アイコン 2010年トライアル研究④  本格的に上場を意識か

トライアル同社は、これまでにも上場するといわれながら、建設代金の一部支払延期とかいろいろ問題とされる噂もあった。また急成長している割に最終利益が伴っておらず、仕入先が不安視するところが多々あった。ところが、08年12月政府系金融機関である日本政策投資銀行に対して30億円の割当増資を行い、資本金をそれまでの4億49百万円から19億49百万円と大きく増加させた。

同銀行も投資効率を考慮した場合、上場させ、株を売却して回収するキャピタルゲインを念頭に出資、当然上場を本格化させたものと思われる。そのためPB商品の拡大等により、懸案であった利益率の改善をはかっているものと推察される。今後同社が売上高を拡大するためには、これ以上1店舗あたりの売上高を上げることは至難の技であり、店舗数の拡大=売上増・利益増を図るためには資金調達手段に限界が生じているものと思われる。2000億円まで売上高が到達すると今後の伸び率は、少々の店舗展開では大きく鈍化する。今後とも売上高を伸ばすならば、店舗展開とともに企業買収が有効、そのためにも資金調達手段の多様性が求められてくる。
同社の有利子負債は、156億23百万円と売上高や総資産に比し小さいが、買掛金(総資産に占める割合42.4%)に依存し過ぎたが財務内容になっており、金融機関も今一乗れないところもある。しかし、上場すれば、監査法人のお墨付きの財務内容が情報公開され、金融機関もワンサカ押し寄せる。また増資や一般投資家向けにも社債の発行が可能となり資金調達手段も多くすることができる。

残念ながら、08年12月不当表示でJAS法違反に問われ、10年4月には万引きした者への恐喝事件(1377円万引き⇒私的罰金50万円)まで発生している。当恐喝事件では、会社側が、法外な金額を万引き者に対して、本社が事件が発生した岡山店側指示していたことを認めている。万引きを警察に通告せず、私的罰金を取り上げることで示談するというコンプライアンスの問題もクローズアップされている。
こうした内部牽制制度の未熟さにより、まだ上場には時間がかかると思われるが、内部牽制制度の確立や売上高とともに利益が確実に増加するならば、2~3年後には上場するものと思われる。

 

[ 2010年7月 8日 ]
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