オリンパスの今後の問題点 気になるハゲタカの動き 監査報告書付
オリンパスは、粉飾決算の額次第では上場廃止、一時的にも即監理銘柄にした方がベストだと思うのだが・・・。
小物ばかり追っかけるのが得意な証券等取引監視委員会も8日、外野席が煩く、火の粉が降りかかってきたためやっと動き出すと発表している。
<粉飾は有価証券損失1,000億円>
高山社長は8日、バブル崩壊で生じた有価証券評価損が1千億円と述べ、その処理をせず粉飾を続け、いよいよ処理するに当り元大手証券会社員からアドバイスを受け、国内企業3社と英国ジャイラス社の買収により、粉飾していた1千億円を消し込む作業を行ったとしている。
粉飾処理の指南をした人物こそが佐川肇氏であり、元米野村證券マン。米国に住む佐川氏はジャイラス社買収で、そのトリックを実行してみせたが、英国人のオリンパス社長には納得いかなかった。
それにしても監査法人はどこ見てたんやろか。
粉飾決算の修正はあっても、粉飾の1千億円は殆ど清算されており、これ以上大きな損失を出すことはないように思える。但し、英国や米国から、日本とは桁違いの課徴金が請求されたら別である。
この4年間に経常利益は1,787億円計上されているにもかかわらず、自己資本が減損等で1,811億円減じている。そのうちの1千万円が処理されたのだろう。
この間有利子負債が1,865億円も増加しているにもかかわらず、総資産は殆ど変化がない。のれん処理などに隠し、消し込んだと思われる。
もう既に充分、自己資本額に影響をもたらしている。
オリンパスの業績推移 | |||||
連結/百万円 | 2007/3期 | 08/3期 | 09/3期 | 10/3期 | 11/3期 |
売上高 | 1,061,786 | 1,128,875 | 980,803 | 883,086 | 847,105 |
経常利益 | 76,226 | 93,085 | 18,390 | 45,115 | 22,148 |
特別損失 | 3,377 | 2,584 | 110,382 | 10,897 | 5,507 |
(のれん償却) | 76,201 | 2,334 | |||
当期純利益 | 47,799 | 57,969 | -114,810 | 47,763 | 7,381 |
総資産 | 1,091,800 | 1,358,349 | 1,106,318 | 1,152,227 | 1,063,593 |
自己資本 | 344,871 | 367,876 | 161,364 | 209,432 | 163,734 |
自己資本率 | 31.6% | 27.1% | 14.6% | 18.2% | 15.4% |
有利子負債 | 462,214 | 656,756 | 661,224 | 661,481 | 648,787 |
<ジャイラス社の株価操作はなかったか>
オリンパスのこれまでの説明では、ジャイラス社の巨額優先株式買取額は、これまでのオリンパスによると佐川氏側とオリンパス側の言い値の中を取って決定、優先株を引き取ったとしている。
買収契約後に優先株式は発行されており、優先株式発行価格の3.5倍で佐川氏側から買収したとしていることから、ジャイラス社の英国での株価は、優先株式を発行した時から7倍に跳ね上がったことになる。それは跳ね上がったのではなく、跳ね上げたことになり、株価操作で英国の当局から刑事罰・巨額な課徴金が申し渡される可能性がある。佐川氏側が株価以上に購入価格を引き上げるとは考えられない。
しかし、上述したこと自体、オリンパス側の嘘であるのであろう。
優先株買収に当っては、ジャイラス社の株価に何らなに基づき売買されていたと思われ、やはり株価操作の疑いが生じてくる。(買収契約の時(2008年2月)に株価は上がるが、時間が経て大きく跳ね上がることは通常考えられない)
オリンパスのジャイラス買収劇経緯 | ||
AXAMとFA契約締結 | 2007年6月21日 | AXAM=ハジメ・ジム・サガワ |
ジャイラス社買収 | 2008年2月 | |
優先株発行 | 2008年9月30日 | AXAMがジャイラスの優先株式取得 発行会社:ジャイラス |
佐川氏側への支払額 | ||
基本料 | 500万ドル | |
成功報酬 | 1,200万ドル | 5%、上限1,200万$ |
ワラント買取 | 5,000万ドル | |
優先株買取 | 62,000万ドル | 発行原価:17,698万$ |
<前社長がスコットランドヤードに保護求める>
オリンパス前社長のマイケル・ウッドフォード氏は、英国の警察に身辺の保護を求めている。
株価操作の事実が少しでも判明すれば、オリンパスには刑事罰と巨額の課徴金が英国当局から課せられることになろう。
しかし、どう見ても、オリンパスはこれまで、嘘の塊だけを公式に発表していたようだが・・・。
<FBI>
この問題について、アメリカのFBIは、オリンパスのマイケル・ウッドフォード元社長からヒアリングしており、佐川肇氏からもヒアリングして非公式に調査に入っている。
同社はアメリカで企業買収もしており、アメリカで業務も営んでおり、司法当局から刑事罰や過酷な罰金が言い渡される可能性がある。
<新日本監査法人>
監査法人は、通常大きな金額の資産や負債については、決算毎に詳細を調べ上げる。新日本監査法人が何らか手心でもしていたことが発覚した場合、中央青山監査法人の似の前になる可能性すらある。
有価証券類は、決算毎に時価評価し直して、評価損が発生した場合計上することになる。こうした作業はオリンパスの社員が行い、そのチェックを担当している公認会計士以外の見習いの公認会計士や勉強中の監査法人の社員が行う。そうしてチェックを受けた分を、印鑑を押す公認会計士が最終チェックする。
そうした作業手順の中で、投資有価証券類は上場・未上場に関係なく、監査の評価手法に基づき絶対毎期チェックする、1千億円が漏れるとは到底考えられないのである。
ならば、手心を働かせたのではとの疑いが濃ゆくなってくる。
手心は一切していなかったとしても、監査法人としての責任問題が発生しよう。
<野村證券>
野村證券は、オリンパスが1990年頃から粉飾していたと表明しており、この間同社の増資や社債発行の主幹事証券を務めており、当時の監査法人ともどもその責任を問われることになろう。社債残は3月末で1,100億円ある。
<役員を告発へ>
高山社長は、現行の役員では、菊川元会長・森副社長・山田監査役(元取締役)に対して刑事告発もあるとしているが、それ以前の社長や会長・担当した役員も巨額の報酬や退職金を得ておりその責任が刑事・民事にも及ぼう。
<贈与税が課せられる>
佐川肇氏側に便宜を図った見返りに、高額のM&A報酬を支払った可能性があり、通念上より高い報酬部分は贈与に当る可能性がある。
その分はのれん代などとして償却や経費では落とせず、課税対象となる。佐川氏側にも米国で税金が課せられる可能性がある。
<ハゲタカの脅威>
株価が8日734円のストップ安となっている。8日15時の売残と成行売残の合計は1000万株に及んでいる。時価総額は1991億円まで落ちており、ハゲタカが拾っていけば安価に同社を牛耳ることができることになる。これまでにも拾ってきたとしたらハゲタカに乗っ取られることになる。
同社の発行済株式数は271,283,608株、上位10位までの比率は39.43%、そのうちハゲタカが所有しているのは、第2位にサウスイースタンアセットマネージメント インク(USA)19,406,997株保有(7.15%)、第4位にハリス・アソシエーツ(USA)(4.5%前後)であり、他にも臭いのがいる。
株価暴落以前に11.6%前後既に所有しており、現実味帯びるのである。
ハゲタカだけには、過半を持たせては絶対ならない。
オリンパスの主要株主 平成23年3月31日現在 | ||||
株主名 | 住所 | 所有株数 | 割合 | |
1 | 日本生命 | 22,426,718 | 8.26 | |
2 | 三菱東京UFJ銀行 | 13,286,586 | 4.89 | |
3 | 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12,875,500 | 4.74 | |
4 | 日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口) | 12,036,550 | 4.43 | |
5 | 日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口) | 9,004,000 | 3.31 | |
6 | ステート ストリート バンクアンド トラスト カンパニー 505223 | ボストン/USA | 8,772,820 | 3.23 |
7 | 三井住友銀行 | 8,350,648 | 3.07 | |
8 | ステート ストリート バンクアンド トラスト カンパニー | ボストン/USA | 7,622,271 | 2.8 |
9 | テルモ㈱ | 6,811,000 | 2.51 | |
10 | ガバメント オブ シンガポール インベストメント コーポレーション ピー リミテッド | シンガポール | 5,790,100 | 2.13 |
計 | ――― | 106,976,193 | 39.43 | |
9月段階 | ・現在は、第2位にはサウスイースタンアセット マネージメント インク(USA)19,406,997株保有 | |||
・現在は、第4位にハリス・アソシエーツ(USA)。 |
オリンパスの連結決算書 | ||
連結/百万円 | 2010年3月期 | 2011年3月期 |
流動資産 | ||
現金及び預金 | 206,783 | 213,561 |
受取手形及び売掛金 | 154,239 | 141,176 |
リース債権及びリース投資資産 | 12,399 | 17,289 |
商品及び製品 | 57,042 | 55,247 |
仕掛品 | 18,910 | 19,959 |
原材料及び貯蔵品 | 14,738 | 17,849 |
繰延税金資産 | 39,063 | 32,568 |
その他 | 32,438 | 38,659 |
貸倒引当金 | -2,736 | -2,648 |
流動資産合計 | 532,876 | 533,660 |
有形固定資産 | ||
建物及び構築物(純額) | 68,124 | 64,190 |
機械装置及び運搬具(純額) | 14,300 | 13,409 |
工具、器具及び備品(純額) | 36,665 | 37,743 |
土地 | 19,065 | 19,447 |
リース資産(純額) | 3,877 | 5,000 |
建設仮勘定 | 2,463 | 2,836 |
有形固定資産合計 | 144,494 | 142,625 |
無形固定資産 | ||
のれん | 194,065 | 175,472 |
その他 | 71,581 | 72,933 |
無形固定資産合計 | 265,646 | 248,405 |
投資その他の資産 | ||
投資有価証券 | 140,271 | 59,342 |
長期貸付金 | 3,988 | 5,734 |
繰延税金資産 | 9,492 | 15,325 |
その他 | 56,730 | 59,240 |
貸倒引当金 | -1,270 | -738 |
投資その他の資産合計 | 209,211 | 138,903 |
固定資産合計 | 619,351 | 529,933 |
資産合計 | 1,152,227 | 1,063,593 |
流動負債合計 | 332,442 | 325,948 |
社債 | 20,040 | 240 |
短期借入金 | 93,933 | 127,295 |
固定負債合計 | 602,894 | 570,809 |
社債 | 110,360 | 110,120 |
長期借入金 | 437,148 | 411,132 |
負債合計 | 935,336 | 896,757 |
純資産合計 | 216,891 | 166,836 |
資本金 | 48,332 | 48,332 |
資本剰余金 | 55,166 | 54,788 |
負債+純資産合計 | 1,152,227 | 1,063,593 |
オリンパスの借入金と社債 2011.3.31現在 | ||
借入先/百万円 | 単体 | 連結 |
三井住友銀行 | 90,300 | 90,930 |
三菱東京UFJ銀行 | 77,900 | 78,295 |
みずほ銀行 | 62,000 | |
三菱UFJ信託銀行 | 30,000 | |
日本生命 | 24,500 | |
その他 | 81,605 | |
合計 | 366,305 | 538,427 |
社債残 | 110,000 | 110,360 |
有利子負債合計 | 440,000 | 648,787 |
「単体」その他の一部/百万円 | ||
第一生命 | 1,500 | |
明治生命 | 1,500 | |
大同生命 | 1,500 | |
住友生命 | 1,000 |
独立監査人の監査報告書 平成23年6月29日 オリンパス株式会社 取締役会 御中 指定有限責任社員 公認会計士 中島 康晴 ㊞ 業務執行社員 指定有限責任社員 公認会計士 宮沢 琢 ㊞ 業務執行社員 指定有限責任社員 公認会計士 吉田 哲也 ㊞ 業務執行社員 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経 理の状況」に掲げられているオリンパス株式会社の平成22年4月1日から平成23年3月31日までの第143期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照 表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び附属明細表について監査を行った。この財務諸表の作成責任は経営者にあり、当監査法人の責任は独立の立場から財 務諸表に対する意見を表明することにある。 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と 認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準は、当監査法人に財務諸表に重要な虚偽の表示がないかどうかの合理的な保証を得ることを求めてい る。監査は、試査を基礎として行われ、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りの評価も含め全体としての財務諸表の 表示を検討することを含んでいる。当監査法人は、監査の結果として意見表明のための合理的な基礎を得たと判断している。 当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、オリンパス株式会社の平成23年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める。 会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。 以 上 ※ 1.上記は、監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社が財務諸表に添付する形で別途保管しております。 2.財務諸表の範囲にはXBRLデータ自体は含まれておりません。
[ 2011年11月 9日 ]

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