アイコン 化血研 40年間不正製造の代償100日超の業務停止処分へ 血液製剤不正で高利益

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厚労省は、化血研への業務停止処分の期間を過去最長規模の100日以上とする方向で検討している。

国 内の血液製剤シェアの3割を持つ化血研は40年間にわたり、血液製剤を手前勝手に効率よく製造するため、血液を固まりにくくする物質ヘパリンを添加してい たほか、承認書に記載した工程を省略するなど、31ヶ所で承認書と異なる不正・不法製造を続けていたことが、検証委員会の調査で発覚している。
 
 不正な製造の一部は、今から40年前の1974年ごろ始まり、80年代後半から90年代前半に集中。現理事長を含む幹部が不正を認識しながら放置し続けてきた。
  
国の査察時にも、発覚を逃れるため、95年ごろから製造記録を承認書通りのものと実態に沿ったものとの2種類を作成して、組織的に隠蔽していた。
偽装書面は念にも入れ、書類に紫外線を当てて変色させて古く見せ掛けたり、虚偽の出納記録などを作成したりしていた。
 
化血研は、日本脳炎、B型肝炎、インフルエンザ、4種混合(百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ)ワクチン、および動物用ワクチンも製造し、高いシェアを有している。
 
<動物用ワクチンでも不正製造発覚>
しかし、動物用ワクチンでも承認された製造工程を勝手に変更して製造するなどしていたことから、監督する農水省が12月9日、同社に対して立ち入り調査を行っている。
 
<薬害エイズの大問題があった化血研>
  化血研は、80年代後半に血友病患者らがHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に汚染された輸入非加熱血液製剤を投与されてHIVに感染した「薬害エイズ事件」では、製造会社として血友病患者らから提訴された。
 その後、化血研は96年に「安全な医薬品を消費者に供給する義務があることを深く自覚し、悲惨な被害を再び発生させることがないよう最善・最大の努力を重ねる」と頭を下げ謝罪し、患者らと和解が成立したという経緯がある。
 
<立入検査、不正製造発覚のきっかけは内部告発の投書だった>
今年の5月28、29日、厚労省傘下の医薬品の認可などを担当する医薬品医療機器総合機構(PMDA)が化血研に立入検査を行った。
結果、国内献血由来の血液製剤の全製品で、認められていない製造方法でつくられていることが判明した。
<違法製造のタレ込み情報>
PMDAによる立入検査が行われたのは、化血研の社員とみられる匿名の内部告発があったことによる。厚労省に届いたその投書には、法令違反をしていることについて「心が痛む」と記載されていたという。
 
 立入検査の結果を受けて、厚労省はすぐに血漿製剤12製品26品目の出荷を差し止めた。例年であれば10月初旬から接種が始まるインフルエンザワクチンについても、10月21日まで出荷自粛が解除されず、医療現場にも混乱を与えた。
その後も、一連の不正報道を受け、医療機関や患者からは、化血研のワクチンを避ける動きが起きており、返品が相次いでいるという。
 
<偽装の手口>
 第3者検証委員会が提出した調査報告書によると、化血研の不正は74年ごろから行われていた。ごまかしがさらなるごまかしを呼ぶかたちで、国が査察を行う場合に備えて「本物」と「偽物」の製造記録を作成していたという、手の込みようだった。
 国に見せる「偽物」は「ゴシック体」、社内向けの「本物」は「明朝体」にして、社員が区別できるようにしていた。
また、製造記録の中で不正を記録した部分のページ数を「255」とし、査察が入る際はそのページを抜いて発覚を免れていたチームもあったという。
 
古い記録の提出を求められた際には、紙に紫外線を当てて変色させ、年代を古く見せかけるという芸の細かさも、あきれるばかり。
さらに、検査が入る前には想定問答集を作成し、予行演習まで行う念の入れようだったという。
 
<薬害エイズ事件をまったく反省していない>
 報告書によると、化血研は血液を固まりにくくするヘパリンを血液製剤に添加したり、殺菌効果を確実にするために加熱過程を加えたりするなど、国の承認を得ずに製造工程を変更していた。 
しかし、重篤な副作用の報告が確認されていないことなどから、報告書は「人体に対して危険を及ぼすことを示す証拠が見当たらない」と結論づけている。
 
厚労省審議会で、化血研は、ヘパリンを加えた理由を「製造過程での効率を上げるためだった」と説明し、組織ぐるみの行為であることを明らかにした。
これを受けて、「微量とはいえ、血友病患者にとって、ヘパリンは使用してはいけない薬品だ。薬害エイズ事件をまったく反省していない」と憤慨する医師もいるほど。
 
<ヘパリン (heparin)とは>
抗凝固薬の一つであり、血栓塞栓症や播種性血管内凝固症候群 (DIC) の治療、人工透析、体外循環での凝固防止などに用いられる。ヘパリンの原料は、現在は健康な豚から採取されたものがほとんど。
副作用として、ヘパリン起因性血小板減少症、血栓症、骨多孔症などの引き起こす可能性が指摘されている。
 
厚労省は同社に対して12月14日、製品の品質や安全性を確保するように求める業務改善命令の行政指導を行った。また、近く、より厳しい行政処分も行う。さらに、法人としての責任を追及するために刑事告訴の検討も明言している。
今後は、ほかの製薬会社に対しても、製造工程の査察を抜き打ちで行うなどの対策も検討している。
生命に直結する薬の製造において、ミスは許されない。ましてや、組織ぐるみの不正や隠蔽は言語道断。
化血研には、業務停止処分や歴代の理事長ら関係者の刑事訴追も含め厳しい処分が待っている。
<化血研のプロフィール>
一般財団法人 化学及血清療法研究所(化血研)は、1945年12月に熊本医科大学教授太田原豊一博士の首唱により、戦前熊本医科大学に、ワクチン、抗血清、診断抗原等の製造・供与を目的に設置されていた実験医学研究所を母体として、熊本市米屋町 にて設立された。血友病患者などに使用する血液製剤やインフルエンザ用のワクチンなどを製造し、インフルエンザワクチンでは国内シェアの約3割を持つ。
 
1、人体用ワクチン(インフルエンザ、日本脳炎、DPT、A型肝炎、B型肝炎etc)
2、血漿分画製剤(免疫グロブリン・アルブミン・血液凝固因子製剤・ 生体組織接着剤etc
3、動物用ワクチン(鶏・豚・牛・馬用etc
GMP製造謳う>
同社の製造施設や製造工程は、GMP(Good Manufacturing Practice、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理基準)に基づいていると同社はHPに謳っている。
<ボロ儲かり過ぎる業績>

 

一般社団法人 化血研の業績 2015年3月期/百万円
製品群
製造
売上高
血漿分画製剤
15品目210ロット
13,400
人体用製剤
15品目130ロット
28,100
動物用製剤
37品目74ロット
4,000
その他
 
214
役務収入                         
各種診断等                                  
1,765
売上高合計
 
47,479
売上原価
 
21,099
粗利益
 
26,335
営業利益
 
12,662
  営業利益率
 
26.7%
経常利益
 
14,522
税引前利益
 
15,015
法人税、住民税等
 
4,366
当期利益
 
10,536
  当期利益率
 
22.2%
総資産
 
157,557
自己財産
 
142,699
 
<2015年12月、下記の役員たちは辞任や降格したが、新体制はできていない。>

 

元理事長
内野 矜自
2000年~2004年まで理事長
名誉理事長
船津 昭信
元理事長
(2004年から2011年12月まで8年間理事長)
銀杏学園理事長(2015年12月辞任)
理事長・所長
宮本 誠二
系列担当 、2015年12月辞任
副理事長・副所長
横井 公一
ワクチン事業部門担当、法務・コンプライアンス部門担当、経営企画部門担当、系列副担当
常務理事
千北 一興
分画事業部門担当、生産部門担当
常務理事
城野 洋一郎
研究部門担当、品質部門担当
理事
中川 孝
医薬営業部門担当
理事
松田 啓二
環境担当、総務部門担当、経営企画部門副担当、品質部門副担当
理事
本田 隆
動物薬事業部門担当
理事
菅原 敬信
臨床検査部門担当
理事
緒方 洋一
ワクチン事業部門副担当
監事
坂本 隆弘
元化血研
 
<化血研グループの大学>
学校法人銀杏学園 熊本保健科学大学(熊本市北区和泉町325、学長:﨑元達郎)
学校法人銀杏学園は、化血研により1959年4月、化血研衛生検査技師養成所として創設。
19604月、熊本医学技術専門学校に名称変更。
19682月、銀杏学園短期大学を設立、1983年4月看護科設置。
20034月、短期大学を熊本保健科学大学へ改組転換。
 
<化血研グループの病院・介護施設>
医療法人銀杏会 城南病院(熊本市南区城南町舞原無番地、ベッド数198床、院長:内野誠)
城南病院は、1953年発足の結核療養所「保生園」を元に、1969年に現在の医療法人杏和会城南病院として再発足した病院。リハビリと精神科主体。
傘下に
地域リハビリテーションセンター
サービス付高齢者向け住宅「きらり舞原」(安価に入所できる)
住宅型有料老人ホーム「まいのはら」
グループホーム「けやき」
4つのデイケア、居宅介護支援事業所、ヘルパーステーション
ヘルパーステーション「なごみ」
通所リハビリテーション「なごみ」
物忘れ予防デイケア「ときめき」
認知症デイケア「かがやき」
精神科デイケア「すまいる」
 
以上、これまでの報道、同社関係のHP等参照
 
血液製剤は具体的には血漿分画製剤
人免疫グロブリン製剤
抗HBs人免疫グロブリン製剤
人血清アルブミン製剤
人アンチトロンビンIII製剤
血液凝固第VIII因子製剤
人ハプトグロビン製剤
など
 
<厚労省との癒着>
<一般社団法人「日本血液製剤協会」(理事長:秋山裕治・非常勤)>
(厚労省の天下り団体、正会員は下記7社)
専務理事には厚労省OBの齊藤年正氏であるが、齊藤氏を除きほかの全理事は非常勤であり、当協会の運営費は、会員の会費により賄われると定款第7条に謳われている。
因みに、平成27年3月期の会費収入は3,325万円となっている。
正会員
一般財団法人 化学及血清療法研究所(化血研)
一般社団法人 日本血液製剤機構(血漿分画製剤、年商220億円、理事長:秋山裕治
CSLベーリング株式会社
帝人ファーマ株式会社
日本製薬株式会社
バイエル薬品株式会社
田辺三菱製薬株式会社
賛助会員:メルスモン製薬株式会社
[ 2015年12月28日 ]
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