アイコン ゼネコン研究シリーズ⑥ 中野建設(佐賀市)

 佐賀県のトップクラスのゼネコンとして、松尾建設より財務内容が良いとさえいわれた中野建設。しかし、同社も普通のゼネコンであった。

同社も地元では建設需要が限られるところに営業基盤の弱さがあった。そのため福岡進出は早かったものの、安売り競争する高松組(5/15破綻)、旭工務店、日建建設など福岡地元勢に竹中・清水の安値受注戦争(現在は修正された)、大豊建設など価格競争に明け暮れ生き抜いて来たゼネコンが多く、好条件での受注に恵まれる環境にない。そうしたなか平成13年東京進出(撤退済)、同20年鹿児島進出と厳しい受注競争のなかでの進出している。


 まだ09年3月期は決算書を入手していないが、
08年3月期は、

科目
金額
科目
金額
流動資産
8,119
流動負債
7,509
固定資産
3,556
固定負債
174
 
 
純資産
3,992
総資産
11,675
負債と純資産合計
11,675
※ 自己資本率:34.19%、 流動比率108.12%(100%を超えておりまあまあ)

08/3期業績
売上高 : 90億60百万円
粗 利 : 7億82百万円(粗利率 8.6%)
経常利益:▲3億01百万円
であった。粗利率が取れていないが、マンション工事等に傾注し価格競争に巻き込まれた結果が伺える。

 

09/3月期も、粗利が改善される時世にはなく、また09年1月破綻した大長商事(福岡)に対して大口の焦げ付きが発生してしまった。売上高を追うばかりに与信管理が甘くなった結果である。そのため09/3期も大長商事の焦付き分を引き当て計上すれば、同期も赤字になっている可能性が非常に高いと思われる。

同社は、財務内容が健全なうちに縮小均衡型の経営を目指すべきである。特に建築工事は粗利が取れればよいが、破綻した志多組に見られるように、やや愚痴焦げ付きの発生も懸念されマンション工事などを積極的に受注できる環境にはない。したがって堅実な特命工事に注力すべきである。
50億円未満の自己資本の会社ならば、どんなに財務内容が良いといっても大口取引先の破綻で一機に資金が回転しなくなり死んでしまう危険性もある。
同社の土木工事は殆どが官庁工事でありリスクもなく、最近では大型のダム工事も受注している。しかし、民間工事では大口焦げ付きなどを発生させており、第2の高松組になるのではとイモを引く協力業者も出現していると聞く。しかしその責任はあくまで中野建設自身にあり、一段のリスク管理が必要であろう。
なお、同社は、既に東京支店は閉鎖したようである。賢明な判断。

種別受注比率:建築50%、土木25%、舗装15%、その他10%
メインバンク:佐賀銀行
 

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[ 2009年7月14日 ]
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