アイコン 韓国経済の牽引役 サムスン電子の第4四半期 営業益▲6.11%減 陰りが現実のものに

朝鮮日報の8日報道では、サムスン電子が7日に発 表した昨年10~12月期の連結決算(暫定集計)によると、営業利益は、前年同期比で▲6.11%減約8,100億円(8日為替1ウォン:0.098円換 算)、売上高は約5兆7,700億円だった。営業利益は前期(第3四半期)に比べると▲18.3%の大幅減となったと報じている。

サムスンは、昨年7~9月期、韓国企業で初めて10兆ウォン(約9,800億円)を超える営業利益を達成し、過去最高業績を更新していた。
 韓国経済を牽引してきたサムスン電子の業績不振は、売上高の60%、利益の67%ほどを占めるIM(IT・モバイル)事業部の減益が最大の要因とされる。

昨年から指摘されてきた「スマホ(多機能携帯電話端末)成長の限界」が現実のものとなった。
 サムスン電子の業績不振は、単なる一企業の問題ではない。同社が韓国経済に占めるウエートが非常に大きいことによる。

2012年基準で、同社の売上高約19兆6000億円は、韓国の国内総生産(GDP)の18%を占めた。また、昨年1~9月に韓国の輸出は、前年同期比2.7%増加したが、同社の寄与分(海外生産を含めた売上高)を除くと▲3.6%の減となる。サムスン電子が良い業績を挙げることで経済全体が好調に見える「錯視」現象を起こしていた。
 もちろん、低調な業績は、李健熙会長の「新経営宣言」20周年を記念する特別ボーナス支給(32万人に約780億円)や、前期に比べ平均4%上昇したウォンの対ドル相場も影響している。
だが、スマホに代わる新たな成長エンジンの発掘が急がれることを示したのは確か。韓国経済が「サムスン錯視」を乗り越えるため、さまざまな業種の企業の業績改善が課題として浮上している。
こうした中、「サムスン電子なき韓国経済」をあらためて考えるべきだとする指摘が出ている。
以上。

<主な減益よういんと今後>
1、市場の成長性

サムスンのスマホは世界のトップシェアを誇り、これまで拡大し続けてきたが、市場の成長率が、各社から新製品が投入された第3四半期同様に今後とも大きく伸び続けることはなく、第4四半期(10~12月)は成長鈍化により、収益性を悪化させた。
 スマートフォンの世界市場は、2012年は7億10万台、2013年には10億10万台と43%成長したが、2013年の市場規模は11億5010万台と前年比伸び率は15%にとどまると予測されている。成長率がこれまでの3分の1に低下するという見方である。

2、単価下落と競争激化
サムスンは、巨大な中国市場でもトップシェアを誇るが、1つは中国勢の台頭による競争激化、特に1万円前後の格安スマホ領域では中国勢に太刀打ちできず、利益が取れる5万前後の低価格販売領域でも価格戦争を強いられてしまった。 

こうしたサムスンの販売単価下落は、2012年第2四半期(4~6月)の321ドル(約3万3,600円)から第3四半期には272ドル(約2万8,400円)に急激に下落している。
大幅な販売台数増で利益増をはかったのが第3四半期、第4四半期は、販売増の鈍化で、販売価格下落により営業利益率に大きく影響している。

2013年第3四半期(7~9月)の中国(本土、香港、台湾)のスマホ出荷台数は、前年比64%増の約1億台に増伸、世界全体の約39%に達している。
サムスンの第3四半期の中国は156%増と驚異的に売上台数を伸ばし、シェアも前年同期の14%から21%と大幅に伸張させたてきた。
しかし、格安の中国勢の台頭の中、売上台数を伸ばせば伸ばすほど価格競争に巻き込まれるジレンマに陥っていた。

さらに、同期アップルから高級スマホのiPhone5s、5cが中国市場に投入され、利益率の高い領域でも競争が激しくなった(アップルは中国市場で第2四半期の7位から5位に浮上した)。
今後も、高級スマホ領域では、アップルが強力な販売網を持つ中国大手通信会社の中国移動(チャイナ・モバイル)と販売提携(2013年12月22日)したことにより、スマホ市場の争奪戦は、8万円超の高級品~1万円未満の格安製品に至る全領域まで、熾烈な競争を今後とも強いられることになる。
 当然、サムスンが圧倒的に優位性を誇る中南米・アフリカ・東南アジアなどの新興国では、低価格ニーズも強く、中国勢が大挙して押し寄せる可能性が高くなっている。
 
3、NTTドコモのアップル傾斜
これまで一途なサムスンファンクラブだった日本一のドコモが、アップルを取り扱いだし、日本の(巨大)市場にも大きく風穴が生じた。

4、巨大工場設備が意味するもの
サムスンは日本型経営体制を敷いており、スマホの川上から川下まで同社での生産部品が多い。また、世界一の集積回路生産設備や液晶工場は、スマホや電子・電化製品など自社製品が売上高を伸ばしている間は、収益率に大きく貢献するが、日本勢が過去そうであったように格安の中国勢が市場シェアを喰っていけば、そうした工場の負担がサムスン全体の足を引っ張ることになる。
中国勢の勢いは、太陽光発電セルに見られるように、あっという間に世界市場を制圧してしまう力を有している。今後のサムスンは新製品の開発力が鍵とよく言われるが、スマホ等電子電化製品市場伸張率の高い地域は新興国であり、付加価値だらけの高価格製品をいくら世に出したところで、スマホのような画期的な製品が開発されない限り、伸びは期待できない。
韓国・中国・ベトナムなどに巨大な生産工場を有するサムスンにとって、小米が1万円スマホを1万台ネットで瞬時に売ってしまうほど、その部材単価は、すでに集積回路等電子部品が中国国内市場で調達できる時代に突入しており、価格および製品の完成度からしても脅威の何ものでもない。

5、サムスンとアップルの違い
(1) アップルは工場を持たないメーカー、製品の企画から部材の指定までコントロールし、製品の組み立てのほとんどは台湾の鴻海に依頼、鴻海は自社の中国巨大工場で組み立て、製品化している。サムスンは、集積回路から液晶までその部品・部材の多くを自社生産し、製品化している。
(2) アップル製品は、自社のOSであるiosで起動させ、アプリのApp storeではすでに1兆円の売上高を計上している。
 サムスンは、グーグル開発のOSアンドロイドを使用して起動させている。そのため、スマホの有償アプリはgoogle playにより、googleの売上高になっている。
 そのためか、欧米日のスマホメーカー各社と共同してスマホOS「TIZAN」を開発している。
 日本や韓国では、高価格のスマホゲームバカが多く、App storeの売上高は米国より、日本が多くなっている。

 こうした、自社製造のサムスン、生産委託のアップルという製品化するまでのスタイルの違いやサムスンのように売上げたら終わりのハードから、アップルではその後も利益をもたらし続けるOS自社製の違いなど、利益構造も大きく異なっている。

韓国経済

<中国のスマホ市場>第3四半期
中国スマホ市場(2013第3四半期)
1位、サムスン21%(出荷台数の前年同期比伸び率156%)
2位、レノボ(Lenovo)13%、(同、85%増)
3位、「Coolpad」ブランド展開のチャイナ・ワイアレス・テクノロジーズ(China Wireless Technologies)11%
4位、ファーウェイ(Huawei)9%、(65%増)
5位、アップル
6位、シャオミ(小米、Xiaomi)、(300%増)(恐るべき低価格のレベル高い製品を販売、即売続発)
7位、ZTE
がランクインしている。

<世界のスマホ市場>第3四半期
全世界の第3四半期(7~9月)のスマートフォン市場は、出荷台数が前年比で44%増加して合計で2億5000万台超。
地域別では、
1、中国(本土、香港、台湾)が前年比64%増の約1億台で、世界全体の約39%。
2、中南米は、増加率59%で2位(出荷台数は1900万台)、
メーカー別では、サムスン、LG、TCL-アルカテル、ノキア、ファーウェイの順で、アップルは第7位。
3、欧州・中東・アフリカは増加率22%増の合計で5600万台、
メーカー別では、サムスンが50%近いシェアを獲得、2位以下はアップル(13%)、ソニー、ノキア、LGの順。
4、アジア・太平洋地域(中国除く)では、サムスン、アップル、ソニー、インドのマイクロマックスの順。5、北米では、アップルが首位、サムスンが第2位で、この2社がほぼ70%のシェアを獲得している。

資料参照、ブルームバーグほか多数
なお、韓国輸出産業の一方の花形である現代・起亜の現代グループの自動車販売台数は、米国の12月では前年同月比減少(通年でも米乗用車市場全体が7.6%の伸張したものの4千台あまり減少の微減となった。燃費偽証問題が禍いした)。


 

[ 2014年1月 9日 ]
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