アイコン 日本刀に魅了される外人さんたち

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「刀」は日本人の心に根ざしている。17世紀の将軍、徳川家康は日本刀を「武士の魂」と呼んだ。日本の刀匠は1000年以上にわたり、刀を製作。その職人芸と美、神秘的な雰囲気において世界をリードしている。
初期の刀のうち100本以上が現在、国宝指定されている。国宝指定の動きには、日本人の刀への愛着が反映されている一方、第2次世界大戦中とその後の占領軍駐留期に多くの刀が失われたことを懸念する声も背景にあった。

文化財として保護されていない場合も、かつての名工によって製作された刀は国内外で評価が高い。13世紀に作られた名刀は、オークションで41万8000ドル(約5220万円)の高値をつけた。
ウェブ販売店「ユニークジャパン」を設立したカナダ人のパブロ・クンツ氏は、サウジアラビアやパプアニューギニアを含む20カ国余りの顧客に対し、年間約100本の日本刀を売っている。

同氏は大学を卒業した後、1993年に英語教師として来日。次第に日本の文化や歴史に傾倒するようになり、2006年、伝統工芸品を売るウェブサイトを立ち上げた。日本に駐留する米軍兵士向けにカタログを作っていたところ、小刀に人気が殺到し、日本刀も取り扱い可能かという質問が寄せられた。
高価な日本刀がビジネスとして成立するか、クンツ氏は始め懐疑的だった。ところが偶然、妻の友人が日本刀の収集家だったことから、数本を取り寄せると、すぐに専門の市場が存在することに気付いた。同時に、日本刀の魅力のとりこになっていったという。

クンツ氏は「それまで10年間、日本に住んでいたが、刀を通して日本の文化と哲学をより深く理解することができるようになった」と語る。
日本刀への情熱を共有する同志に出会い、そこからビジネスが拡大したという。当初は日本滞在の思い出やおみやげに1本購入するだけかと予想していたが、数本をまとめ買いし、その後も収集を続ける顧客が多いことも判明したという。

クンツ氏は数年かけて、職人や仕入れ先、専門家らの人脈を構築。この人脈が同氏のビジネスの根幹となり、文化の障壁を越えて質の高い在庫を維持することを可能にしている。昔ながらの販売業者が通う日本刀オークションには参加せず、知人の紹介を頼りに購入を進めるという。

国際的に日本刀を販売する企業としては、今や最大規模となったユニークジャパンだが、クンツ氏は顧客との個人的なつながりを重視。「この道をもっと深く追求し、日本刀のことを考えるよう買い手に促している」と述べ、顧客の想像力をつかむことの重要性を強調する。中には「30年越しの衝動買い」を遂げたという人も。購入に至る自信がつくまで、それだけの歳月を要したのだという。
製作した職人の名前や製作地、その師匠など、あらゆる情報を提供し、日本刀への理解が深まるよう促している。
「顧客とより多くの情報を共有すれば、それだけ愛が深まる。細部まで目をやると、刀への親密感が増し、理解も深まる」という。
クンツ氏によれば、顧客の多くは武士の生活様式や価値観に共感する実業家。刀を力と責任感を備えた象徴とみなす、成功した経営者が多い。
武士が周囲の人々を養っていたように、経営者も数百人の従業員を抱えているからだ。鍵となるのは日本刀の耐久性だ。鉄を何度も折り返して強度を高めるという独特の製法により、最小限の手入れで数百年の間、最高の状態を維持できる。父から息子に代々継承されるなど、多くの所有者の手で受け継がれていくことも可能だ。

ユニークジャパンが取り扱っているのは過去の名工の作品だが、現在も数百人の刀匠が現役であり、次世代の刀を生み出している。神戸に拠点に日本刀販売サイト「Jidai」を運営する岡下俊介氏は、古刀の真価を理解するのは難しいとの理由から、現代の刀を取り使っている。顧客の多くは手頃な値段の新品を求める居合道の選手だという。

値段が安いからといって、質が落ちるわけではない。同サイトでは、高名な刀匠だった尾川兼圀氏の息子、尾川光敏氏の作品も取り扱っている。
同サイトは、国際的な販売網を築くことにも成功したが、刀の輸出には困難も伴う。最近では、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」台頭の影響から、危険だとして日本刀の持ち込みを拒否する航空会社も出てきたという。

欧州の一部やアフリカ、中東などには直接輸送することができないほか、文化庁に申請して、国指定の文化財に該当しないことを証明する必要がある障壁もある。
また、検索大手の米グーグルは14年、広告サービス「アドワーズ」で、単語「sword」を含む商品の表示を禁止した。
こうした背景から、中国などで安い刀を扱う業者が台頭している。ただ、当面のところ日本刀のステータスと需要は落ちそうにない。こう語るのは英国人の元空手王者で、現在は刀剣の専門家に転身したポール・マーティン氏だ。日本では全ての刀工が資格取得を義務づけられているほか、長刀の製作は月2本、短刀は月3本までという制限がかかっているため、水準が落ちることは考えにくいと分析。「質にばらつきはあるが、伝統の力は強い」と述べる。
マーティン氏はまた、日本では刀が持つ文化的な意味合いが大きいとも指摘。神社に奉納するため、日本人は刀を買い続けるだろうと予測する。
「刀工の技術が途絶えてしまうとの心配もあるが、私はそうは思わない。興味を持った人々がいつでも新たに参入してくる」と述べた。
「武士の魂」は、国内外で信奉者を増やし続けている。
以上、CNN参照

刀

[ 2015年9月 7日 ]
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