アイコン 監査法人、過失責任問題(1)

かって山一證券・カネボウ事件などで中央青山監査法人は解体させられたが、東北文化大学の補助金不正受給事件において監査法人の監査責任問題が、法廷の場で争われ、監査法人の過失責任が4月13日地裁段階ではあるが認められた。

今回の問題は、不正受給の根拠である大学側の財務書類の虚偽報告書監査責任問題。当大学の財務書類はセンチュリー監査法人(現、新日本監査法人)より適正報告がなされ、大学側からの補助金申請に基づき仙台市が8億10百万円支払った事件。大学側の虚偽は、大学側が受給してから判明している。財務書類の虚偽内容は、簿外負債の存在のチェックミスや寄付金の架空計上であり、監査法人が適正に監査していたならば簡単に判明するものであった。裁判では監査法人の過失を認め受給額の残額7億80百万円をセンチュリー監査法人が支払う判決内容となっている。

 
監査法人は、上場企業以外に監査契約する企業が少なく、仕事の割には儲からない商売である。しかし金融のグローバル化と称して四半期ごとに監査する動きになっており、監査法人にとっては収入の面でラッキーであろう。四半期ごとに監査法人は被監査人から監査報酬を受け取り、今後少しは儲かることになる。しかし仕事をしない大手監査法人の役員様は儲かるが、実務を担当する下っ端の公認会計士や士補は、仕事量が増えるばかり増え、何れの世界でも一緒である。
監査法人の不正や過失は、被監査人から報酬をもらうことにより発生する。三波春夫流にいえば「お客様は神様」であり、厳しく監査すれば監査契約を解除される恐れさえある。 
第3者に対して専門的立場で財務諸表の適正意見を法的にも意見することが出来る存在である監査法人の営業システムの現実こそが問題であろう。
[ 2009年4月17日 ]
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