アイコン ゼネコン研究シリーズ⑦ シノケングループ 増資

同社が得意とした投資用マンション建設事業は、購入予定先のファンドがことごとく逃げ、建設したものの手持ちせざるをえなくなった。

4月以降手持ち7物件(公表分)のうち2物件は売却されたが、残る5物件は交渉中であるものの所有したままとなっている。
これらの物件購入予定先の投資ファンドからキャンセル料・違約金が入っている物件は、原価を安くすることができようが、現在の投資用マンション市場は、不動産ファンドの投売りで物件が氾濫しており市場価格も暴落している。同社も9月に中間決算を控え評価損も発生する可能性が高くなる。また損きりで売却すると売却損により自己資本も限られ厳しい対応を迫られることになる。どっち道9月中間決算に向け同社は厳しい対応を迫られる。


連結、百万円
2007年3月期
2008年3月期
2009年3月期
売上高
19,615
29,779
15,102
営業利益
1,240
1,131
-1,826
経常利益
1,068
910
-2,191
当期利益
733
446
-4,145
総資産
25,690
26,791
18,608
自己資本
4,893
5,240
1,032
資本金
1,922
1,922
1,922
有利子負債
18,007
16,347
12,609
自己資本率
19.00%
19.60%
5.50%

同社のメイン銀行は福岡銀行であるが、同社が姉歯事件に巻き込まれた時25億円の融資枠を設定して、同社の信用不安を一機に払拭した。福銀は今回も資金引き揚げを強力に推し進めている痕跡はなく、人材も派遣(直系子会社に2名)しており、積極的ではないものの一応の協力関係は維持しているようである。

借入先
百万円
オリックス信託銀行
2,065
福岡銀行
1,752
みずほ銀行
1,596
関西アーバン銀行
1,400
三菱東京UFJ銀行
849
その他
4,747
合 計
12,409

こうしたなか、NIS関係の投資組合(NIS バリューアップ・ファンド2 号投資事業組合)が、7月31日を振込日として同社に6億円出資することが発表された。10億円まで落ち込んでいる自己資本が6億円増強され16億円となるが、上記5物件の帳簿価格がわからないため何ともいえないが、焼け石に水になる可能性も残る。しかし、ここまで事業継続されてきたことから、難局を乗り越え頑張ってもらいたい。

増資後持株比率
比率%
NIS バリューアップ・ファンド2 号投資事業組合
53.7
篠原英明
8.4
SAI
4.9
アセット・マネジャーズ
2.2
USEN
1.3

なお、当投資事業組合への筆頭出資者は池田建設㈱になっているが、事業提携等の提携話は現在のところ出ていない。

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[ 2009年7月17日 ]
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