アイコン ありえない仮定はリスク・コミュニケーションを阻害する

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今日も卓越した論者(農と島のありんくりん)を読んで感心してます。
まったく、その通りだと共鳴しています。

農と島のありんくりん
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移り変わる自然、移り変わる世情の中で、真実らしきものを探求する

ありえない仮定はリスク・コミュニケーションを阻害する
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名無し氏からオスプレイ記事についてコメントをもらっています。名無しには答える義理はないのですが、お答えしておきます。

関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-f3ea.html

「オスプレイの欠陥としては「音」ですね。
欠点というかどうしようもないというか、飛行音が問題でしょう。

飛行時間も飛行経路も決まっていると言いますが、あってないようなものです。
必要と認めればいつでもどこでも飛び回れるわけですから。
オスプレイの飛行音を24時間イヤホンで一週間聞き続けてから賛成してもらいたいものです。
一日もてば尊敬します。

そうなると自動車の音はどうなるのか?人の生活音は?
なるほど、地球上に人は住めなくなりますね。」
困ったことを言う人だなぁ。これは詭弁、ないしは詐術です。
この人は「24時間イヤホーンで1週間聴く」というありえない仮定から出発して、「生活音まで気にしていたら地球には住めなくなる」とまで書いています。

よくあるエコ系詭弁です。

こういう極端な例示をするタイプの人は、正しいリスク・コミュニケーションを妨害します。
たとえば最近の例でいえば、豊洲の「猛毒ヒ素、基準値の4割見つかる」デマです。
出所は共産党都議団です。安全と安心はイコールではありません。

<安全>という概念は数値に置き換えて定量化できます。
一方<安心>という概念は、心理的な恐怖感が裏にありますからつかみどころのない気分のようなものてす。
共産党という職業的プロパガンダ団体は、この安全と安心の隙間をつくのが巧妙です。

関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-3.html

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この「猛毒ヒ素が基準値の4割」というデータは、<安全>だという以外、何も意味しません。
これを例によってノータリンのメディアが煽りまくったために、<安心>したい人たちは、「うわー、豊洲は危険だぁぁ!」と短絡しました。

というのは、そもそもこの豊洲地下水は排水基準ではなく、飲用水基準です。
本来、飲用や生鮮食品にかけるために使わずに、そのまま排水系にまわしますから、排水基準値でよかったものを、土壌汚染対策法が求める飲用基準値で設計したために、そうなったわけです。

はい、ここで質問です。

土壌汚染対策法が求める飲用水基準は、どれだけの水を、どれだけの期間飲んだことを想定しているんでしょうか?

5年?10年?

いえいえ。なんと70年です。おぎゃーと生れた子がほぼ一生に渡って、毎日2ℓの大型ペットボトルで飲んで大丈夫健康だというのが飲用水基準値なのです。
その4割です。論外なのがわかるでしょう。

プロパガンダは、常にこういう極端に非合理的な設定をして、一般国民の<安心>意識を煽ります。
メディアに煽られた人たちが行政の無策をなじり、行政は大規模な見直しをせまられかねません。
豊洲の場合、新たに知事にしなった小池氏もスタンドプレー大好き政治家でしたので、時間と税金を浪費しました。

私は小池氏にそれなりに期待していただけに、そうとうに就任後の彼女には呆れています。それについてはそのうち記事にするかもしれません。
で、大山鳴動してネズミ一匹。豊洲改修なしですから、なんだったのこの間の「豊洲祭り」は? 
「東京都の豊洲市場(江東区)の主要な建物の下に土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、都は2日、建物の大規模な改修工事は今後、必要がないとの認識を示した。同日の都議会豊洲市場移転問題特別委員会で答弁した。」(朝日12月3日)

このようにプロパガンダは、本来あるべきリスク・コミュニケーションを阻害し、社会的に損害を与えかねないものなのです。

原発・放射能問題でも大量にこんな人たちが発生し、「元々ゼロベクレルだったのだから0.01ベクレルでも低線量被曝してガンになる」と叫びました。

元々自然放射線量があって人は普通に暮らしてきていますからゼロではありませんし、低線量被曝による健康被害が科学的に立証されたことはありません。
こういう放射能パニックが、民主党政権の「1msv/年の放射線も危険」とする除染基準となり、除染費用をはね上げました。

関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-0b52.html

これで焼け太りになるのは業者だけで、住民の帰還は大幅に遅れてしまいました。
厳しすぎる安全基準値は、時として社会的弊害を招きかねないのです。
ですから、ひとつのことを判断する時に、極端なことを言うのは一見最悪シナリオを考えているようでいて、まともなリスクがどこにあるのか、どうしたらそれを最小限に押さえ込めるか、という肝心な点をわからなくしてしまいます。

さて、話をオスプレイに戻します。

この人は「オスプレイの騒音を24時間イヤホーンで聴け」といいますが、ならばこの人も使っている旅客機の直下騒音を24時間イヤホーンで聴いたらどうよ、地下鉄はどうよ、なんてしゃもない議論になります。
マジな話、こんなレベルの低い突っ込みには、レベルが低い受け答えでいいのかなとも思いましたが、まともに答えると。

オスプレイの巡航速度は443㎞/hですから、通常の双発プロペラ機と同等です。
この人は私のような航空機騒音の「プロ」ではないでしょう。

、厚木基地のジェット音で産湯を使い、沖縄を経て、いまは百里基地のジェット戦闘機の旋回直下で暮らしております。

家は防衛局のおかげで、なんどか防音対策工事をしてもらっています。
その「航空騒音のプロ」からみれば、オスプレイの「音」とやらは問題外的に静かです。
4発のP-3哨戒機やC-130輸送機すら静かに感じます。
ましておや2発なら。

低周波だとかいいたいのなら、ヘリのあの遠くから聞こえ続けるバタバタという空気をローターで叩くラップ音はどうなのでしょうか。

ヘリはオスフレイよりはるかにドン速なので、そりゃあ長くバタバタいっていますよ。
いちおう前にもアップしたオスプレイの環境ビューの資料を貼っておきます。

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※図はフィート表示。1フィート≒0.3m

巡航中のオスプレイは高度1500mで77デシベル、低空の75mで93デシベルです。

ジェット機はだいたい100デシベル以上です。

それも高速なので頭上を航過するのは数分間で、このコメント氏のいうように「24時間オスプレイが頭上にいる」ようなことは、世界中のオスプレイを集めても実現しません。

オスプレイはしょせん機械です。機械である以上、定量化可能です。
気分で極端なケースを想定して「安心」を煽るのは、結局、オスプレイを客観的に評価する上でマイナスになりこそすれ、決してプラスにはならないのです。

どうもこの人たちの住む世界では、オスプレイは危険機ではないとか、オスプレイは大型ヘリより静かだといっただけてポリコレに抵触してしまうみたいですね。

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[ 2016年12月 7日 ]

 

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