アイコン 【解説】渡辺硝子建材・筑豊第一木材市場の破綻、業界関係者の談

同社の破綻は、木材業界全体の現状を示していると業界関係者は述べる。

筑豊第一木材市場は、木材業界でも一早く木材市場方式を取り入れた会社として知られている。それまで材木屋は丸太を山から購入、製材して販売していた。その後価格の面から外材が多く入ってくるようになると製材と販売が分離され、現金取引の木材市場が出現、販価も安く、品揃えも豊富に揃え大きく成長した。そのため既存の材木屋が消滅していったが、木材市場も成長ばかり遂げていたのではなかった。市場同士の競合も厳しくなるとともに戸建住宅業界の景気にも左右され、破綻していった木材市場も多くあった。


また、ここ15年の間に生じた建築工法の大変化も見逃せない。現在の住宅の木軸工法は、プレカット工法により組み立てられている。住宅の柱材はプログラム化され工場ですべて臍(ホゾ)加工等がなされ、現場で組むだけとなっており、工期が短く住宅価格も安く提供できるメリットから主流となっている。バブル崩壊後、関東でパワービルダーとして住宅の新興勢力が台頭した時期があったが、何れもプレカット材を使用して安い住宅を提供したことにより成長を遂げた。(最近ではタマホーム・レオハウス・昭和建設・・・・)
同社のようにプレカット工場を持たない木材市場は、木材や周辺材等の販売だけになり、売上高の減少に歯止めがかからない状態に陥っているのが現状である。
ここまで住宅産業が不況になると、住宅関連の中小企業の経営は厳しく、鈴木さん(鈴木木材工業)のような会社でも行き詰る時代であり、融資も銀行が殆どストップしている現実からいくらでも倒産する条件は揃っていると述べている。

本体の渡辺硝子建材の硝子工事も福岡・筑豊地区も急激に現場が少なくなってきており、井手建設鋼業、最近では高松組にも不良債権が発生、ここ10年サブコンは殆ど儲けさしてはもらっていない中での不良債権の発生は経営にも痛手であった。同社も売上高は減少し、利益も出ない状況が続いていた(前期の利益は売上高10億円に対して66万円)。

木材市場というビジネスモデルは、安定した顧客を擁していても、プレカット工場を持たない限り、顧客ニーズに応えられなくなりジリ貧に陥っている、時代の変化・流れである。こうした取り巻く事業環境の変化に2代目社長の隆三氏は対応できなかったようである。

同社の創業者の会長は1年前亡くなったが、筑豊木材市場から日進の先代や三栄木材の会長(ともに福岡)も輩出している。
過去、飯塚地区に筑豊ボールというボーリング場を持ったこともある会社であり、先代は麻生首相の飯塚での支援者の重鎮であったことが知られている。

なお、同社が熊本で、金融絡みで大きな穴を開けたという話も伝わってきている。同社の負債総額は両社で25億円、売上高などから察してその可能性もあると見るが、本業が不振であったことが第一の破綻要因であることは間違いない。
福岡市の渡辺建具は同社の一族(先代の実弟)が経営しているが、同社の経営とは全く関係なく独立した会社である。
以上、業界関係者の話をまとめた。

参照、当ホームページ右欄に県別・月別の住宅着工件数を掲載。

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[ 2009年6月23日 ]
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