アイコン 少子化問題も物価問題も 望まぬ非正規雇用の撲滅から

 今や事務職もいつでも首を切れる契約社員など非正規雇用が大勢を占めるようになってきている。
総務省が、初めて実態を調査したところ、正社員の仕事がないため、望まずに非正規の仕事に就いている人が348万人で、女性のパートなど含む非正規労働者の5人に1人に上ることが明らかになった。
<増加傾向にある非正規雇用>
パートや派遣社員、アルバイトなどの非正規労働者の数は、増加傾向が続いている。総務省の労働力調査によると、労働者全体に占める非正規労働者の割合は、去年1年間の平均で35.2%。統計を取り始めた平成14年以降で最も高くなっている。

正社員と比べて、雇用が不安定で経済的に自立するのが難しく、職業キャリアを形成するのも困難など、さまざまな課題が指摘される非正規雇用。

 総務省は、その実態を詳しく把握し、今後の対策に生かそうと、ことしから非正規労働者を対象に、その仕事に就いた理由について調査することになった。

<5人に1人が望まない非正規>
調査の結果、非正規労働者の数は、ことし1月から3月までの3ヶ月平均で、1,870万人に上り、ことしに入っても過去最高を更新している。
そして、なぜ非正規の仕事に就いているか、理由を尋ねたところ、多い順に、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が418万人、「家計の補助や学費などを得たいから」が390万人、「正規の仕事がないから」が348万人となり、5人に1人が正規の仕事がないという理由で非正規の仕事に就いていることが明らかになった。

<男女で異なる背景>
男女別に見ると、1,870万人の非正規労働者のうち、男性は600万人、女性は1,270万人。
非正規の仕事に就いている理由も、男女で異なることも分った。
男性の場合、「正規の仕事がないから」が171万人で最も多く、次いで「自分の都合のよい時間に働きたいから」が120万人、「専門的な技能などを生かせるから」が67万人などとなっている。

一方、女性は、「家計の補助や学費などを得たいから」が324万人で最も多く、次いで「自分の都合のよい時間に働きたいから」が298万人、「正規の仕事がないから」と「家事や育児、介護と両立しやすいから」がそれぞれ177万人などとなっている
望まずに非正規の仕事に就いている割合は男性のほうが高く、3人に1人がこうしたケースに当てはまる。

また、「正規の仕事がない」と答えた男性の非正規労働者の半数に当たる84万人が、転職などを希望していることも分った。

<雇用の厳しさ改めて裏付け>
今回の結果は、「景気の調整弁」とも言われる非正規労働者の置かれている現状を浮き彫りにしたもので、総務省は、「非正規労働者の数が過去最高を更新するなど、厳しい雇用情勢が続いていることが改めて裏付けられた」と受け止めている。

<企業の新たな取り組み>
こうしたなか、即戦力としての高いスキルを会社の中で身に着けることで正社員に近づいてもらおうという企業の動きが出ている。
JR京都駅でカフェを運営する大阪・吹田市の企業では、1年契約ごとの非正規の人は3年以上働けばそのスキルを評価して契約更新なしに定年まで働き続けられる「無期雇用」に切り替える制度を導入している。
給与は正社員より低いままですが、これまでより安定した正社員と非正規労働者の中間的な働き方。さらに、一部の人には正社員の試験を受けられるようにしている。
このカフェで働く女性は、7年前に大学を卒業したが正社員にはなれず、アルバイトとしてこの職場に入った。1年ごとにやってくる契約更新のことを考えると、いつ仕事を失うか気がかりだったという。
藤井さんは2年前、無期雇用に切り替わり、仕事への意欲が高まり、今は正社員を目指して、さまざまな工夫を打ち出している。その1つが客足が鈍る寒い日などに店先で始めた暖かい飲み物の試飲サービス。カフェは吹き抜けのため冬場は売り上げが落ち込むが、それを食い止めるのに一役買っている。
また、この女性は、50人近いアルバイトの指導も一手に引き受けているが、そこでも新しい試みを始めた。職場のやる気を上げるため、お客さんにかけられてうれしかったことばを「ありがとうカード」と名付けた名刺ほどの大きさのカードに記して、その内容を共有している。正社員になれるチャンスをもらったので、チャンスをつかめるように、仕事を頑張るとともに、専門的なことも勉強していきたいと話しているという。

今の日本では非正規雇用を続けるとなかなか正社員になりづらいという二極化が進んでいる。不本意非正規の人たちが少しでも安定して働ける無期雇用に転換するという「階段」を設けることが、二極化の解消につながるのでは・・・。
以上、参照:NHK

デフレ対策も少子化問題も本人の希望により非正規雇用をなくせば緩和されてくる。竹中平蔵と財界が結託して大幅に規制緩和させた非正規雇用制度で、当時一時的に国内経済が浮揚したかのような錯覚に陥った。しかし、それはアメリカのハゲタカ不動産ファンド等を導入したことにより不動産をバブル化させたことと海外経済が順調であったからである。しかし、日本経済は国民の可処分所得が減り続け、この間ずぅっとデフレ経済が続いてきた。GDPに占める消費者の購入という投資が約60%を占めるが、税金や健康保険料などの値上げで可処分所得は減り続け、高給取りの団塊の世代もリタイア、国民の消費額は伸びず、デフレ経済に陥ってきた。こうしたことを理解してか安倍首相は「儲かった企業から賃上げを」と今では労働組合も発しないようなお願いを財界に対して発しているほどだ。
非正規雇用制度を本人の希望に即した形に変更すべきであろう。20歳から40歳までの結婚適齢期の男女にとって、非正規雇用では仕事の不安と低賃金にさいなまれ、結婚どころの話ではないのが実情だ。
10年前の財界は派遣社員制度を強烈に導入しなければ、日本経済の再生はないと力説していた。しかし、現実は、工場はみんな海外へ出て行ってしまった。企業は利益をより多く出すため労務コストを押さえ込みたいのが本音であるが、最低賃金と国内の労働力・技術力の需給バランスにより給与が決定している。景気が悪化すれば悪化するほど、失業率が高くなるように、労働力の需給バランスが崩れ、企業は賃金も含めあらゆるコストを削減させる。利益がある程度出ている企業であっても世間に連れてカットしてしまうのが日本である。
 

[ 2013年5月15日 ]
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