アイコン 脂肪幹細胞で靱帯や半月板治療を短縮へ/金沢大学の中瀬順介助教ら

金沢大附属病院スポーツ整形外科グループの中瀬順介助教=ツエーゲン金沢チーム ドクターは15日までに、激しいスポーツで起きやすい膝の前十字靱帯と半月板のけがについて、骨や軟骨に分化する能力を持った脂肪幹細胞を損傷部位に移植 すると、欠けた組織を再生したり、修復するまでの時間が早まる効果があることを動物実験で確認した。
前十字靱帯や半月板のけがは本格的に運動できるようになるまで半年以上かかることもあり、治療法が確立されれば復帰までの期間を短縮できる可能性があるという。
中瀬順介助教らは、臨床応用に向け、より詳細な研究と安全性の確認を進めている。

膝を支える前十字靱帯の断裂は、サッカー、バスケットボール、ハンドボール、ラグビーなど特に激しい動きを伴う競技で起こりやすい。プロスポーツ選手にも多く、選手生命を左右することもある。
 根本的に治すには体の別の腱を移植して骨にくっつくまで待つしかなく、復帰まで半年はかかるとされる。
しかし、研究チームが行った動物実験で、移植した腱と骨の 接合部分に脂肪幹細胞を注入したところ、3ヶ月程度で骨と腱が固着した。損傷した半月板の治療実験では、欠けた部分に脂肪幹細胞を埋め込んだところ、半月板 組織が再生した。今後は、半月板縫合術の成績向上や適応拡大を視野に研究を進めていく予定。

金大医学系機能再建学の土屋弘行教授は「前十字靱帯の断裂と半月板の損傷は、膝のスポーツ外傷の中でも特に多い。選手生命に関わることもあるだけに、この治療を確立する ことの意味は大きい」。また、日本整形外科学会認定スポーツ医で特定医療法人社団勝木会(小松市)の勝木保夫理事 長は「前十字靱帯や半月板の損傷は治療に時間がかかるため、患者にとってロスが大きい 。研究の成果が治療の短縮に結び付けば、競技復帰を目指すスポーツ選手や一般の患者にも恩恵がある。発展を期待したい」と話しているという。

 前十字靱帯は、大腿骨の後方から脛骨の前方をつなぐ靭帯で、膝の安定性を保つ役割を担う。血液の流れが悪い部分に位置するため、自然治癒する ことはほとんどない。損傷・断裂した場合、スポーツ復帰するには手術が必要となる。
半月板は、膝の関節の内側と外側に一つずつある三日月形の軟骨組織。運動などによる衝撃を和らげるクッションの役割を果たす。跳躍を繰り返すなど過剰な圧力がかかった場合に損傷することがある。
臨床の結果により、スポーツ選手にとって朗報となる。しかし、臨床には時間がかかる。ただ、臨床を受ければ人的効果の証明につながる可能性も。

[ 2014年10月17日 ]
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