アイコン 第11報 韓国客船セウォル号沈没事故 潮流安定海域への曳航・・・もう遅いか・・・

「SEWOL」号は2014年4月16日、仁川から済州島への航路を運航中、済州島まで約100キロ地点、朝鮮半島南端黄海側の珍島郡屏風島沖20キロ付近で、午前8時55分ごろ救難通信を発し、横倒しになり、最後はひっくり返り、約2時間20分後には水深37mの海底に沈んでいった。
韓国海洋警察が18日夜発表した分では、乗客数476人、救助者は5人減った174人。死者は29人、不明者は273人。船内で確認された3人の遺体を含めると死者は32人、不明者は270人。
21日午前9時半現在174人が救助され、死者は64人、行方不明者は238人となっている。時間も経過し、増えるのは死者数だけなのだろうか。奇跡は・・・。
乗組員29名中、船長・航海士・機関長ら20名がいち早く避難し救助されている。


<セウォル号の急旋回の謎>セウォル号は、済州島へ向い北西から南東へ運航していたセウォル号は16日午前8時48分37秒突然、航路を南西側にほぼ90度変えた。そして8時52分13秒、今度は北側へ一層強く方向を変えたという。その後は潮流に乗って左右に揺れながら北に流れ、8時55分救難無線を発した。
清海鎮海運のセウォル号は、午前8時まで航海士のパク・ギョンナム氏(60)が操舵、午前8時から三等航海士のパク氏(25、女性)が交代して操船していた。パク航海士は航海歴1年、入社して4ヶ月、大型船は同社に入社してからだといい、現場海域は初操船だったという。
イ・ジュンソク船長(69)は運航中ずっと操縦室を離れ、ほかの航海士に運航を任せ、3、4時間ごとに状況を点検するためにのぞいていたという。

他船の20年のベテラン航海士は「孟骨水道は流れが随時変化するため、舵の方向を連続して変更しなければならない」とした上で、「経歴が短いと、ここを抜けるのは難しいだろう」と述べている。
珍島の漁民らは「いつも島の外側を迂回していた大きな旅客船が、なぜ『孟骨水道』という暗礁だらけのところを通ったのか分からない」と証言しているという。
 それでも公式には航路に問題はなかったと報道されている。
潮流が急激に急流に変化する難しい水道で、新米の若い航海士に何故に操舵を任せたのか(午前8時交代)。操舵室には補助の50代の航海士もいたというが・・・。
交代した航海士は、変わってまもなく、何故、急に舵を切り旋回したのか。今では急激に舵を切ったことによる荷崩れが生じ、一方へ荷が動き偏り、客船が傾き、浸水したとされている。

漁師の証言によれば、通常、水道の外側を運航しており、同船は、既に水道に入っているにもかかわらず、航路を外側へ変更しようとして急旋回した可能性もある。

<客船の荷>鋼製ではなく通常ロープでコンテナ固定 約20トン鉄製タンク等倒れる
旅客船セウォル号の定員は921人、積載能力は車両150台、20フィートコンテナ152個。
現在のところ、セウォル号には、乗用車124台、1トントラック22台、2.5トン以上の貨物車34台、貨物1157トンなど合計3,608トンの車両と貨物が積載されていた。
しかし、このほかに重さが最低50トン以上の大型トレーラー3台も積まれていたことが確認されている。トレーラーには約20トンの鉄製のタンクが付いていた。過積載の疑いも出ている。
救助されたトレーラーの運転手は「船が急旋回し、トレーラーや貨物が倒れたため短時間で船が沈没した」と話している。
セウォル号に乗っていた航海士のオ・ヨンソク氏(58)は「コンテナを3~4段に積んだ後、丈夫な鉄線ではなく、一般のロープで縛っておいた」として「船が急激に旋回したことからロープが切れたかもしれない」と証言している。乗客のキム・ビョンギュ氏も「船が急に方向を変えてコンテナが崩れた」と話している。

船上に積まれていたコンテナは、報告書に積載報告されていないとされ、また固定されていなかった可能性もある。

<客船の構造>
セウォル号の構造は5階層。1階は貨物と車両用、2階には厨房・レストラン・娯楽室など、3~5階が客室だった。客室は、高級船室、家族室、団体旅客室、一般客室があり、2階フロアーにはレストラン、コーヒーショップ、コンビニエンスストア、シャワールームなどを備えていた。(下記図では3階にレストランなどがある)
 セウォル号は2012年10月に日本から購入し、半年かけ、元々3階層のフェリーを5階層にし、乗船人員を840人から956人に増やす構造変更した。
構造変更は、船の後方の屋外空間を部屋に変え、船の上部に新しい構造物を造ったことから重心が高くなった。改造後、船の重さは6,586トンから6,825トンへと239トン増えていた。2013年3月からセウォル号として就航していた。
下部のコンテナ・貨物や車両・重量車両が船の急旋回でロープが切れ、一方へ偏り、船のバランスが崩れた。構造変更で重心が上に上がり、傾きを助長したことは歪めないが、浸水が当初、そのバランスにより生じたのか、積載物のコンテナなどにより、船側板を傷め浸水したのか、はたまた、座礁して浸水したのか、まだはっきりしていない。最後まで浮いていた船首底部分に傷がないことから、座礁ではないようだ。

<船内放送の実際>放送担当者談 ・最高責任者逃げ不在
船内の案内放送を担当していたカン・ヘソン氏(32)は
「船室から8時55分(救難信号は8時58分とされている)、済州海上管制センターに正式に救助信号を送ったのを確認した後、
1、9時00分頃に「安心してください。動かずに部屋の中で待ってください」という放送をした。
船が完全に傾いた状況の中でもイ船長の追加の指示はなかった。
(イ船長はほかの乗組員とともに9時30分には救命艇に乗っていた、第一次救助人員たちとして救助されていた)

2、9時30分ごろ船室から案内デスクに『乗客を安心させる放送をしろ』という内容が伝えられた」とした。
9時30分ころから30分間『部屋の中で動かないで』という同じ放送を7回も繰り返した。

3、10時頃、船内は水でいっぱいになり始め、初めて「ライフジャケットを着るように」という放送を流した。

4、10時15分頃「沈没が差し迫っているので乗客は海に飛び降りる状況に備えて」と放送した。事故発生から1時間15分以上過ぎた後だった。

(報道では放送係は2名いたとされ、担当の女性1名の死亡が確認されている)

20日、済州・珍島交通管制センターとの交信内容が明らかになった。
セウォル号は16日午前8時55分に初めて済州の交通管制センターと交信し、事故があったことを報告したあと、11分後の午前9時6分に現場に近い珍島交通管制センターとも交信し、31分間に11回にわたって交信していたという。
船長とは別の航海士が「傾いて転覆しそうだ」と危機を訴え、海洋警察による救助を一貫して求めた。
センターが、別の船が近づいていることを説明し、乗客にライフジャケットを着用させるよう求めたが、「(船内)放送は不可能な状況だ」「脱出させたらすぐに救助できるのか」などと渋った。
センターは「浮輪でもつけさせて脱出させるように。早く! 」と再度指示。「船長の判断で脱出させてくれ」と訴えた。
しかし、その後も「すぐに救助できるのかと聞いている」などと食い下がり、交信は「船体が60度傾いている」との応答を最後に途絶えたという。9時40分頃には船長ら乗組員は、乗客を置き去りに救助艇に救出されていた。放送は上記のように10時15分頃まで可能だった。

0421_08.jpg

救助しようにも人がいない甲板、救命艇(蚕の卵状のもの)も殆どがそのまま、1個しか使用されなかったという。(1個25人乗、40個左右にあったそうだ)


<クレーン船の遅れ>海上クレーンが事故発生12時間後に遅れて出発していた。「クレーン使用料負担」をめぐって、救助を最優先にすべき海洋警察庁が事故を起こした船会社側にクレーン要請を押し付けている間に出動が遅れた。
  海洋警察庁関係者は17日、「クレーン要請は清海鎮海運から行った。公的には事故を起こした船会社が使用料を負担しなければならないので、船会社名義でクレーン要請をするのに時間が遅れた」と明らかにした。
船舶事故が発生すれば、船主が引き揚げを担当する救難会社を選定→この会社がクレーン会社と交渉して「要請」→費用を「保険処理」するのが通常手続きというもの。 海洋警察関係者はまた「政府機関で即座に(クレーン要請)すべきではないかと考えたが、保険処理の分野で生半可に介入すれば問題になりかねず(要請)できなかった」と釈明しているという。
・・・到着していたとしても、潜水作業が進んでおらず、手立てはできなかったと思われるが・・・。
以上。韓国・日本の報道記事を参照して構成

 生存者の生には時間に限りがある。これまでの捜索活動は遅々として進んでいないと報道されている。原因は、急流・濁り・それに悪天候まで。
ならば、関係者の了解を取り付け、沈没船を少し浮かせながら、水道から離脱させ、流れが穏やかな海域へ移動させ、潜水捜索作業や、クレーンで吊り上げながら、鋼板を切り裂き、内部へ突入することが急務だと思われる。一刻も早く、そうした移動が必要ではなかろうか。
過去、生月島の漁船第11大栄丸の沈没船引き揚げ作業では、平戸沖の波静かな島影まで移動させ行われた。今回は超大型クレーン船(3隻)や船台浮上装置なども現場にあり、早期着手が可能と見られるが・・・・。
 

[ 2014年4月21日 ]
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