という異なる分野を手がけていたことが確認できる。
同社の経営実態を把握するうえでは、食品販売の落ち込みだけでなく、警備事業を含む全体の事業構成と財務状況の解明が今後の焦点となる。
カルナーカルシンの企業概要
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会社名 |
(株)カルナーカルシン |
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所在地 |
静岡県駿東郡清水町 |
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法人番号 |
9080101005477 |
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設立 |
1977年5月 |
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資本金 |
1000万円(公式サイト掲載値) |
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事業内容 |
カルシウム食品・清涼飲料の製造販売、交通誘導警備 |
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主な商品 |
カルナーカルシン、クッキングカルシウムFe |
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法的手続き |
破産申請準備 |
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負債総額 |
調査中 |
※破産申請準備については提供された倒産情報に基づく。会社の食品事業に関する情報は公式サイト、警備事業については国土交通省の公開資料および過去の求人情報を参照した。現時点で破産手続き開始決定は確認できていない。