アイコン 長崎駅周辺区画整理事業に大問題あり(1)

長崎駅長崎市が現在行っている長崎駅周辺区画整理事業は、長崎市が一方的に作成した現所有者の仮換地につき、審議会が次々に了承しており、大問題を引き起こしている。その原因と問題点を追跡する。

長崎駅周辺区画整理事業は昨年10月、議会で事業計画の決定を受けて、審議会を発足させ懸案の事業をスタートさせた。実務は長崎市都市計画部「長崎駅周辺整備室」が担当している。
そもそも当区画整理事業は、長崎市が平成9年度に長崎駅周辺地区の再整備基本計画を策定、以後、土地区画整理事業の事業化に向けた検討を進め、長崎新幹線構想が具体化する中で動き出した。長崎本線は、現在交通を分断しているJR長崎本線および長崎新幹線を連続立体交差させることで、当土地区画整理事業を施行することにより、新幹線、在来線といった鉄道施設の受け皿を整備するとともに、道路や駅前広場などの基盤整備と土地利用の転換・有効利用を図り、国際観光都市長崎の玄関口にふさわしい都市拠点を形成しようとするものである。
長崎市は、平成9年度に長崎駅周辺地区の再整備基本計画を策定してスタートさせた。以後、土地区画整理事業の事業化に向けた検討を進め、平成21年10月30日に事業計画が決定。長崎駅を中心とした約19.2ヘクタールの区域で土地区画整理事業を進めるというものである。

長崎駅周辺地図 

施行者である長崎市は、区画整理事業地の再開発の青図面を作成、それに基づいて事業は動き出したが、何のための、誰のための事業なのか、区画整理事業の原則に反する長崎市の施行に大問題が発生している。
 
※区画整理事業地は、法律により審議会を発足させることになっている。審議会は地主関係者8人、学識経験者2人の合計10人で構成される。当事業地は、たまたま地主総数が8名であったため、地主全員が審議員に選出された。
(土地区画整理審議会は、都道府県や市町村が施行する土地区画整理事業に設置することになっており、宅地の換地の位置や面積などを決定する際に、権利者の意見を事業に反映させ、民主的に事業を運営する重要な役割を持つ組織

 審議会は、4月16日に1回目が開催されたが、辞令交付などのセレモニーが主であった。2回目は5月12日開催され、勉強会として①当事業について、②当事業の仕組みについ
て、③換地計画について、④精算金について勉強会を開催した。 

3回目では、素人の審議委員に対して、もう議案が提出されている。1号議案は、長崎市が作成した換地設計基準(案)について、2号議案は小規模宅地の取り扱いに関する規定(案)について、3号議案では、特別の宅地に対する措置についてであったが、何故か非公開となっている。ここで、長崎市が作成した原案が、すべて原案通りに承認可決されたとしている。

4回目は7月30日開催、審議会会長の菊森氏(ながさき地域政策研究所の理事)が病気のため欠席、変わって長崎大学準教授の杉山氏(学識経験者側の審議委員)が会長代理を務め、審議に入っている。
そこでは、審議委員のうち土地所有者の委員1人が、不動産を売却したため、当該委員は地位を失ったと報告され、補充については平成27年の次期改選までしないことを決定している。
欠員のまま4回目の審議(非公開)がなされ、1号議案:仮換地(換地設計)案について、2号議案:保留地の位置、地積について、議事が進められ、原案通り承認されている。

参加した委員によると、1号議案・2号議案は「スライドで説明を受けたが、いきなりそうした説明を受けても、事前に詳しく説明も受けておらず、自社の土地の借換地で目いっぱいであった。短時間で他の所有者の分を検討する、判断する余裕は全くなかった。マツハヤさんの仮換地は、たぶん聞き逃したのだろうが、説明があったかどうかもはっきり覚えていない。5回目(11月12日開催)の審議会で取り上げられたマツハヤさんの所の土地については、(長崎)市役所が4回目の審議会で、審議に図る前に、当然事前にマツハヤさんの所の新所有者に了承してもらっていると思っていた。それで賛成した」というものであった。

審議会委員を失格となった人は、大通りに面するマツハヤ石油の給油所やレンタカーの営業店舗を所有していたマツハヤ石油関係者。当不動産は、マツハヤ関係者から第三者に譲渡されたのであった。なお、当地は、駅前広場のタクシー乗場に面し、表側は202号線大通り(片側4車線、市電も中央に走っている浦上通り)に面する一等地である。

まだ3回(実質2回)しか開催されていなかった長崎市役所主導の審議会は、マツハヤ関係から購入した新所有者を委員にも予備委員にも選出せず、地権者(8名)が全員、審議委員に任命されているにもかかわらず、長崎市役所は、新所有者を唯一審議会から除外したまま4回目の審議会が開催され、仮換地という区画整理事業において最需要事案を決議している。 
 
審議委員のメンバーが言うように、施行者である長崎市は以前(平成9年)から計画していたのだろうが、所有者に諮られたのは昨年末、審議会の発足は本年4月16日である。素人の審議会メンバーに対して、何故そこまで長崎市は急ぐのだろうかと。何か見え隠れしてならない。
しかもマツハヤ石油の仮換地こそが大問題であった。
つづく
 

 

[ 2010年12月17日 ]
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