9月の鉱工業生産指数 3期連続上昇 「持ち直し」に上方修正/経産省
経産省が30日発表した9月鉱工業生産指数速報は、昨年5月以来の水準に回復した。国内で新車生産が好調だったほか、業績好調な金融機関向けコンピューターの生産が増加していることが寄与した。
9月の生産は前月比1.5%上昇の98.5となり、暫定的に景気の「山」の直後に当たる昨年5月直後の水準まで回復した。
この結果7~9月は(四半期ベース)3期連続の上昇となり、前年同期を5四半期ぶりに上回った。10月の生産予測が高い伸びを示していることもあり、経産省は生産判断から「緩やかな」という文言を削除し、「持ち直し」に上方修正した。
<生産>
9月の生産は、前月比1.5%の上昇と2か月ぶりの上昇(前年同月比は5.4%の上昇)となり、指数水準は98.5(季節調整済)となった。 生産の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業等であった。品目別にみると、普通乗用車、アクティブ型液晶素子(中・小型)、小型乗用車の順に上昇に寄与している。
最も寄与の大きかった輸送機械では国内の新車販売が好調だったほか、情報通信工業では久しぶりに金融機関向けの大型コンピューターの受注が寄与した。
電子部品・デバイスでは、従来の小型パソコン中心の生産から業務用の汎用・ミッドレンジコンピューターに生産がシフトしている。また、中国向けなどのタブレット端末の生産や大規模発電向けの太陽電池セルの生産が押し上げた。
<出荷>
9月の出荷は、前月比1.6%の上昇と2か月ぶりの上昇(前年同月比は4.7%の上昇)となり、指数水準は97.0(季節調整済)となった。 出荷の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、石油・石炭製品工業、情報通信機械工業等であった。
<在庫>
9月の在庫は、前月比▲0.2%の低下と2か月連続の低下(前年同月比は▲3.5%の低下)となり、指数水準は108.3(季節調整済)となった。 在庫の低下に寄与した業種は、石油・石炭製品工業、鉄鋼業、電気機械工業等であった。
9月の在庫率は、前月比▲2.0%の低下と2か月ぶりの低下(前年同月比は▲7.0%の低下)となり、指数水準は110.2(季節調整済)となった。
主に内需向け生産が牽引。最も寄与の大きかった輸送機械では国内の新車販売が好調だったほか、情報通信工業では久しぶりに金融機関向けの大型コンピューターの受注が寄与した。
従来の小型パソコン中心の生産から業務用の汎用・ミッドレンジコンピューターに生産がシフトしている。
自動車に次いで寄与が大きかった電子部品・デバイスでは、中国向けなどのタブレット端末の生産や大規模発電向けの太陽電池セルの生産が押し上げた。
この結果、7~9月の生産は、3四半期連続の上昇となり、前年同期比では5四半期ぶりにプラスに浮上した。
先行き生産予測も10月は4.7%上昇、11月が同1.2%の低下となり、12月を横ばいと仮定すると、10~12月の指数水準は102を超え、前期比4%以上の上昇となる。
ただ、経産省では10月の上昇がここまで高くなることは難しく、一般機械や情報通信機械の9月生産予定が10月にずれ込むなどの理由もあるため、割り引いてみる必要があるとしている。
ただ、生産の足取りはしっかりしており、経産省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きで推移」に上方修正した。
在庫率も低下している。
項目
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季節調整済指数
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原指数
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指数
|
前月比(%)
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指数
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前年同月比(%)
|
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生産
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98.5( 97.0)
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1.5(▲ 0.9)
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102.3
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5.4
|
出荷
|
97.0 (95.5)
|
1.6(▲ 0.1)
|
103.1
|
4.7
|
在庫
|
108.3(108.5)
|
▲ 0.2(▲ 0.2)
|
106.1
|
▲ 3.5
|
在庫率
|
110.2(112.5)
|
▲ 2.0( 1.8)
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102.6
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▲ 7.0
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・平成22年:100、( )内は8月指数
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