＜イスラム教への迫害＞
ウイグル族は、トルコ系中央アジア系イスラム教徒の民族、中国政府は、ウイグル族に対して、ラマダンや女性が顔を覆うニカーブさえ着用を禁じているという。

＜避難民１００人を中国へ強制送還＞
そうした中、タイに密入国していたウイグル避難民約１００人を今年７月、仏教国のタイ軍事政権は無慈悲にも、中国側に強制送還した。
タイ軍事政権は、国外のウイグル族の団体や人権団体、それに民族的にも宗教的にも近いとされるトルコおよび国連からも強く批判された。

今回の爆破事件は、自爆テロでもなく、事件主導をイスラム過激各派は発表もしておらず、ウイグル族過激派だけの犯行と見られる。

＜タイ軍施政権は中国へ帰依か＞
一方、タイ軍事政権は、中国から潜水艦を購入するなど、中国寄りの政策を進め、東南アジア諸国連合(ASEAN)の会議でも南沙諸島問題では中国寄りの発言に終始している。

昨年５月軍事クーデターで政権を掌握したタイ軍であるが、それまで民主派とタクシン派が争い、疲弊した経済の再建に取り込んでいるものの、頼りにしたかった中国経済も東南アジア経済も低迷しており、回復には程遠い状況となっている。

＜中国のウイグル族弾圧はＩＳ化を進める結果をもたらす＞
中国のウイグル族弾圧は、逆にイスラム教徒を過激化させ、さらに隣国アフガンでは米国と対立するタリバン勢力を駆逐してイスラム国(IS)が台頭してきており、ウイグルへ浸透するのは時間の問題となっている。
当然、中国のウイグル族も中国の弾圧が過激になるほどISに同調する動きも顕著になり、ISが浸透してくる。

ウイグル族はチベット族のようにアジア系の山間民族ではなく、中央アジアに広く分布するトルコ系民族、宗教からしてもISと同じイスラム教スンニ派であり、ISが浸透すれば、ウイグル地区どころか、中国全土の中枢都市がテロに遭う可能性も高くなる。
イスラム過激派は、自爆テロを殉教死として死後の安寧が保証されるとしており、自爆テロを繰り返す危険極まりない聖戦(ジハード)攻撃を仕掛けてくる。
　
＜タイ軍事政権が長期政権狙ったか＞
タイ軍事政権は、中国独裁政権に気に入られようとやっかいな問題を背負い込んだが、今回の爆破事件はこうした背景がある。

一応、西側と見られている資本主義国のタイであるが、中国寄りの現軍事政権は、米政府当局から「イスラム過激派がタイに入国した可能性がある」との連絡さえ無視したまま、今回の事件が引き起こされている。

こうしてみれば、政権に味をしめた軍事政権は、その長期化を狙い、事件に至る過程を放置した可能性さえある。
タイでは、都会の民主派は選挙では負け、タクシン派は選挙で勝つものの、農民・貧民対策に金を使い、常に都会の民主派との対立を生んでいる。タイは世界一米の輸出量が多い農業国で農民層が多い。
昨年５月、両者対立の仲裁役として実権を掌握した軍事政権であるが、軍政が長期化すれば、いずれ、政治問題が再びクローズアップされてくる。

＜タイへの最大投資国は日本＞
タイへの投資は、日本が最大であるが、大洪水や政治的な混乱から、新たな投資は大幅に減じ、今や日本企業は、ベトナム、インドネシア、新たにミャンマーなどへ進出を加速させている。
タイの首相は、当爆破事件後の日本人協会の会合に出席して「出て行かないで・・・」とお願いしていた。