アイコン 圧力に屈したのか検察/不起訴は世の百条委員会を機能不全に陥らせる

諫早湾干拓事業でできた農地の利用者の選考過程をめぐり、県議会で不正 か否かを審議する百条委員会の出頭要請に応じなかったとして、地方自治法違反の疑いで刑事告発された参議院議員の金子原二郎前知事と谷川弥一衆議院議員に ついて、長崎地方検察庁は嫌疑不十分として26日付けで不起訴にした。
県議会では、諫早湾干拓事業でできた農地の利用者に、金子前知事と谷川議員の家族が役員を務めていた企業が選ばれた過程に不透明な点があるとして、一昨年、百条委員会を設置して調査を進めていた。

しかし、金子前知事と谷川議員は、百条委員会の出頭要請に応じず、正当な理由がないのに出頭を拒否したとして、昨年、地方自治法違反の疑いで長崎地方検察庁に刑事告発されていた。

この告発を受けて、長崎地方検察庁は捜査していたが、26日嫌疑不十分として不起訴にした。
これについて、百条委員会の委員長を務めた県議会の高比良元議員は、正当な理由がないのに出頭を拒否する行為は許されないはずだ。真相が解明されないままになってしまうのは本当に残念だが、結果を粛々と受け止めたいと話しているという。

検察はこのほか、同じく出頭拒否していた問題の干拓地を取得していたT・G・F社の当時代表取締役であった谷川議員の長男や同社の当時取締役であり金子前知事の娘で谷川議員の長男の妻ら4人も不起訴にした。
以上。

衆議院議員と参議院議員の一族に検察は屈服したのか、これでは、全国の地方自治体が法律で有している百条委員会は設置できても、委員会は前に進まず、百条委員会がその目的達成のために有している百条調査権を有名無実にしてしまう今回の検察側の判断といえる。

今回の検察側の判断は、議会が行政の執行機関である地方公共団体が不正もしくは、不正が疑われるときに設置する百条委員会にあり、百条委員会から出頭要請を受けても、出頭せずとも何ら罪に問われないという長崎地方検察庁判例を全国の自治体に向け発信したことになる。

 金子原二郎前知事らは、創価学会の元青年副部長であった東京の兵(ツワモノ)弁護士の海野秀樹弁護士らに弁護を委任している。矢野絢也元公明党委員長の「黒い手帖」事件で、海野秀樹弁護士は創価学会代理人として登場する。

百条委員会とは、
都道府県及び市町村の事務に関する調査権を規定した地方自治法第100条に基づき、地方議会が議決により設置した特別委員会の一つ(特別委員会の根拠条文は地方自治法110条)。
地方自治法第100条第1項には「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる」(一部抜粋)との条項があり、この権限は議会の百条調査権とも呼ばれる。
百条調査権の発動に際しては、証言・若しくは資料提出拒否に対し、禁錮刑を含む罰則(同条第3項)が定められており、国会の国政調査権(日本国憲法第62条)に相当するものである。議会の議決にあたっての補助的権限、執行機関に対する監視機能、世論を喚起する作用等を有している。

参考1<地方自治法第100条1項条文詳細>
第百条1項
1、普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。次項において同じ。)に関する調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。

2、民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定は、この法律に特別の定があるものを除く外、前項の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する。但し、過料、罰金、拘留又は勾引に関する規定は、この限りでない。

3、第一項の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。

4、議会は、選挙人その他の関係人が公務員たる地位において知り得た事実については、その者から職務上の秘密に属するものである旨の申立を受けたときは、当該官公署の承認がなければ、当該事実に関する証言又は記録の提出を請求することができない。この場合において当該官公署が承認を拒むときは、その理由を疏明しなければならない。

5、議会が前項の規定による疏明を理由がないと認めるときは、当該官公署に対し、当該証言又は記録の提出が公の利益を害する旨の声明を要求することができる。

6、当該官公署が前項の規定による要求を受けた日から二十日以内に声明をしないときは、選挙人その他の関係人は、証言又は記録の提出をしなければならない。

7、第二項において準用する民事訴訟に関する法令の規定により宣誓した選挙人その他の関係人が虚偽の陳述をしたときは、これを三箇月以上五年以下の禁錮に処する。

8、前項の罪を犯した者が議会において調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、その刑を減軽し又は免除することができる。

9、議会は、選挙人その他の関係人が、第三項又は第七項の罪を犯したものと認めるときは、告発しなければならない。但し、虚偽の陳述をした選挙人その他の関係人が、議会の調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、告発しないことができる。

10、議会が第一項の規定による調査を行うため当該普通地方公共団体の区域内の団体等に対し照会をし又は記録の送付を求めたときは、当該団体等は、その求めに応じなければならない。

11、議会は、第一項の規定による調査を行う場合においては、予め、予算の定額の範囲内において、当該調査のため要する経費の額を定めて置かなければならない。その額を超えて経費の支出を必要とするときは、更に議決を経なければならない。

12、議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる。

13、普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。

14、前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。

15、政府は、都道府県の議会に官報及び政府の刊行物を、市町村の議会に官報及び市町村に特に関係があると認める政府の刊行物を送付しなければならない。

16、都道府県は、当該都道府県の区域内の市町村の議会及び他の都道府県の議会に、公報及び適当と認める刊行物を送付しなければならない。

17、議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置し前二項の規定により送付を受けた官報、公報及び刊行物を保管して置かなければならない。

18、前項の図書室は、一般にこれを利用させることができる。
以上。

参考2<「黒い手帖」事件>
2005年、公明党の元国会議員である伏木和雄、大川清幸、黒柳明の3人が、『週刊現代』に掲載された記事で、矢野絢也元公明党委員長の極秘事項を記載した衆議院手帳などを強奪したかのように報じられ名誉を傷つけられたとして、同誌発行元の講談社および同誌編集長と、記事に実名でコメントを寄せた矢野らを訴えた。
この裁判で一審の東京地方裁判所は2007年12月、原告側の主張を認め、講談社と矢野の行為が名誉毀損に当たるとして同社と矢野に総額660万円(内330万円につき矢野と連帯)の損害賠償金の支払いと、同社側、矢野それぞれに謝罪広告の掲載を命じる判決を言い渡した。

同裁判には、矢野が公明党の3人に対して自身の手帳の返還を求める訴訟も併合されていたが、同判決は「被告矢野は、原告らの求めに応じ、自らの意思に基づき、本件手帖等を交付し、被告矢野宅内を案内したことが認められ」と請求を棄却。矢野らは控訴した。

東京高等裁判所で行われた控訴審では、逆に週刊現代による3人への名誉毀損を認めないどころかプライバシーの侵害だとする矢野の主張を全面的に認め、持ち去った手帳の返却と合わせて300万円の支払いを命令。

逆転敗訴となった公明党の3人は上告したが、2009年9月1日、最高裁判所第3小法廷は控訴審判決を支持、上告を受理しない決定を下し、実質矢野らの前面逆転勝訴が確定、訴えた創価学会側の敗訴となった。

 しかし、公明党委員長を退任後矢野絢也は、評論家となっていたが、煙たい組織により過去の個人的な問題などを朝日新聞などにリークされ続け、新聞や冊子で矢野の個人たたきが始まり、評論家の立場を直接間接に抹殺され、表舞台から消された。

なお、矢野絢也は「黒い手帖」という新刊本を講談社から発刊、その本には「創価学会『日本占領計画』の全記録」と副題が添えられ、帯には「強奪された100冊近い手帖…そこに記された創価学会の日本を地獄に変える陰謀!」と記し、中身においては「(創価学会の名誉会長の)池田氏の置かれている立場に、私は麻原彰晃と同じ危うさを感じる」とまで記載し、公明党=創価学会との戦いであることを鮮明にしていた。
カンカンになった公明党=創価学会は、再度、伏木和雄、大川清幸、黒柳明の3人を登場させ、本の内容に付き、矢野及び発行元の講談社を相手取り、名誉毀損の損害賠償請求訴訟をおこした。また殆ど同じ理由で新潮社に対しても同訴訟を起こしていた。

前述の訴訟人側の逆転敗訴となった高裁判決文に、伏木和雄、大川清幸、黒柳明の3人の訴訟代理人5名の弁護士の中の一人として海野秀樹弁護士が登場していた。
当裁判は、公明党=創価学会として、矢野絢也元公明党委員長に対し、全勢力を注いだ裁判であった。
そうした裁判の弁護士を金子元県知事らは、百条委員会の訴えなどに対する弁護を委任していた。裁判などでは有名弁護士や著名弁護士登場でよくあることだが、検察側の戦う前の力負けかもしれない。

[ 2013年8月27日 ]
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