アイコン 社長辞任のベスト電器/再生不能の役員たち・ビックカメラは3名の役員派遣を!

 同社の役員は、以前から九州機材倉庫(ベスト電器の旧名)出身やプロパーの役員で固められている。純血主義が悪いとはいわないが、激動の家電量販店業界にあり、外部から引っこ抜くぐらいの気迫がなければ、時代についていけないのが業界の状況である。

ベスト電器は、平成10年まで田舎の大将でおれたが、平成11年からはどっと中央大手家電量販店が福岡に攻め立てた。それまで北田社長派×有薗専務派など内部でゴチャゴチャやっている間に、10年先を行く中央家電量販店がベスト電器の本丸の福岡に襲来してきた。この間、ベスト電器を辞めた役員がヤマダ電機へ行った人もいるほどこの両者の戦いは、百害はあっても一利もなく、ただ会社を疲弊させるのみであった。
家電量販店業界のカリスマであったオーナーの北田会長が、平成14年11月亡くなり、長男の北田社長も翌年亡くなり、天下を取った有薗社長も錆付いた経営手法でベスト電器まで亡くなり加減にしてしまった。
ベスト電器は激動の家電量販店業界にあり、その経営陣は、内部登用だけでは限界があり、外部の叡智を集め、束ね、経営に当たらねば到底時代に対応できない。しかし、ここまで来れば求心力も失い内部崩壊すら考慮される。
ビックカメラが、ベスト電器を吸収合併するか、統合会社を作り、その下にベスト電器を入れるかしてベスト電器の再生の方法を考えるべきであろう。それとも捨てる気ならば早期に九州人である・・・電機に売ればよい。ベスト電器として名前を残してくれるかもしれない。岩田屋のように。
 
<福岡でも異色の存在であったベスト電器>
ベスト電器は、福岡にあり地元財界活動との交流がなかった結果が新築した香椎店で生じた。ベスト電器は、福岡東区の橋頭堡として香椎店をつくった。その横にはダイエー跡地があったが、所有者は福岡地所。ベスト電器香椎店の竣工3ヶ月前にそのダイエー跡地にヤマダ電機が入居することが決定した情報が伝わる。驚いたのはベスト電器であったが、竣工日を早めて、ヤマダ電機より先にオープンすることはできたものの、今ではそのベスト電器香椎店でさえ、ビックカメラ店に衣替えしてしまっている。
(ベスト電器は西日本シティ銀行と関係が深いが、西日本シティ銀行と関係の深い福岡地所の動きは同銀行は入っていなかった)
当大型店の香椎店は、福岡市東区の香椎千早土地区画整理事業において、旧香椎店が立退料を貰えることから、バス停もある香椎の4つ角にあるダイエー跡地に入居する発想も全くなかったものと思われる。東京のド真ん中への進出など一事が万事こうした動きである。
 
<2ヶ月で社長辞任>
①<2010112日>
ベスト電器は、2012年2月期までに国内直営店218店のうち最大約3割に当たる5070店の閉鎖(さくらやの2月閉鎖含)や、数百人規模とみられる人員削減を柱とした経営再建計画を発表。リストラ費用の計上などにより10年2月期の連結純損失は301億円の赤字になると発表した。
浜田社長と有薗会長は、その責任を取り非常勤取締役に、社長には深沢政和副会長が就任した。両氏は5月の株主総会では取締役からも退任する。
再建計画には19人の役員数半減、閉鎖店舗売却も盛り込まれている。深沢新社長は「構造改革の遅れが業績悪化の要因。抜本的な事業再構築を実行する」と述べた。
 
②<2010年3月20日>
ベスト電器は記者会見を行い、深沢社長が同日付で取締役に退き、後任に小野浩司取締役が社長に昇格したと発表した。
小野新社長は交代理由について「新しい期に入っても年間の売上数値計画さえできていない。意思決定に時間がかかりすぎる」と説明している。
 深澤氏は、5月の株主総会で退任。現行の18人の取締役(社外取締役含まず)を7人に減員するとしている。
 深澤社長の辞任は当然の結果である。有薗氏が深澤氏に社長をバトンタッチさせたと思われるが、18人の取締役を配置しているのだから、計画もなかなか決まらないのが当然。そうした18人の役員の人事責任もこれまた有薗氏にある。有薗氏は北田オーナーの娘婿であり、リーダーとして他の役員が認めようが、影武者でも有薗氏がいなければ財務畑出身の深澤氏の場合は、気苦労ばかりで前に進まないのも当然である。
 以前ベスト電器の役員の方とお付き合いさせてもらっていたが、強力な派閥があることを認めていた。そうした流れがある以上、リーダーとしての器を役員から試され、深澤氏は(5月の株主総会を待たず辞めるとは)疲れ果てたのである。
 小野新社長も役員を7名にするにしても、即すれば別だが、5月の株主総会まで待つとしたらリーダーの力量を問われよう。
 次期株主総会の役員候補では、ビックカメラを試すチャンスでもあるが、ビックカメラから3名の取締役を送り込んでもらおう。そうして内部派閥を解体させ、新ベスト電器で取り組むことである。それとも希望退職者候補に昔の功績にしがみついた役員や派閥の色の付いた幹部社員を全員辞めさせるしかなかろう。
 小野新社長は、壮大なるリストラを敢行することになる。間違えば命取りになることすら考えられる。派閥などで色が付いた役員や幹部社員はリストラさえ逆に利用してくる。そんな幹部に対応させられたら計画も歪んだものとなる。
対策では、優秀な専門の外部スタッフを入れ、大胆且つ緻密にリストラを実行することである。ビックカメラは、小野社長に対して、そうしたスタッフを小野社長に提供すべきであろう。

<小野新社長略歴>
小野浩司(新)代表取締役社長
昭和30年5月生
昭和55年4月
当社入社
平成16年5月
当社取締役就任(現任)
平成16年5月
当社中国地区担当部長兼広島本店店長
 
当社中国地区担当部長
平成16年9月
当社九州沖縄統轄部長
平成17年3月
当社販売統轄部長兼店舗運営部長
平成18年3月
当社販売統轄部長
平成18年9月
㈱リペア・デポ代表取締役社長
平成219
東日本統轄部長
 

<ベスト電器の純血主義による経営 (09年6月現在)>
 
役名
氏名
 
1
取締役会長
有 薗 憲 一
九州機材倉庫㈱入社
2
取締役副会長
深 澤 政 和
九州機材倉庫㈱入社
3
取締役社長
濱 田   孝
九州機材倉庫㈱入社
4
常務取締役
真 崎 光 晴
九州機材倉庫㈱入社
5
常務取締役
枦   勝 重
九州機材倉庫㈱入社
6
常務取締役
小長光   泰
当社入社
7
取締役
高 倉   章
当社入社
8
取締役
森   達 矢
当社入社
9
取締役
舛 田   誠
当社入社
10
取締役
山 下   隆
当社入社
11
取締役
堀   雅 治
当社入社
12
取締役
小 野 浩 司
当社入社
13
取締役
井 澤 信 親
当社入社
14
取締役
久佐木 和 茂
当社入社
15
取締役
池 田 雅 行
当社入社
16
取締役
緒 方 政 信
当社入社
17
取締役
柳 田 健一郎
当社入社
18
取締役
中 野   茂
株式会社西日本銀行入行
19
社外取締役
宮 嶋 宏 幸
株式会社ビックカメラ入社
20
常勤監査役
吉 岡 英 雄
九州機材倉庫㈱入社
21
常勤監査役
野 中 和 明
当社入社
22
監査役
下 平 明 美
税理士開業
23
監査役
下 川 眞 一
司法書士開業
24
監査役
篠 原   俊
公認会計士篠原俊事務所開業
 
※平成22年1月、社長に深澤福会長が就任、有薗会長は非常勤取締役相談役に、濱田社長は非常勤の取締役に、両名株主総会で退任へ。
 
※平成22年3月20日付で、深澤社長が辞任、小野取締役が社長就任。深澤元社長は5月の株主総会で退任へ。


<沿 革>
昭和28年9月
倉庫業を目的に九州機材倉庫㈱を設立
昭和31年1月
天神(現本店地)で「バーゲンセンター」を開業させバカ当たり、その後メーカー提携販売店から家電専門店への流通革命を起こす。
昭和43年12月
㈱ベストサービスを設立し、アフターサービス業務の委託契約を締結
昭和45年12月
フランチャイズ方式によるチェーン店展開を開始
昭和48年3月
休眠会社を使用して九州機材倉庫㈱を吸収合併、現在の㈱ベスト電器になる
昭和48年9月
福岡証券取引所に株式上場
昭和51年4月
㈱ベストクレジットサービス(現・連結子会社)を設立
昭和54年11月
㈱ベスト物流(昭和61年9月㈱ベストサービスを営業譲受し、㈱ベストサービス(現・連結子会社)に商号変更)を設立し流通業務を分離、同社と配送保管業務の委託契約を締結
昭和59年8月
東京証券取引所の市場第一部に昇格
昭和60年1月
シンガポールに進出、その後香港、マレーシア、台湾、インドネシア、韓国へも進出
昭和63年3月
㈱ベスト空調設備を㈱ベストハウジングに商号変更して住宅事業へ進出
平成3年3月
㈱沖縄ベスト(平成8年2月㈱沖縄ベスト電器に商号変更、平成17年5月会社清算結了)を設立
平成4年
ヤマダ電機、宮崎店をオープン・(その後ヤマダ電機の恨みをかうことになる)
平成5年7月
第3セクター方式により、㈱ビー・ピー・シー(現・子会社)を設立
平成11年2月
コジマとヤマダ電機が相次いで福岡進出
平成11年4月
ビックカメラ福岡天神進出。(ベスト電器本店の喉元に突き刺さる)
平成11年10月
ソフトバンク・コマース㈱(現・ソフトバンクBB㈱)との合弁会社㈱イーベストを設立
平成13年9月
ベスト電器新宿高島屋店オープン
平成14年11月
ヨドバシカメラ博多駅そばに超大型店で進出
平成14年11月
北田光男会長亡くなる
平成15年12月
北田葆光社長亡くなる
平成16年1月
有薗憲一代取専務が社長就任(北田会長の娘婿)
平成17年2月
㈱ベストハウジングを会社清算して本体で事業部門化
平成17年6月
本社を須崎埠頭入口から千代町に移転
平成17年7月
㈱ゲオとの合弁会社㈱ベストゲオを設立、平成20年7月不採算から持株をゲオに売却
平成17年11月
区画整理事業で既存の香椎店を閉鎖、福岡東地区の旗艦店となる香椎店をオープン
平成17年12月
ヤマダ電機、ダイエー跡地に入居して香椎店オープン
平成18年10月
コンビニエンスストア事業進出のため、㈱ベストファミリー(現・連結子会社)を設立
平成18年10月
オリンピックと共同出資で子会社をつくり、オリンピックの『家電満載館』を引き継ぐ。
平成18年12月
関東の㈱さくらや(現・連結子会社)を子会社化、平成20年3月完全子会社化
平成19年8月
ヤマダ電機がベスト電器の主要株主になったことが判明
平成19年9月
㈱ビックカメラと業務・資本提携契約を締結
平成20年2月
オリンピックとの共同出資子会社、「家電満載館」不振のため解散・閉鎖。
平成20年4月
濱田孝社長就任、有薗社長代取会長に就任
平成21年4月
㈱ビックカメラとの合弁会社㈱B&B(現・連結子会社)を設立、ビックカメラとのFC窓口
平成21年4月
郵便法違反事件で販売促進部長逮捕される
平成21年8月
関東の旗艦店「新宿高島屋店」を閉鎖
平成22年1月12日
「さくらや」全店閉鎖など大リストラ発表。301億円の巨額赤字へ。                            濱田社長・有薗会長引責辞任、深澤副会長が社長就任。
平成22年3月20日
深澤社長2ヶ月で社長辞任、新社長に小野浩司取締役が就任。
 
 
 
[ 2010年3月23日 ]
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