【東京】「Shaero」運営会社が特別清算 6億円調達の電動バイク事業、22年6月期に1.6億円赤字
折りたたみ電動バイクのシェアリングサービス「Shaero(シェアロ)」を運営していたシェアード・モビリティ・ネットワークス(株)(東京都港区)が、2026年10月21日に東京地裁から特別清算開始決定を受けた。事件番号は令和8年(ヒ)第2057号。負債総額は調査中。
同社は2022年に累計約6億円の資金調達を発表し、2023年には国内のステーション設置数が500カ所を突破していた。しかし、その一方で、2022年6月期には約1億6260万円の当期純損失を計上。その後、2023年12月にはサービスの一時休止を発表していた。
事業拡大を続けた電動モビリティ企業は、どのような経過をたどって特別清算に至ったのか。過去の公式発表と決算公告から、その足取りを整理した。
累計6億円調達、65カ所から500カ所へ拡大した「Shaero」
シェアード・モビリティ・ネットワークスは2019年7月設立。折りたたみ電動バイクのシェアリングサービス「Shaero」の運営、専用アプリの開発や改修、ステーションの設置・拡充などを手がけていた。
2021年9月にサービスを開始。東京都内を中心に、アプリで電動バイクを借り、専用ステーションで返却できる仕組みを展開した。公共交通機関では移動しにくい数駅分の距離などを想定したサービスだった。
2022年2月には、国内投資家を引受先とする総額3億円の第三者割当増資を実施し、累計調達額が約6億円に達したと発表。この時点でステーションは65カ所だったが、同年3月に100カ所、11月には400カ所を突破した。
さらに2023年4月14日には、500ステーションの突破を発表。東京を中心とする首都圏に加え、沖縄県宮古島市などにもサービスを広げていた。
2022年11月には宅配ピザチェーン「ピザーラ」の東久留米店にステーションを設置し、配達業務での利用に向けたテスト運用も開始。一般利用者向けの移動サービスだけでなく、配送用途への展開も模索していた。
拠点拡大の一方で赤字拡大 22年6月期に約1億6260万円の純損失
注目されるのは、ステーション数の拡大と並行して、決算上の損失も膨らんでいた点だ。
官報に掲載された決算公告によると、同社の2021年6月期の当期純損失は約3707万円だったが、2022年6月期には約1億6260万円に拡大した。同時点の利益剰余金は約2億18万円のマイナスとなっていた。
| 決算期 | 当期純損失 | 総資産 |
|---|---|---|
| 2020年6月期 | 約50万円 | 約1億円 |
| 2021年6月期 | 約3707万円 | 約2億7724万円 |
| 2022年6月期 | 約1億6261万円 | 約4億9926万円 |
※官報決算公告を基に作成。金額は四捨五入。売上高は確認できていない。
総資産が増加する一方で、当期純損失も拡大していたことがわかる。2022年6月期は、同社がステーション数を急速に増やしていた時期にも重なる。
ただし、累計約6億円という資金調達額は負債額や損失額を意味するものではない。また、拠点の設置数だけでは利用回数や稼働率、採算性を判断できず、2023年以降の業績も確認できていない。このため、拠点拡大の費用が最終的な経営悪化を引き起こしたとまでは断定できない。
500拠点突破から8カ月後、サービスを一時休止
事業展開に変化が表面化したのは2023年12月だった。
同社は同年12月8日、「Shaeroサービス一時休止のお知らせ」を公表。大規模メンテナンスを理由として、12月18日正午からサービスを一時休止すると案内した。
利用者に対しては車両の返却を求め、ステーションと車両を順次アプリ上で利用できない状態にする方針を説明。対象となる30日間プラン利用者への返金対応も告知していた。
2023年4月の500ステーション突破発表から、わずか8カ月後の休止だった。
当時の発表では、サービス再開時期について改めて案内するとしていた。もっとも、今回確認した公式発表だけでは、休止に至った詳細な経営上の事情や、その後のサービス再開状況までは確認できない。
車両製造元のアクセスも2025年に破産 負債約2.7億円
同社の事業に関連する動きとして、電動バイクの製造を担当していた(株)アクセス(山梨県甲府市)の破産がある。
Shaeroの公式サイトでは、アクセスを電動バイクの製造元として紹介し、車両の定期メンテナンスについても同社の整備士が担当する仕組みを説明していた。
アクセスは2025年2月4日、甲府地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債総額は約2億7000万円。
JC-NETが2025年2月に報じた内容によると、アクセスは中国から部品を輸入し、国内で電動バイクを組み立てて供給していたが、部品の不良品発生や販売停止、不良在庫などが経営を圧迫していた。2023年9月期の売上高は約2億5000万円だった。
Shaeroのサービス休止は2023年12月であり、アクセスの破産開始決定より1年以上前に当たる。両社の事業上の関係は確認できるものの、アクセスの破産が今回の特別清算の直接原因となったかどうかは明らかになっていない。
関連記事:【山梨】電動バイク卸のアクセスが破産 負債約2.7億円
2025年に解散、2026年10月に特別清算開始
シェアード・モビリティ・ネットワークスは、2025年9月29日開催の株主総会決議により解散していた。その後、2026年10月21日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。
2021年のサービス開始から約5年、2023年12月のサービス休止から約2年10カ月を経て、裁判所の監督下で清算手続きが進められることとなった。
電動モビリティ事業では、サービスの利用環境整備に加え、車両の調達・整備、ステーションの設置など複数の運営要素が必要となる。Shaeroについては、500拠点まで事業を拡大した実績がある一方、公開されている決算では損失が拡大していた。
今回の特別清算は、資金調達や拠点数の拡大と、継続的な収益確保が必ずしも同じものではないことを考えるうえでも注目される。ただし、同社の最終的な財務状況や具体的な清算理由は確認できていない。
シェアード・モビリティ・ネットワークスの企業概要
| 会社名 | シェアード・モビリティ・ネットワークス(株) |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区 |
| 法人番号 | 2010401146678 |
| 設立 | 2019年7月 |
| 事業内容 | 電動バイクシェアリングサービス「Shaero」の運営、関連アプリ開発など |
| 解散決議 | 2025年9月29日 |
| 特別清算開始 | 2026年10月21日 |
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
| 事件番号 | 令和8年(ヒ)第2057号 |
| 負債総額 | 調査中 |
※特別清算開始日・事件番号は官報情報に基づく。決算数値は官報決算公告、サービス内容・資金調達・拠点数・休止時期は運営会社の公表資料を参照。負債総額は確認できていない。
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