ゼネコン研究シリーズ⑤　松尾建設(佐賀市・東京)

同社の前3月期は、08年9月中間期15億92百万円の赤字であったが、期末までに業績を回復させ5億64百万円の黒字とした。2期連続赤字から2期連続黒字に転換している。売上高も過去6期で最高の699億46百万円を計上した。

同社は九州を代表するゼネコンであり、マリコンで上場の若築建設を除けば九州№1のゼネコンである。売上高も九州と関東が半々と関東でも根を下ろした売上高を計上している。　
宮崎県で破綻した志多組のように東京への進出でダボハゼ的な営業を行い大きな焦げ付きが発生して破綻したが、松尾建設は1959年の半世紀前の進出、品良く土木から建築まで幅広く受注している(10年前まで中央財界との繋がりもあり)。
リーマンショック後急激にマンションの建設工事は落ち込んでいるが、同社にあっては土木・建築ともそれほど影響を受けていない(それまでの工事代金が完全に入金しているかどうかは別)。
同社の実力のほどは、以前有明海沿岸に佐賀空港ができたが、同空港は松尾空港の異名を持つほど。また佐賀銀行が2003年12月取立騒ぎに合いパニック状態になったが、発火点は松尾建設が危ないという風評であった。松尾建設が破綻すれば佐賀銀行が危ないという連鎖によるもの。地元では佐賀銀行より松尾建設が大きいと錯覚している庶民が多々いるほどである。

同社の売上高が前期より改善されたとしても、財務内容が改善されたのでは一切ない。あまり低い自己資本率が危い会社経営を如実に表しているといえよう。
同社に求められているのは、強固な財務基盤の確立である。資本金を現在の5億円から20億円程度増資して25億円程度(自己資本率10.45%)にすべきであろう。今後とも同社が安定的に利益を計上できる保証はなく、赤字もしくは大きな焦げ付きが発生した場合、再度同社の取引先はパニック状態に陥ることは見え透いている。九州を代表する企業等に出資をお願いするしかなかろう。一番懸命なのはDESであろうが・・・・。

連結・百万円	08年3月期	08年3月期	08年3月期	08年3月期
売上高	68,337	67,466	61,462	69,946
経常利益	625	180	415	548
当期純利益又は	-2,228	-592	516	564
純資産額	4,468	3,565	3,178	3,458
総資産額	57,626	53,667	45,731	50,221
自己資本比率	7.75	6.48	6.90	6.85
従業員数	891	864	789	802

09年3月末現在の借入状況
佐賀銀行	7,702
十八銀行	3,677
佐賀共栄銀行	1,964
福岡銀行	1,915
三井住友銀行	600
その他	3,192
借入合計	19,050

借入依存率37.93%

★当事業年度請負金額16億円以上の主なもの

オーネスト		(仮称)ＵＳＳ埼玉会場新築工事
ＳＵＭＣＯ		ＳＵＭＣＯ伊万里ソーラー工場新築工事（ＪＶ）
ＳＵＭＣＯ		ＳＵＭＣＯ結晶第５工場計画変更Ｉ工事（ＪＶ）
ＳＵＭＣＯ		ＳＵＭＣＯ技術開発棟及び事務厚生棟新築工事（ＪＶ）
ＳＵＭＣＯ		ＳＵＭＣＯ結晶第５工場実装工事（ＪＶ）

★手持工事のうち請負金額18億円以上の主なものは

リコーエンジニアリング㈱	ＣＣＷＨ本店／ＣＣＷＪ本社新築工事	平成21年12月完成予定
下連雀住宅マンション建替組合	(仮称)下連雀住宅マンション建替計画新築工事	平成22年３月完成予定
学校法人東福岡学園	東福岡高等学校新校舎建設工事	平成22年８月完成予定
国土交通省	嘉瀬川ダム本体建設（一期）工事（ＪＶ）	平成23年３月完成予定
山口県	下関地域総合武道館(仮称)整備等事業（ＪＶ）	平成23年６月完成予定

※佐賀県では玄海原発を除けば10億円以上の現場は非常に少ない。

★08/4～09/3売上高及び次期繰越高

種類別		前期繰越高	当期受注高	計	当期売上高	次期繰越高			当期施工高
		(百万円)	(契約高)	(百万円)	(百万円)	手持高	うち施工高		(百万円)
			(百万円)			(百万円)	比率	金額
							(％)	(百万円
建設	建築工事	30,497	41,817	72,315	50,102	22,212	4.2	942	48,823
事業	土木工事	8,495	16,020	24,515	12,393	12,122	5.7	700	12,167
	計	38,992	57,838	96,830	62,495	34,334	4.7	1,642	60,991
不動産事業等		―	1,940	1,940	1,940	―	―	―	―
合計		38,992	59,778	98,771	64,436	34,334	―	―