アイコン 天下の松尾建設(株)/決算を追う(3)財務内容の改善進む

同社の財務内容は、大幅に改善されてきている。平成19年3月期6.48%の自己資本率を平成23年期には11.83%の2桁台まで改善させた。その過程で194億22百万円あった借入金を104億62百万円まで約90億円も減少させている。そうしたことから借入金の月商倍率も健全域とされる3ヶ月未満の2.18ヶ月分となった。
また、この間の総資産は536億67百万円から、431億94百万円と104億73百万円減少、ほぼ借入金の圧縮により総資産を減少させてきていることが判明する。
借入金返済原資の一つに、販売用不動産の処分がある。同期間比較で22億62百万円減少している。
受注先により流動的ながらも未成工事支出金と未成工事受入金のバランスも大きく改善されている。

一方、純資産(=ほぼ自己資本)は35億65百万円から51億28百万円まで増加、財務内容の改善は、そうした総資産の圧縮・効率経営及び利益計上により達成されている。
なお、同社の場合、本拠地が佐賀の田舎であるため、ファンドバブル崩壊による同社所有不動産の評価への影響は殆どなく、また、それまで以前の影響は、平成18年3月期に約25億円に上る不動産評価損や減損損失などを計上して処理済である。

前期には、本体で行っていたドコモショップ事業を売却、2億89百万円の事業譲渡益を特益計上するなど、垣根のない経営効率化のための方策も実行して財務改善をはかっている。

資金繰りについては、安定性の指標である当座比率(当座試算/流動資産)は、100%以上が健全経営とされる。同社の場合、まだ自己資本率が11%台であり、改善の余地だらけであるが、同期間比較で当座比率は57.1%から66.9%と約10ポイント改善されている。(流動比率は、同期間比較で85.0%から84.5%と改善はされていない。)

販売用不動産は、最近まで東京や福岡にも所有していたが既に処分され、前期末における販売用不動産の土地は、佐賀県に簿価12億73百万円、長崎県に78百万円、そのほか50百万円となっている。

以上、同社の財務内容は峠を越え改善されている。また、営業面も先述のとおり、九州新幹線西九州ルートの工事が始まり、営業も以前にも増して民間建築工事を積極的に受注している。同社にとって財務内容の改善のほかに、受注環境や営業体制は最悪期を脱したといえる。そうしたことから、会長や副社長の代表取締役2名の退任が実現し、若きリーダーに今後が任されたものと思われる。

         

第60期

第61期

第62期

第63期

連結/百万円

H20/3

H21/3

H22/3

H23/3

売上高

61,462

69,946

51,595

57,484

経常利益

415

548

805

971

当期純利益

516

564

783

1,063

純資産額

3,178

3,458

4,159

5,128

総資産額

45,731

50,221

44,512

43,194

(資本金)

500

500

300

300

自己資本比(%)

6.9

6.85

9.29

11.83

未成工事支出金

3,272

1,843

955

664

未成工事受入金

3,728

2,552

2,004

2,839

有利子負債

17,165

19,050

16,918

10,462

販売用不動産

4,126

4,321

4,369

3,445

現金及同等物期末残高

2,023

3,166

4,602

6,160

従業員数 社員

789

802

788

790

    臨時

261

257

228

241

 

         

第55期

第56期

第57期

第58期

第59期

連結/百万円

H15/3

H16/3

H17/3

H18/3

H19/3

売上高

71,693

64,533

65,854

68,337

67,466

経常利益

680

712

750

625

180

当期純利益

-1,373

529

177

-2,228

-592

純資産額

5,043

6,011

6,214

4,468

3,565

総資産額

66,158

58,535

57,264

57,626

53,667

(資本金)

500

500

500

500

500

自己資本比(%)

7.62

10.26

10.85

7.75

6.48

未成工事支出金

 

 

 

2,714

3,913

未成工事受入金

 

 

 

2,704

4,672

有利子負債

 

 

 

21,889

19,422

販売用不動産

 

 

 

4,430

5,707

現金及同等物期末残高

4,386

4,224

4,374

3,342

3,528

従業員数 社員

978

965

914

891

864

    臨時

247

256

261

272

231

 

H23年3月期の有利子負債の状況(単体)

/百万円

短期

長期

佐賀銀行

3,142

408

3,550

十八銀行

1,758

 

1,758

福岡銀行

900

 

900

佐賀共栄銀行

724

 

724

三菱東京UFJ

623

 

623

商工中金

 

228

228

年金福祉事業団

 

220

220

その他

974

532

1,506

合計

8,121

1,388

9,509

※松尾建設㈱単体分  社債なし、割手なし、借入金のみ。

 <企業内容ばかりでは、面白くないので過去の情報一つ>

福岡県春日市に大きな徳洲会病院がある。その隣に麻生グループが所有していた生コンプラント工場があった。徳洲会病院が購入して病院を移転改築する計画。

当病院の改築工事の請負会社は、同土地の元所有者が麻生グループであり、中核企業の麻生商事(麻生元首相のお膝元の会社)と取引関係にある松尾建設になるのではとされていた。そうした動きに対して、昨年3月、松尾建設本社に散弾銃が打ち込まれたともいわれていた。
しかし、昨年6月着工予定とされた現場は動かず、今年6月に変更されたといわれていたもののそれも動かず、蓋を開ければ、来年1月(予)からとなっている。現在建築確認申請中のため、関係者はそれもまだ確定していないという。
また、建築ゼネコンは、9歩9厘松尾建設に決定していたと思われていたが、病院側により本年3月、入札説明会が開催され、清水建設が落札した。
しかし、この間、当病院側の現地責任者(事務長)がいつのまにか交代するなど、何か胡散臭い動きもあり、いろいろ空砲に終わったようである。今後ともタマだけはご遠慮願いたい。
 
当病院について確定したことは、清水建設により新築工事がなされ、旧棟の解体もなされるということである。
 
<新病院棟の概要>
延床面積:約5万3,000㎡、10階建
ベッド数:600床
施行会社:清水建設(徳洲会の千葉総合病院なども手掛けている)
工 期 :2012年1月着工~2013夏竣工 旧棟解体  2013年末(すべて完成)(予定)
設 計 :新都計画(大阪)・・・徳洲会病院の設計に多くの実績
 
松尾建設 
[ 2011年8月25日 ]
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