アイコン センカクをめぐる米政府の現在地

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0818_03.jpg沖縄への領土的野心を露骨にしてきた中国共産党、それは沖縄の翁長共産党県政と足並みを揃えたかのように、尖閣への領海侵犯を毎日、繰り返している。
そんな、今そこにある危機にたいして沖縄2紙も翁長知事もほとんど他人事のように沈黙している。秀逸のブログ(農と島のありんくりん)を紹介させて頂きます。

農と島のありんくりん
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センカクをめぐる米政府の現在地

仮にヒラリーが大統領になった場合、どのような尖閣への対応があるでしょうか。

 まずは、2010年ヒラリーが国務長官の初期に日本を訪問した際の、米軍のとある司令官のインタビューです。


実名、階級、職名などはわかりませんが、おそらく海兵隊の高位の司令官と思われます。

 タビュアー、「中国が尖閣を侵略した場合、第3海兵遠征軍はなにをするのでしょうか?」

「わかりません。それは政府が決めることです」
さらにインタビューアーはこう追及します。

「尖閣は日本の領土ですよ」

「うーん、それはアメリカ政府にとって議論の余地あるところです。そうとはいわないまでも、すくなくとも明確になっていません」
「司令官は、自衛隊が尖閣を守るのを、第3海兵遠征軍を支援するかどうか分からないということでしょうか」

 そのように命令されれば、第3海兵遠征軍は必ずそうします」
軍の司令官に聞くのが間違っているのです。

 インタビューも、実際はもっと長いもので、途中で司令官の苦慮を見かねた国務省のスタッフが助け船を出しています。
とまれこれでわかることは、「センカク」対応はイエスかノーかと簡単に答えられるようなシンプルなことではなく、デリケートな問題だと米政府も軍も考えているということです。

 では、尖閣諸島について、米国政府の見解の変遷を追ってみましょう。
さきほどの米軍司令官のインタビューより10年ほど前の1990年代、クリントン政権時の駐日大使ウォルター・モンデール(元副大統領)の発言です。

 尖閣諸島が第三国に攻撃を受けても、米軍は防衛には当たらない」
ほぼ同時期の、マイケル・グリーン元大統領補佐官の発言。
「同盟国間であっても領土紛争には不介入・中立の立場をとる」
 2008年から国務長官を務めた、ヒラリーの側近である、カート・キャンベルの発言。

 日本の施政権下にある領域(=尖閣諸島)で、いずれか一方に対する武力攻撃があった場合、共通の危険に対処するように行動することを宣言する」
2010年9月23日、訪米した前原外務大臣に対する、ヒラリー国務長官の発言。
「(尖閣諸島)は明らかに日米安保条約(第5条)が適用される」
安心してはいけません。

 これはあくまでも条約解釈上はそうだと言っているだけで、米政府が想定しているのは「いずれか一方に攻撃があった場合」です。
つまり尖閣周辺で、米国艦艇ないしは自衛隊に対して先制攻撃があった場合の話です。

 それがわかるのは2012年9月、野田政権の尖閣国有化後の日中冷戦についてのヒラリー国務長官の2014年6月の発言です。

 センカクの自衛のために、なにが必要なのかということについて、検討を進める際には、「もし我々がこのように行動したら、結果はどうなるのか」とか、「どのようなメッセージを送ることになるのか」と絶えず自問してほしい」
この発言は野田首相の国有化に対しての、強い不快感の表明と取られています。

 は野田首相が胡錦濤に事前通告した際に強い拒否があったことを無視して国有化を進めたこと、そして米国になんの事前の相談もなかったことに対してです。
米国と中国から見れば、尖閣問題の微妙なバランスを破壊する徴発行為が、日本側からあったと理解したようです。

 民進党さん、あなた方の政権が日中関係を冷え込ませ、さらには中国の尖閣海域への進出を合理化したのですからね。お忘れなく。
それはさておき、2012年12月2日。ヒラリーの個人用アドレスから流出したメールにあった、カート・キャンベルとのやりとり。

「日中は摩擦が長引けば、地域の安定を損なうとわかっていながら態度を硬化させている。(日中間の緊張を緩和させるために)双方の顔の立つ繊細な外交が必要だ」
それに対してのヒラリーの返信。

 「(日中調停交渉を)前に進めて下さい」
そして2012年10月、現実にリチャード・アミテージ元国務副長官、ヒラリーが駐日大使に推したジョセフ・ナイ元国防次官などで構成される派遣団が、東京と北京を往復するシャトル外交を展開しました。

そしてこの調停は不調に終わります。
その後にヒラリーは、オバマ政権発足当初の中国への楽観的・融和的なものから、慎重かつ、警戒的なものに変化します。

 その胸の内をキャンベルはこう代弁しています。

 中国がこの案件(尖閣についての領土主張)から下りないことがはっきりわかってから我々が(この問題に)出ていくべきだと思った。だからヒラリーも不快感を示し、センカク周辺での『力(軍事力)の表現と敵対的な行動』を心配している」
そして近年もっとも明確に、尖閣が日米安保の範囲内であることを言明したのは、2014年4月のオバマ訪日時の発言でした。

関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-e0a4.html
「日本の安全保障に対する米国のコミットメントは絶対的であり、(日米安保条約)第5条は尖閣諸島を含む日本の施政権下にあるすべての領域を対象としている。」
とりあえずこれが、ヒラリーの現在地です。

 この文言をそのまま信じるかどうかは、お任せします。
このように米国の「センカク」への対応は、揺れ動いているからです。
尖閣への米政府の発言も、どの時代に誰が言ったのか、その背景を見て判断してください。

よくテレビのコメンテーターで、「アメリカは尖閣について領土紛争には介入しない原則なので、手をだしませんよ」と言っている人を見ます。
確かに、1990年代から2010年前後の第1期オバマ政権までの米政府要人はそう言っていました。

しかし今まだそうか、と問われれは、違うと思います。そんなに単純ではありません。

 逆に、絶対的に在日米軍が、自衛隊と肩を並べて戦ってくれるかと言われれば、それほど楽天的になれる日本人は少ないでしょう。

要は米国の尖閣への関与は、状況次第なのです。
米国政府は、中国の出方、日本の対応、南シナ海情勢、アジア諸国、インド、そして米中間の状況などという多くの変数を考慮してセンカク対応を決しています。
日本政府が、「もし我々がこのように行動したら、結果はどうなるのか」「どのようなメッセージを送ることになるのか」を考えず、自国の論理だけで動いた場合は、在日米軍が動いてくれると思わないことです。
 ひとことで言えば、米国は揺れ動いているのです。
もし日本が中国の暴虐に対して軍事的反撃を試みようと考えて、なおかつ在日米軍の力を頼りにするなら、米国にとってウムを言えぬ状況を作りだすことです。
それしかありません。米国にとっての尖閣紛争介入の大義が必要です。それがないと、大統領は議会を説得できません。

 そのために法整備などやることが山積しているはずです。
ですから、単純に米国は尖閣に介入しない、あるいは必ずオバマ訪日時の「第5条の範囲内」という言葉を信じるのではなく、あくまでも私たち日本次第なのです。
原則に忠実に、ただし慎重に。

■お断り 大幅に加筆しました。午後6時
■参考文献 春原剛
・『ヒラリー・クリントン-その政策・信条・人脈-』
・冒頭の米軍ンインタビューのソース ロバート・D・エルドリッジ
『誰が沖縄を殺すのか』

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[ 2016年8月19日 ]

 

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