アイコン 監査法人、過失責任問題(3)

監査法人と不動産鑑定士との関係

ところが、上場企業の不動産業者の資産評価では、監査法人が責任問題を特に問われており、監査法人も信頼できる大手不動産鑑定事務所に依頼するケースが殆どである。

そのため上場不動産会社の資産評価に関する計上案件は特に厳しく、不動産の評価損問題で行き詰る上場会社も多い。当然金融機関の不動産資産評価も融資先の不動産鑑定会社の評価とは異なる不動産鑑定事務所に依頼して評価しており、実勢価格をより厳しく見積もり評価した評価額が金融機関にもたらされている(多くの金融機関は不動産鑑定士の有資格者を雇用している)。

不動産の評価は、上場会社の東証株価にように価格が決定しておらず、より思惑が介在する。監査法人の一応の基準は、不動産の計上額が実勢価格より半分以下の場合、評価損を計上するとしている。計上額と実勢価格が4割低くとも評価損問題は発生しない。ところが、その差が60%低い場合、60%分を評価損計上しなければならないとされている。公示価格があろうとも、路線価格があろうとも実勢価格はその時々の経済情勢によって変化決定される。こうしてリーマンショック後急激に不動産価格は下落しており、上場企業の問題企業の不動産評価は、不動産鑑定士主導ではなく、監査法人主導の下に適正に評価されつつある。

[ 2009年4月23日 ]
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