アイコン 福岡市長選 高島氏圧勝 民主党政権に大打撃

高島宗一郎氏当選した
高島宗一郎氏

政令指定都市の選挙として、国政レベル以上の戦いであった今回の福岡市長選挙、自民党や公明党などの支援を受けた高島氏が、民主党・社民党などが支援した吉田氏(現市長)に対して64,704票差を付け圧勝した。
2期目が一番強いとされる首長選挙で負けた吉田氏の敗因は、何であったのだろうか・・・。その一つは、アイランドシティへのこども病院移転の公約違反問題がある。

前回選挙ではアイランドシティへのこども病院移転推進を掲げて3期目を目指した山崎市長に対して、吉田氏は民主党の支援を受け、争点となったアイランドシティへのこども病院移転に対して見直しを訴え、自民党や公明党が支援した山崎市長に対して勝利した。ところが、吉田市政となり、吉田氏はアイランドシティへのこども病院移転に転向してしまった。開いた口が塞がらない公約違反をやり遂げたのであった。今回の選挙で吉田氏は民主党の支援を受けようと必死であったが、吉田氏の信用は有権者レベルでは既に信用外のものとなっていた。そのことを裏付けるように民主党福岡県連の国会議員が「吉田では勝てない」と自らのホームページで表明するほど難航したことも事実である。また、前回選挙では、民主党や社民党・ネットワークのシンパ票の殆どが、アイランドシティへのこども病院移転反対票であった。そうした政党や会派の有権者無視の動きに、今回、有権者は吉田氏にNONを突き付けたのであった。
 二つ目は、民主党政権の不甲斐なさである。国民は昨夏、民主党に新しい日本を負託した。しかし、当の民主党政権は、政治資金問題に揺れ鳩山首相は逃げ出し、菅政権になっても日本固有の領土である尖閣諸島沖での不法中国操業・漁船の体当たり攻撃ビデオを公開もせず、国民の知る権利さえ奪う横暴政権となっていた。有権者は、民主党政権に期待したものの、何も変わらないどころか、国民に対して政治不信を助長させているのが現実である。
一方、自民党は、若手が旧派閥を払拭して新自民党樹立に頑張っている。小泉(進)・後藤田・河野・石原などが台頭、国民は彼らの政治信念より、その若いエネルギーに魅力を感じている。民主現政権は、野党であった時のKANのイメージは全くなく、KANはSENGOKU爺の浄瑠璃人形に化かし、有権者=国民は失望し切ってしまっている。

こうしたことを背景に、吉田氏の転向市政に前回支援した有権者が完全に離れ(吉田市政のアイランドシティへのこども病院移転の反対署名は18万人に達していた)、また吉田氏が依存した民主党は政権党ながら、国民の負託に応えられず右往左往している有様に福岡市民も失望。吉田氏には博多湾特有の冬の冷たい風が、アイランドシティだけではなく本人に強く吹き抜けた。

 高島氏の勝利は、高島氏を除き、選挙に立候補した残り6人が、吉田市長が進めるアイランドシティへのこども病院移転の白紙または見直しを公約としたことで、昨夏選挙で民主党に風を吹かせた有権者の票は、今回選挙では民主党から完全に離れ、分散化してしまった。当の高島氏は、選挙戦後半、そこまでするのという驚きの下、一転してアイランドシティへのこども病院移転を「再検討」することを表明、同移転推進により吉田市政に失望していた有権者に対して大きくアピールした。アイランドシティへのこども病院移転を推進する自民党・公明党・保守会派の支援を受けながらも、選挙本番も中盤になり公約を撤回して、再検討を公約したのであった。そうした若い高島氏に有権者は、強烈な独自性を見出し、新保守の鮮烈な姿を見たものと思われる。

また、吉田氏への最後の止めは、植木とみ子女史の選挙本番中の降板である。植木女史は念願の政党や会派の推薦や支援を得られず、選挙戦では3番手4番手を戦っていた。同女史には山崎前市長が参謀として強力にバックアップ、前市長の山崎シンパも結集した保守陣営であった。
選挙戦終盤、報道機関から吉田・高島候補の接線が大きく報道されると、自民党が水面下で保守陣営の一本化へ強力な動きを見せ、山崎元市長の元裏参謀が調整を働きかけ、自民党国会議員が植木陣営に接触、山崎元市長を介して植木女史の降板が決定した。植木女史も参謀の山崎元市長も当然反吉田、その陣営が高島候補へ動いたことも大きかった。
国政の自民党にとって、支援する高島氏のアイランドシティへのこども病院移転再検討表明など些細なこと、自民党支援候補者が勝つことだけがすべてであった。

当の高島氏が立候補を表明した時は、福岡市議団の自民党・保守会派から立候補を要請されただけのKBCアナウンサーであり、立候補表明の中身も全くしどろもどろであった。  
しかし、選挙戦が進むにつれ、高島氏の目の色が変わっていたのもまざまざと見た。その若さと熱意・情熱が有権者に大きくアピール、今回、接戦予想を大きく翻し吉田氏に圧勝したものと思われる。

2010年11月14日福岡市長選挙 投票結果
候 補 者 名
得 票 数
<当選>高島宗一郎
209,532
吉田  宏
144,828
木下 敏之
74,228
有馬 精一
21,500
植木とみ子
13,277
荒木 龍昇
12,313
飯野 健二
5,445
内海 昭徳
5,410
有権者数 1,127,359人  
 
投票者数 492,277人  
 
投票率   43.67%
 

今回の選挙で、北海道に続き民主党政権は大惨敗、大打撃を被ることになった。一方、政治資金問題で矢面の小沢議員は「そら見たことか」と、現内閣に対して反旗を翻すことも射程距離に至っている。もう小沢議員の目はないが、大義名分「国家を憂い新保守結集」という野望により、政権奪取に動く可能性が現実のものとなってきた。

 
[ 2010年11月15日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサードリンク

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •