ゼネコン研究シリーズ②「東海興業」
昨年から大きな焦げ付きが発生した。広島の章栄不動産に対してであるが、章栄不動産の裁判所提出資料によると63億円の焦付きとなっている。実際の焦げ付きがどれほどなのか同社が表明していないことから不明であるが、かなり痛手になっているものと思われる。
百万円 | 06/8期 | 07/8期 | 08/8期 |
売上高 | 75,742 | 107,232 | 100,559 |
営業利益 | 864 | 1,239 | 1,601 |
経常利益 | 1,113 | 757 | 796 |
純利益 | 264 | 597 | 713 |
総資産 | 56,953 | 61,299 | 62,107 |
(内売掛債権) | 24,486 | 32,801 | 37,589 |
自己資本 | 9,722 | 9,452 | 9,807 |
同率 | 17.0% | 15.4% | 15.7% |
有利子負債 | 6,200 | 10,858 | 20,400 |
同社は、1997年7月会社更生法を申請、2005年3月会社更生終結させている。
そのため長期間借金0で経営されてきたが、終結と共に借入金が増加、前期末には200億円を突破している。それでも月商倍率はしれており問題にすることはないようだが、表に示すとおり、売上高の増加による売掛金の増加に借入金を対応させていることから、その健全性にいくらか不安を生じる。
同社は、建築工事主体で特にマンション工事を得意としている。大手から地方のデベロッパーのマンション新築が主である。現行、完成マンションは投資用・分譲用とも値崩れ状態であり、特に分譲マンションは低空飛行の適正在庫水準まで在庫が下がらなければ、本格的な新築物件の回復には至らない。また地方では完成在庫増や投資ファンドの売却物件及び購入忌避物件など大量に残されており、殆ど新築されていないという状況が続いている。そうした同社の取り巻く環境は、民間建築を主体とするだけに非常に厳しい状況にあるといえる。
同社の不安定要素は、自己資本と不良債権の戦いに見られよう。