アイコン 過激な仁義なき牛丼戦争③・12月と4月決戦

<12月決戦>では、12月280円にした「すき家」だけが既存店客数を前年同月比115.9%とし、据え置いた380円の「吉野家」は客数が75.1%と24.9%も減少。売上高も「すき家」既存店は101.6%にとどまったものの全店では119.3%とした。一方「吉野家」の売上高は、既存店77.8%、全店でも82.3%に終わったのであった。
以上からして牛丼戦争は価格がすべてであることを「すき家」が立証している。(320円の「松屋」は、既存店客数106.7%、既存店売上高96.7%、全店舗売上高100.9%)。

企業というもの、赤字になると効果的な対策も限られてくることから、「吉野家」は黒字の「すき家」(ゼンショー)にますます顧客を奪われてしまう危険性がある。また一度奪われた客を呼び戻すことは、価格を少々下げたところで非常に難しい。都心部に強い「吉野家」がモタつく間に市場の囲い込みを狙う「すき家」にとっては、千歳一遇のチャンスの時となっている。ゼンショーはそのためにハンバーガーの「ウィンディーズ」を閉鎖してまでも経営資源を「すき家」に事業集中させている。

<今4月の決戦>
吉野家が顧客離れ防止のため一大キャンペーンを7日から13日まで打った。380円の牛丼並を280円にするという思い切った攻勢に出る。しかし、すぐさま「すき家」が現行280円を250円のキャンペーンを9日~21日まで行うとし、松屋も12日~23日まで現行320円を250円にすると発表するなど過激な仁義なき戦いとなっている。

<飯を授かるだけでもありがたい>
私は「吉野家」の牛丼が美味しいが、「すき家」の牛丼もけっして不味いわけではない。「吉野家」が仕入れている米牛は、各種穀物等の配合飼料で育成されており、「すき家」が仕入れている豪牛は放牧、肉質・味とも米牛が勝るといわれている。しかし、配合飼料で育てられているため米牛は、豪牛に比べ価格が1.5倍高く、「吉野家」は値段を下げられないジレンマに陥っている。
しかし、「吉野家」でも豪牛の配合飼料育成牛を幾分か以前から仕入れており、価格も米牛より安く、何ら手を打てないことはないと思われる。
2001年当時と今回では、対象となる客の懐具合がまったく異なっており、「吉野家」が2月期営業利益段階から赤字に陥る原因はその1点に尽きていると思われる。
 

[ 2010年4月 9日 ]
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