アイコン 東北デバイス(株)/民事再生 白色有機EL関係資料付

有機ELの東北デバイス(株)(岩手県上北郡六ヶ所村尾駮字弥栄平1-82、代表:相馬平和)は7月2日民事再生法の適用申請を行い、同日保全命令を受けた。負債総額は約37億円。
同社は、上場企業やファンドなどの出資により、次世代液晶である有機ELの生産を目的に2005年3月、原発の六ヶ所村に設立された。しかし、製造ラインのデタラメ、東北地震の影響、リーマンショックと生産は完全に空回り、商売にならず、出資金や生産工場資金借入を食い潰し、得体の知れない上場企業である昭和ゴムからも出資を受けたものの行き詰った。

白色有機ELの研究開発段階と生産へのシフトの難しさが現実化したが、有機EL自体今だ商品力が乏しく、こうしたチャレンジは国の全面的な支援の下、大手上場企業の専門スタッフも取り込み、スタートさせる必要があったと思われる。

有機ELで不可能とされた白色を山形大学の城戸教授が93年新発明、それを産業にと、それまではよかったが、生産となると大手の叡智が必要であった。現実は生産ラインを動かしたもののモノにならず、また販売マーケティングも手付かず状態。将来の市場が15兆円であったとしても、足元の経営が必要であり、生産システムのトラブルなど、生産技術やその会社の能力を超えていたのかも知れない。成功の近道は、ソニーや東芝・日立などと組むことである(シャープと松下は現液晶に執着中)。

<白色有機ELに関する資料>
 有機ELは、既にデジタルカメラや携帯電話をはじめ、今やさまざまな製品で使われ始めている。2007年11月にはソニーが最も薄い部分の厚さが3mmという有機ELテレビを世界で初めて発売、先行予約であっという間に品切れになるなど、大きな話題となった。有機ELディスプレイの特徴は、液晶のようなバックライトが不要なこと。数mmという極限の薄さで折り曲げも可能。しかも低電力で視野角も広い。まさに夢のディスプレイである。将来の市場は15兆円ともされている。極薄・変形照明・ディスプレイなど多彩な開発が可能。

<研究開発から産業へ>
有機半導体産業の集積を目指した城戸教授提唱の山形有機エレクトロニクスバレー構想の中核研究開発拠点が有機エレクトロニクス研究所。山形大学工学部と連携しながら、バレー形成に向け、研究開発と産業の集積を2003年から3フェイズで段階的に進める構想。
(93年に白色有機EL開発)、2003年スタート、
①最初の7年間では、有機ELパネルの実用化技術の開発に主に取り組み、同時に有機白色照明の実現を目指す。
②次の5年間では、有機EL白色パネルの普及とともに、ほかの有機デバイスの実用化技術の開発を推進、企業誘致、ベンチャーの創出と産業を集積。
③次の5年間ではほかの有機デバイスの実用化や、山形を100社が集まる産業の集積地化を目指す。
ディスプレイデバイスとしてメジャーになりつつある有機ELだが、その可能性はディスプレイにとどまらない。例えば、有機白色照明。照明にはすでに蛍光灯がある、と考える人がほとんどかもしれないが、すでにEUでは蛍光灯の水銀を規制するなど、環境問題対応などで新しい動きが出始めている。
城戸氏が注目するのは、その産業としての裾野の広さ。「照明パネルが実用化されれば、中小企業にぴったりの製品になる。マーケットがちょうどいい規模。しかも、少量多品種が求められるという点も中小企業向き。セル生産など、中小企業のもつさまざまな強みが生かせる商品になると思う」。
 
<城戸教授 山形大学 大学院 理工学研究科 有機デバイス工学専攻>
1959年、大阪府生まれ。84年、早稲田大学理工学部応用化学科卒。89年、米国ポリテクニック大学大学院の博士課程を修了し、同年山形大学工学部高分子化学科に助手として赴任。93年、世界初の白色発光有機EL素子の開発に成功。95年、助教授。2002年教授。同年から始まった経済産業省・NEDOによる有機EL国家プロジェクト「高効率有機デバイスの開発」のプロジェクト研究総括責任者。03年から、有機エレクトロニクス研究所所長。有機ELの研究・開発の第一人者として教鞭を執る傍ら、複数の産官学のプロジェクトのリーダーを務め、有機ELの事業家を推進する中心的役割を果たしてきた。特許は申請中のものを含め、100を超えるという。米国情報ディスプレイ学会特別功績賞受賞など、受賞多数

 

[ 2010年7月 5日 ]
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