アイコン 日本振興銀行破綻で揺れるNISグループ② 中小企業投資機構ほか

中小企業投資機構の黒澤明宏代表は、中小企業ネットワークのメンバー13社からなる企業投資組合IFSを組成して、NISグループや破綻した日本振興銀行から離れ、新たなグループを形成しているようである。
その第一弾が、本年3月23日に実行した「IFSパートナーズ・ファンド1号投資事業組合」による中小企業信用機構(元、アプレック)の公開買い付けである。当公開買い付けには、中小企業信用機構のほかに株主のNISグループ(38.9%)、中小企業保証機構(25.0%)、中小企業人材機構(20.0%)、ニッシン債権回収(12.8%別)も賛同して、結果44.72%を取得して筆頭株主になった。

それ以前の動きでは、09年10月13日、中小企業IT投資機構が保有していた中小企業投資機構の株を黒澤明宏氏(09年4月中小企業投資機構の執行社長に就任、10月に代表に就任)に15万株、バーズアイ技術投資へ75000株を計2,090万円譲渡し、黒澤沢氏らが取得している。
また2010年1月25日、中小企業投資機構は、㈱生産者直売のれん会、㈱匠味本舗、㈱彩豆堂のそれぞれの第三者割当増資を引き受け傘下に納め、同日M&Aオークションも51.2%の株を取得して子会社化(10/7月期、㈱生産者直売のれん会、㈱匠味本舗、㈱彩豆堂などは一括して売却済)している。

2010年6月30日になると、43社の非上場の持株をNIS インキュベーション・ファンド1 号投資事業組合(中小企業投資機構㈱も出資)に対して、簿価の5億30百万円で売却。7月30日には19社の持株を簿価の3億46百万円で同組合に売却、更に同日、黒川健太氏に対して3社を1億33百万円で売却して企業投資事業を大幅に縮小させている。
9月15日になると、8月発表どおり100%子会社のプリント配線基板会社ユメックスアイプラス㈱を80百万円で譲渡している。

中小企業投資機構㈱は、傘下の熊青西九州青果(熊本市)などの青果卸売業の売上高が141億55百万円、企業経営支援事業4億31百万円、食品流通事業11億86百万円、不動産業24百万円、プリント配線基板事業9億29百万円など計167億44百万円の売上高で営業利益1億48百万円の企業体である。いろいろ子会社群や所有している会社の企業をまとめてNIS系の投資組合に売却しているが、売却した先も所有している会社も高収益企業は全く見当たらない。

9月10日になると、密接な関係先である日本振興銀行が破綻、同社は同日、同行株の2億19百万円(簿価)を損金処理すると発表。
また、IFS投資組合を通して同社が実質傘下に納めた中小企業信用機構は、第三四半期における営業収益(=売上高:13億77百万円)の56%が、日本振興銀行に対する保証業務収益であり、営業収益に大きなダメージを受けると発表。また日本振興銀行の株を18億38百万円所有していたため紙切れになり特損が発生、同社の第三四半期における自己資本は13億59百万円であるため、得意のウルトラCでも発動しない限り債務超過に陥るとしている。

中小企業信用機構は、20年前のアプレック時代にそうであったように、リファイナンスしやすい商業手形割引をメイン業務にすると公表しているが、時代は大きく当時と変わっており、ましてやその間、商工ローンでボロ儲けしてそのノウハウも失しているものと思われる。同社グループと関係が深い田舎銀行の西京銀行も日本振興銀行の破綻で、銀行業務の見直しを迫られるものと見られ、資金スポンサーも厳しいものとなってくる。

IFS投資組合員
中小企業投資機構
中小企業飲食機構
中小企業建設機構
中小企業製造機構
中小企業流通機構
中小企業支援機構
中小企業経営支援機構
中小企業業務機構
中小企業自動車機構
中小企業再生機構
中小企業リゾート機構
中小企業レンタル機構
中小企業農業機構
中小企業不動産機構

IFS組合員外の中小・・・
中小企業信用機構
中小企業IT機構
中小企業管理機構
中小企業監査機構
中小企業信販機構
中小企業人材機構
中小企業サービス機構
判明分のみ
 

中小企業投資機構の株主構成2010年3月
株主名
所有株数
比率
中小企業保証機構
683,496
8.76
中小企業人材機構
683,496
8.76
KENNIX HOLDING LIMITED
677,880
8.69
中小企業信用機構
613,496
7.86
中小企業支援機構
613,496
7.86
中小企業管理機構
613,496
7.86
中小企業IT支援機構
393,496
5.04
黒澤 明宏
150,000
1.92
中小企業信販機構
105,398
1.35
中嶋 豊次
100,000
1.28

 こうしてみると決して黒澤氏は、NISグループから独立した動きではなく、グループ内で泳いでいるようである。
NIS-Gグループは、これまで日本振興銀行を核として動いてきたものの、同行の雲行きが怪しくなり、本年に入り急遽、慌しく日本振興銀行からの乳離れをしたようである。
しかし、グループ間で資金をグルグル回している可能性も高く、NISグループと中小企業・・機構㈱関係は、一体の会社と看做した方が賢明かと思われる。
ネオラインも含め日本振興銀行に対する保証業務で収益を支えていた一面もあり、NIS-Gグループは収益基盤の確立が早急に求められるものである。
 

[ 2010年9月24日 ]
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