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帝国データバンク、「中小企業金融円滑化法」利用後倒産の動向調査結果を発表

第3回:「中小企業金融円滑化法」利用後倒産の動向調査<施行2年間の状況>

円滑化法利用後倒産、施行2年で190件判明

~施行2年目に急増(178件)、2011年9月から3ヵ月連続で月間最多を更新~

調査結果(要旨)

1.「中小企業金融円滑化法」利用後倒産は、2009年12月4日の施行から2年間で190件判明した。施行1年目の12件から、2年目には178件に急増した。2011年9月以降は、3ヵ月連続で月間最多の件数を更新するなど、同法利用企業の息切れがここにきて顕著になってきた

2.190件の内訳を見ると、業種別では、「製造業」の59件が最も多く、「建設業」が51件で続いた。倒産原因別では、「販売不振」(152件、80.0%)が大部分を占めた

3.負債規模別では、「5億円未満」(127件)が全体の3分の2を占め、小規模倒産が中心。倒産態様別では、「破産」が165件、「民事再生法」が25件

 ※ 前回調査は、2011年11月9日


今後の見通し 

 「中小企業金融円滑化法」は、2009年12月4日の施行から2年が経過した。金融円滑化法は、これまで倒産抑制に大きな効果を発揮してきたが、ここにきてその効果にも翳りが見えつつある。2012年3月末には期限切れを迎える。施行から2年以上が経過し、企業側の「実抜計画」は策定だけでなく、達成状況が問われる段階に移っている。今後は円滑化法の再延長の有無にかかわらず、金融機関が企業選別の動きを徐々に強めていくことが予想される。推定30万社前後とみられる円滑化法利用企業の中から、仮に1%でも倒産手続き入りすれば3000社にのぼるなど、企業倒産全体に与えるインパクトも大きい。円高、震災、海外経済の減速など、厳しい外部環境の中での経営改善は容易ではない。今後も、業績不振のまま力尽きる中小零細企業が相次ぐことが予想されることから、「円滑化法利用後倒産」は2012年もさらに増える可能性が高い。

調査結果詳細(日経プレスリリース)

 

帝国データバンク、ホテル・旅館の倒産動向調査結果を発表

 

特別企画:ホテル・旅館の倒産動向調査

2011年の倒産、過去最悪のペースで推移
~震災関連倒産が件数を押し上げ~

 

<はじめに>
 今年3月に発生した東日本大震災の影響を受けたホテル・旅館業界。2010年7月には、中国人向け個人観光ビザの発給要件が緩和され、同年10月には羽田空港の国際線ターミナルの開港など、好材料があったものの、震災と福島第一原発事故の影響で国内・外の観光客が激減し、ホテル・旅館業界は大打撃を受けた。
 「日本政府観光局(JNTO)」の発表によると、2011年4月は訪日外客数(外国人観光客など)が最も落ちこみ、前年同月比62.5%減の29万5826人まで大幅に減少、10月の訪日外客数は前年同月比15.3%減の61万5800人と減少幅は縮小しつつあるが、震災の影響は明らかである。震災後の4月以降、首都圏を中心に、東日本のホテル・旅館では、宿泊や宴会のキャンセルが相次ぎ、営業停止を余儀なくされる業者も増加し、震災関連倒産が頻発した。さらに、燃油特別負荷運賃(燃油サーチャージ)の上昇と、急激な円高なども外国人観光客離れに追い打ちをかけた。
 直近では、「札幌グランドホテル」「札幌パークホテル」を経営する(株)グランビスタホテル&リゾート(東京都中央区)も震災の影響で事業の再建が困難となり、12月1日に企業再生支援機構から支援を受けた。また、ホテル・旅館の建物にかかる「固定資産税」は、建築されてから年数が経過しても評価額が下がらないため、高額な「固定資産税」が重荷となり、経営不振に陥る会社は後を絶たない。
 帝国データバンクは、2011年1月~11月に倒産したホテル・旅館について集計・分析した。なお、前回調査は2011年6月。


調査結果>>
 ・2011年4月、5月は2ヵ月連続で単月件数の過去最高を更新(2000年以降)。
 ・震災関連倒産は1月~11月で21件、全体の17.6%を占めた。
 ・「東北」の倒産件数は16件。うち震災関連倒産は7件と43.8%が震災関連倒産となった。
 ・アジアからの観光・ビジネス客の玄関口の「九州」「中部」で増加目立つ。


 ※震災関連倒産とは、東日本大震災による直接・間接の影響を受けた企業倒産。
  「間接被害」には、「得意先被災等による売上減少」「消費自粛のあおり」「仕入先被災等による調達難」「親会社に連鎖」などが含まれる。

 

*以下、リリースの詳細は添付の関連資料を参照

● 関連資料

* リリースの詳細(日経プレスリリース)

 

帝国データバンク、11月の全国企業倒産集計を発表

 

倒産集計
2011年 11月報

倒産件数は971件、3ヵ月ぶりの前年同月比増加
負債総額は1905億3800万円
3ヵ月連続で1000億円台の低水準


 倒産件数    971件
 前年同月比  +3.9%
 前年同月    935件
 前月比     +7.2%
 前月       906件

 負債総額    1905億3800万円
 前年同月比   ▲30.4%
 前年同月    2739億2300万円
 前月比     +43.4%
 前月       1329億1700万円


<件数・負債総額の推移>
 ※グラフ資料は、添付の関連資料を参照


■件数
・ポイント 3ヵ月ぶりの前年同月比増加
 倒産件数は971件(前月906件、前年同月935件)で、前月比は7.2%、前年同月比も3.9%の増加となり、3ヵ月ぶりに前年同月を上回った。前年同月比の推移を見ると、1ケタ台で増減を繰り返しながらも、徐々に反転の兆しを見せはじめている。

・要因・背景
 1.小売業(198件、前年同月比32.9%増)が3ヵ月ぶりに前年同月を上回り、今年最多
 2.金融支援策の効果や復興需要の恩恵により、東北が過去10年で最少の23件にとどまる


■負債総額
・ポイント 3ヵ月連続の前年同月比減少
 負債総額は1905億3800万円(前月1329億1700万円、前年同月2739億2300万円)で、前月比は43.4%の増加となったものの、前年同月比は30.4%の減少となった。9月の1929億3400万円以降、3ヵ月連続で1000億円台の低水準が続いている。

・要因・背景
 負債100億円以上の大型倒産発生は、ゴルフ場経営の名阪開発(株)(三重県)と、投資業の(株)人間と産業開発研究所(大阪府)の2件にとどまる


■業種別
・ポイント 小売業が前年同月比32.9%の大幅増加で今年最多
 業種別に見ると、小売業(198件、前年同月比32.9%増)とサービス業(188件、同19.0%増)の2業種で前年同月を上回り、小売業は今年最多を記録した。一方、建設業(240件、同6.3%減)、製造業(118件、同13.9%減)などの3業種は前年同月を下回った。このほか、運輸・通信業、不動産業の2業種は前年同月比横ばいとなった。

・要因・背景
 1.小売業…外食(63件、前年同月比16.7%増)を中心に増加。2011年1月~11月の合計は648件と2009年(646件)を上回り、2000年以降の年間最多件数を更新
 2.建設業…東北(2件、前年同月比84.6%減)は2000年1、7月(3件)を下回り、過去10年で最少


■主因別
・ポイント 「不況型倒産」の構成比86.1%、30ヵ月連続で80%台の高水準
 主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は836件(前月765件、前年同月786件)となった。構成比は86.1%(前月84.4%、前年同月84.1%)で、前月は1.7ポイント、前年同月も2.0ポイント上回り、30ヵ月連続で80%台の高水準となった。

・要因・背景
 1.「円高関連倒産」は14件発生、うちデリバティブ関連は9件に急増
 2.「返済猶予後倒産」は36件、うち金融円滑化法利用ありは25件でともに過去最多

 倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計


■規模別
・ポイント 負債5000万円未満の構成比50.9%、6ヵ月連続で50%台の高水準
 負債額別に見ると、負債5000万円未満の小規模倒産は494件、構成比は50.9%を占め、6ヵ月連続で50%を超えた。一方、負債100億円以上の大型倒産は2件にとどまった。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満が550件、構成比は56.6%を占めた。中小企業基本法に基づく中小企業・小規模企業を見ると、971件すべてが中小企業に該当し、小規模企業は846件(構成比87.1%)となった。

・要因・背景
 1.負債5000万円未満の倒産、関東(195件、前年同月比9.6%増)で増加が目立つ
 2.負債100億円以上の倒産は、2010年8月以降16ヵ月連続で5件未満にとどまる


■地域別
・ポイント 東北が過去10年で最少
 地域別に見ると、9地域中6地域で前年同月を上回った。なかでも中部(138件、前年同月比31.4%増)、中国(40件、同66.7%増)、四国(27件、同50.0%増)などで増加が目立った。一方、東北(23件、同48.9%減)は大幅に減少し、2005年2、3月(24件)を下回り、過去10年で最少となったほか、北海道、近畿でも前年同月を下回った。

・要因・背景
 1.東北は、各種金融支援策や復興需要の効果もあり、6月以降6ヵ月連続で前年同月下回る
 2.中部は、製造業の2011年1~11月の合計が288件を数え、年間合計では過去最多となった2009年(297件)を上回るペース


■上場企業倒産
 11月は、2ヵ月連続で上場企業の倒産は発生しなかった。

 2011年の上場企業倒産は、前年同期と比較して半分以下のペースで推移しており、沈静化が続いている。


■大型倒産
 11月の負債額トップは、名阪ロイヤルゴルフクラブを運営する名阪開発(株)(三重県、民事再生法)と投資業・経営コンサルタントの(株)人間と産業開発研究所(大阪府、破産)の各100億円となった。

 負債100億円以上の大型倒産は2件にとどまり、2011年1~11月の合計は21件にとどまった。前年同期(38件)を大きく下回っており、大型倒産は沈静化が続いている。


■景気動向指数(景気DI)
・景気DIは35.5、前月比0.6ポイント減と3ヵ月ぶりに悪化
 2011年11月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.6ポイント減の35.5となり、3ヵ月ぶりに悪化した。震災から8ヵ月が経過し、企業の生産活動は回復傾向にあったものの、円高の長期化により厳しい輸出環境が続いた。また、タイの洪水被害は現地の生産活動のほか、日本への原材料や部品の供給にも支障をきたしたことで、国内のメーカーだけでなく、流通や販売店などにも悪影響を与えた。

・内外需ともに弱く、踊り場局面に
 さらに、国内では雇用や所得の回復が進まないことから、家計における消費マインドは上向かず、歳末商戦を前にして消費者の動きは鈍かった。初冬としては比較的暖かい日が続いたことも、季節関連需要の伸び悩みにつながった。 一方、復興需要の増加で「東北」は全国10地域中、3ヵ月連続で第1位となった。特に「宮城」は域内の「建設」や「製造」などの改善が他地域に比べ際立っており、47都道府県別で4ヵ月連続の第1位となり、「福島」(第3位)、「岩手」(第4位)も上昇した。しかし、これらが国内景気全体を底上げするまでには至っておらず、全国の業界別でみても10業界中、「製造」や「小売」など7業界が悪化した。国内景気は内外需ともに弱く、踊り場局面に入っている。


<今後の見通し>

■倒産件数は3ヵ月ぶりの増加、小売業が今年最多
 2011年11月の倒産は971件と、前年同月の935件を3.9%上回り、3ヵ月ぶりの前年同月比増加となった。2011年1~11月の合計は1万504件となり、2011年通年では前年の1万1658件をわずかに下回る1万1500件前後にとどまる見通し。11月は、外食を中心に倒産が増えた小売業(198件)が今年最多となった。とくに外食は2011年1~11月の合計で648件に達し、2009年(646件)を上回り、11月時点で2000年以降の年間最多件数を更新した。他方、負債総額は1905億3800万円と3ヵ月連続して1000億円台の低水準で、負債100億円以上の大型倒産も2件。地域別では東北が復興需要の恩恵もあり、過去10年で最少の23件にとどまった。

■円高倒産が集計開始後2番目の高水準、「デリバティブ損失」目立つ
 11月24日発表の月例経済報告によれば、国内景気の現状は「震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している」として、政府は景気判断を据え置いた。サプライチェーンの回復や復興事業をはじめとする各種政策効果で、景気の持ち直し傾向の持続が期待されるものの、欧州の政府債務危機等を背景とした海外景気の悪化や円高、タイの洪水の影響など下振れリスクも山積している。総務省が29日に発表した10月の完全失業率は4.5%と、前月比0.4ポイントの大幅上昇。タイの洪水被害も影響し、製造業の一部に雇用調整の動きも見られた。日本の基幹産業である製造業を取り巻く環境は依然として厳しいなか、11月の「円高関連倒産」は14件判明。2011年1~11月の合計は73件に達し、年間合計でこれまで最多だった2010年(58件)を大きく上回った。8月以降、円高に起因する「受注減少」や「輸出不振」による倒産が目立っていたが、11月は「デリバティブ損失」による倒産が9件と多発した。金融庁によれば、2010年9月末時点でデリバティブ契約を保有する企業数は約1万9000社。金融ADR制度による和解も一部で進んでいるが、急速な円高で損失が膨らむ「為替デリバティブ」に苦しむ企業は多く、依然として放置できない問題であることを印象付けた。

■今後、増加基調強まるおそれも
 国内景気は不透明感を増しているが、金融円滑化法や「震災復興緊急保証」等の金融支援策によって、多くの企業が資金繰り破たんを回避している状況に大きな変化はない。しかし、企業倒産は増減を繰り返しながらも、徐々に反転の兆しを見せはじめている。リーマン・ショック後の2009年秋から2年以上にわたり、倒産抑制に大きな効果を発揮してきた金融円滑化法も2012年3月末に期限切れを迎える。金融庁は11月22日、「『資本性借入金』の積極的活用について」との文書を公表したが、金融関係者の間では、円滑化法終了に向けた“地ならし”との見方が多い。“円滑化後”を見据え、自主的に貸倒引当金を積み増す金融機関の動きも聞かれる。同法を活用して返済猶予を受けながら倒産した企業が、11月も3ヵ月連続で最多の25件判明するなど、推定30万社前後とみられる同法利用企業の息切れも目立つ(2011年1~11月の合計は前年合計の7倍超となる167件)。2009年12月4日の施行から2年が経ち、企業側の「実抜計画」は策定だけでなく達成状況が問われる段階に移っている。そもそも厳しい外部環境の中での経営改善は容易ではない。このため円滑化法の再延長の有無にかかわらず、金融機関側の企業選別の動きとともに、業績不振のまま力尽きる企業が今後さらに増える可能性が高い。企業倒産は年末、年度末にかけて緩やかな増加が予想される。加えて、公共事業の一層の削減で、被災地以外の中小零細企業の倒産増が懸念される建設業のほか、輸出環境の悪化が続く製造業、増税や年金問題、株安、欧州不安等による家計の消費マインド停滞の影響が大きい小売・サービス業を中心に懸念材料が山積しており、増加基調が強まるおそれもある。

* (株)帝国データバンク ホームページ


● 関連資料

* 件数・負債総額の推移(日経プレスリリース)

件数・負債総額の推移 

[ 2011年12月 8日 ]
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