アイコン スルガ銀行 経営の危さ

スルガ銀行

スルガ銀行は、4月8日経営破綻したサラ金の丸和商事に243億99百万円も焦付き、しかも169億円も保全していなかった実態が浮かび上がっている。そのため、同行は4月11日業績予想を下記の通り、大幅に下方修正した。

連結/百万円
08/3期
09/3期
10/3期
11/3期の2月の予想
11/3期の今回の予想
売上高
116,672
111,856
105,853
96,000
94600
営業利益
42,945
34,299
39,395
 
 
経常利益
32,013
17,763
22,031
22,500
1,000
当期利益
17,131
10,450
14,244
14,500
2,000
総資産
3,108,262
3,143,573
3,282,710
自己資本
183,015
186,494
191,489
資本金
30,043
30,043
30,043
自己資本率
5.80%
5.90%
5.80%
国内基準率
 
11.14%
10.97%
 
 

スルガ銀行は、丸和商事に対して、貸付残の70%が保全されていないというなんと不健全な貸付方をしていたのであろうか。通常、サラ金業者への貸付は、その担保に不動産などのほか、業者の貸付債権を担保に取り、その掛け目も今では50~60%程度以下で貸し付けている。それも貸付先の個人や企業からの不当利益返還請求もあり、融資すること事態、銀行は躊躇して貸し出しをしていないのが現状である。
そうした中、スルガ銀行は、担保も取らず、丸和商事に169億円もプレゼントしたことになった。これは経営責任の問題である。

こうしたアヤウイ融資手法を採用しているスルガ銀行の経営陣に対して、同社の株主は経営を任して、よいのだろうかと思われてしかたない。

同社の最近の業績好調は、リテール事業の拡大にあるとされている。しかし、ここでも営業の仕方などで問題になっている投資用マンション業者の受け皿銀行となり、リテール事業を拡大しているという話が伝わってきている。

この投資用マンションは、一般個人の投資家が購入時、2年くらいは家賃保証が付くものの、2年後には保証も切れ、その借金に苦しんでいる話が多く報告されている。
まず、その原因は入居率の問題にある。08年10月のリーマンショックまで、地方の大都市まで投資用マンションが不動産ファンド向けに乱開発されてきた。当然、需給バランスが崩れ、賃貸マンションは完成しても空き部屋だらけ、夜の灯りも少ない賃貸マンションが目立った。それでも時間の経過とともに入居も進んだものの、そこにも落とし穴があった。今度は入居した人たちが、長引く不況で家賃を支払えなくなっているのだ。当然、投資用マンションを購入した家主には、家賃保証期間も切れ、家賃収入が滞り、手出しも限界があり、借入返済ができなくなっている一般個人投資家が多発しているという。それも限度になり、叩き売っている話も多く聴かれる。
そうした投資用マンション購入ローンを、投資家に貸し出す金融機関では、ジャックスが以前から知られ、今では一番残高を多く持っているのはオリックスではとされる。銀行では、殆どの金融機関が尻込みしている投資用マンションやアパートローンの購入ローンに対しての取扱量は、スルガ銀行が一番ではないかといわれているのである。

更に最近では、ローン返済が滞ったり、家賃収入が空き部屋になり、ローン返済で困っている個人投資家に対して、部屋を多く持てば滞納リスクが小さくなると更に売りつけている業者もいるという。
そうした業者の受皿会社に、スルガ銀行の存在が噂されている。完全なオーバーローンではないかとみられている。現場では、新たなる融資による事故隠しにも使われているようだ。

投資用マンションローンのリスク問題はかねてから問題視され、そのリスクに加え換金性からも普通の銀行が踏み入れないローン分野となっている。
そうした分野へ大きくスルガ銀行が舵を切っているのであれば、目先の利益は大きくなろうが、今回の丸和商事の例に見られるように、今後のスルガ銀行の経営に大きな問題を残してしまう恐れが高いと危惧せずにはいられない。

同行の財務内容は、今のところ健全領域にある3兆円規模の普通の銀行である。しかし、転がり始めたら、次から次に問題が生じ、健全な財務内容もボロボロになってしまうことは、バブル時代に破綻していった地方銀行の破綻経過を見れば一目瞭然である。

同行は、岡野一族の所有物のようで、岡野兄弟が代表取締役を会長・社長として平成10年から務め続けている。当然お気に入り人事による組織の硬直化もあろう。そうした弊害が、今回の丸和商事の件で露呈したのではないだろうか。
また、投資用マンションやアパートローン、はたまた評価額を上げるなどしてオーバーローンへの大規模参入が事実だとすれば、そのアヤウさを感ぜずにはおれない。

[ 2011年4月12日 ]
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