アイコン 中国株暴落 24日5.30%下落 金融市場で資金不足に陥る

アメリカのFRB(金融当局=連邦準備制度理事会)は19日、景気回復基調、金利上 昇を受け金融緩和修正方針を明確にした。このことが、世界中の投機資金に回っていたドルが本国回帰を決定付け、東・東南アジア・欧州の株が一斉に下落、通 貨安を助長させ、国債金利の上昇を招くという悪循環に陥らせている。
前兆として5月31日、NYダウが208ドル下落して表面化、経済指標の好材料に上げ下げしながら6月19日再び206ドルの下落、続く20日も直近では最大となる▲2.3%(353ドル)も下落、2日間合計では▲3.7%の559ドル安の大幅安となった。

一方、上海総合指数も、24日前日営業日比5.30%の▲109.85ポイントの大幅下落1963.24ポイントで終了した。前営業日の21日も▲0.52%下落していた。
 
原因は、外国金融機関から指摘された香港との貿易額にある。貿易にかこつけた資金の動きが貿易額を押し上げていると批判され、中国はその是正措置を先月取り、先月の貿易額は大きく落ち込んだ。
どうしてそのようなことが生じていたのかは、米国の低金利のドル垂れ流し政策で、そのドルは海外の債券市場へホットマネーとして流れ込み、中国政策当局が金融緩和に動いていたものの、ドル垂れ流し政策の転換、金利高への思惑から、一斉にドルが債券市場から米国へ引き上げられたことによる。
そのため、金融当局がこれまでに計算していた資金量(マネーサプラス)では、一時的にショートしてしまうほどの資金ニーズが、金融機関に生じたもの。当然アンダーグランド資金のニーズも長引く不況で高くなっている。
(日本では、5月23日前日比▲7.32%の1,143.28円暴落したときも、米国のヘッジファンドや投資ファンドのホットマネーが、資金を引き上げにかかったことによるものであった。それを境に円高・株安トレンドに陥った。)
アンダーグランド資金(シャドーバンキング、影の銀行)は、高利で貸し付けられ、中小の銀行や大企業・国営企業からも、こうした高利のアンダーGのノンバンクにサヤ稼ぎのため大量に資金が流れている。少々中国の中央銀行が金融緩和を行ったところで、行った先から政府の市場供給資金が何に使用するのか不明なアンダーGへ漏れ出てしまっているのが、中国の現状であり、今回のようなホットマネーの流出などが過度に生じれば、金融機関の流動性資金が枯渇し、高金利でも借り入れざるを得ない金融機関まで生じてしまう。それまでは、金融機関が企業と結託して香港から資金を取り寄せていたのが実態でもある。

中国の5月の香港への輸出は前年同月比7.7%増で、4月の57.0%増を大幅に下回った。これは香港への裁定取引が基本的に抑制され、本土と香港の貿易が数値上急減したことが原因となっている。市場では、先月までの2桁の伸びは、貿易決済を装った人民元の投機取引や香港の保税倉庫への輸出が背景ではないかとの見方が広がっていた。そのため、中国政府は為替差益を狙い輸出を装った資金流入などの行為の取り締まりを強化した影響が出たものとみられているとしていた。
こうした資金不足という事態に通常ならば金融機関は、アンダーG資金を回収して、通常の営業資金に回そうが、中国のアンダーG資金は、高利でブラックマネーに近く、まったく統計も取られていないシロ物、急に引き上げれば、相手先の多くが倒産する危険性すらある。
これまで、中小の金融機関や大企業の貸付部門(定理で借り入れ、高利で貸付けていた)がこうしたアンダーGに資金を供給して大儲けしてきたが、今では繋ぎ資金の一躍に担っていた香港資金が、中国国内へ回流してこなくなり、一機に火がついた。
 そのため、21日の中国では銀行が資金確保に追われ、最高25%の金利という異常事態となっていた。
 それを受け、24日の香港金融市場では、オフショアの人民元市場の短期調達コストが1ヶ月前の0.5%未満から過去最高の4%超に急伸、長短金利が逆転して大幅な流動性の逼迫に直面している。中国の期間5年のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)スプレッドは過去1週間で35bp(ベーシックポイント)拡大、1年ぶりの高水準の124bpをつけている。さらに、国営の中国銀行の期間5年のCDSは40bp拡大して168bpとなっている。
 こうして中国を見ていると、これまで、一部でしかバブル崩壊が見られなかったのは、内需振興策もあったろうが、ここに至ってはアンダーG資金の存在が大きな要因と見られている。
こうしたアンダーG資金(=シャドーバンキング=影の銀行)全体の統計などは金融当局でなされておらず、金融時報中国版が報じた2012年9月末時点の残高は、13.6兆元~24.4兆元の幅で推計されているとの見方がある。一方、12年末で約28兆元(対GDP比54%強)にのぼるとの見方もある(IMFはGDP比40%以上としている。最低でも13.6兆元(216兆円/15.88円)から最高28兆元(444兆円)と、その巨大過ぎるデカサが政府のコントロールが効かないという混乱ぶりの元凶でもある。
中国の危うさは、こんな大きな政府機関のコントロールの効かないところで資金が流れていたら、世界経済の低迷が続き、日本のようなバブル崩壊でもあったら、中国は完全にズッコケてしまうことになる。IMFもアンダーグランド資金について、中国政府に対して注文をつけている。
 
中国紙は次のとおり報じている。
中国は6月21日、24日と貸出の財源不足に陥った。
これをどうみるか。どのような影響があるか。米国が量的緩和政策を徐々に引き上げるであろうことと関係があるのかどうか。世界の二大経済強国である中国と米国の一挙一動に、世界が極めて高い関心を寄せている。
最近、中国の金融市場では資金不足の問題が激化している。6月20日のデータによると、上海市場の銀行間取引金利は全面的に上昇傾向を示し、13.44%という驚くべき数字に達し、過去最高を更新した。
銀行間市場で資金が不足すると同時に、上海と深センの株式市場は全面安となり、投資家は手持ちの資産を相次いで目減りさせ、株式市場からの資金流出が急増した。
債権市場も資金不足の苦境に陥り、先週には農業発展の債権の入札が流れたのに続き、新規発行の9ヶ月もの国債も同じ轍を踏んだ。

 中国は本当に流動性が不足する資金不足に陥ったのだろうか。答えは「否」である。2週間前に中国人民銀行(中央銀行)が発表した統計データによれば、5月の広義マネーサプライ(M2)の前年同月比増加率は依然15.8%と高く、貸出の新規増加額は引き続き高い水準にある。人民元建て預金の残高も100兆元の大台に迫り、1~5月に行われた貸出の規模は9兆1100億元に上って前年同期を3兆1200億元上回った。
実際のところ、通貨供給量にはゆとりがあり、多くの機関や個人が引き続き潤沢な資金によって銀行の資産管理商品や信託商品を大量に購入しており、不動産市場には活気があり、不動産価格は高い水準を保っている。ホットマネーは争って金を買い、塩漬けになりながら、積極的に投資機会を虎視眈々っている。民間の貸出にも依然活気がある。
こうしたデータや状況からわかることは、中国は資金に困っていないということだ。

資金に困っていない中国が、何故資金不足に陥ったのか。現在の流動性危機は、表面的には銀行が四半期末の監査の時期に入り、資金に対する需要が大きくなり、各銀行が貸出を控えていることと関係がある。また監督管理部門が資産管理商品や国境を越えた鞘取引に対する監督管理を強化したため、各銀行が資金を増やして規定の要求に対応しようとしたこともある。

だが、根本的には、ここ数年の金融システムの発展と運営管理体制が実体経済の発展ニーズから大きくずれてしまったことが原因として挙げられる。国が経済成長を喚起するために注入した資金は、実際には実体経済に回ることはなく、大量の資金は金融システムの内部を動き回って利ざやを稼ぎ、レバレッジ投資や満期のギャップを通じて絶えず利益を求め、資金は金融機関の間を何度も往復して利益を獲得している。これだけでなく、スケールメリットを備えた国有企業や資金集めに非常に熱心な一連の上場企業は、低いコストで資金を獲得することが容易であり、委託貸付などの方法で利ざやを稼ぐことができ、これにより資金の重複計算が生じ、社会全体の貸出額が見かけ上増加することになる。

ここからわかることは、現在の資金不足は通貨政策の引き締めによって起きたものではなく、過去数年間の金融システムが国内外の通貨緩和という政策的環境によりかかり、実体経済から離れて無計画に発展し、過度に膨張した金融資産が一時に集中的に爆発したために発生したものだといえる。
現在の中国の資金不足は、多かれ少なかれ米国が量的緩和政策を引き上げようとしたことによるホットマネー流出への期待と関係があることは否定できない。米連邦準備制度理事会(FRB)が打ち出した量的緩和政策はすでに効果を上げ、現在の米国は明らかに経済復興の流れにあり、量的緩和政策から徐々に撤退することは当然の選択だ。
ただ、米国がひとたび量的緩和政策から撤退する戦略を実施すれば、グローバル経済、グローバル金融市場、資産価格が新たなダメージを受けることは確実である。

これについて、世界各国は十分な備えをする必要があり、一時的な資金不足のために流動性を放出し、より大きな損失を招くようなことをしてはならない。と報じている。
 中国では、それより、政府がアンダーグランド資金を把握し、早期にコントロールし、対策を講じなければ、とんでもない事態に陥る可能性がある。多くの金融機関で、貸付先の不良債権を引当金計上させれば、多くの金融機関が倒産してしまい、連鎖して大手の金融機関も機能しなくなるのではとまで懸念されている。

 
<上海総合指数>
0625_02.jpg
 
 
<NYダウ推移>
本日
終値
前日比
前日比%
2013/6/21
 
 
 
2013/6/21
14,799.40
41.1
0.3
2013/6/20
14,758.32
-353.9
-2.3
2013/6/19
15,112.19
-206.0
-1.3
2013/6/18
15,318.23
138.4
0.9
2013/6/17
15,179.85
109.7
0.7
2013/6/14
15,070.18
-105.9
-0.7
2013/6/13
15,176.08
180.9
1.2
2013/6/12
14,995.23
-126.8
-0.8
2013/6/11
15,122.02
-116.6
-0.8
2013/6/10
15,238.59
-9.5
-0.1
2013/6/7
15,248.12
207.5
1.4
2013/6/6
15,040.62
80.0
0.5
2013/6/5
14,960.59
-217.0
-1.4
2013/6/4
15,177.54
-76.5
-0.5
2013/6/3
15,254.03
138.5
0.9
2013/5/31
15,115.57
-209.0
-1.4
2013/5/30
15,324.53
21.7
0.1
2013/5/29
15,302.80
-106.6
-0.7
2013/5/28
15,409.39
106.3
0.7
2013/5/24
15,303.10
8.6
0.1
2013/5/23
15,294.50
-12.7
-0.1
2013/5/22
15,307.17
-80.4
-0.5
2013/5/21
15,387.58
52.3
0.3
2013/5/20
15,335.28
-19.1
-0.1

0625_03.jpg

[ 2013年6月25日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサード リンク

コメント

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   


PICK UP

↑トップへ

サイト内検索