国連貿易開発会議(UNCTAD)は24日、2020年の海外直接投資(FDI)に関する報告書を発表し、対米FDIは前年比▲49%減の1340億ドルだったと明らかにした。対照的に対中FDIは同4%増の1630億ドルだった。
外国企業は、米国に背を向ける一方で、中国の拡大する経済や新型コロナウイルスに対するより優れた管理態勢を利用している。
報告書によれば、対中FDIが対米FDIを上回ったのは2020年が初めて。中国はいまや最も多くのFDIを引き受ける国となった。
米国をはじめ世界各地でFDIが落ち込んだのは、新型コロナウイルスによる影響が大きいが、米国への投資の減少は新型コロナウイルス流行のはるか以前から始まっていた。米商務省によれば、海外からの米国への投資は2015年の4400億ドルをピークに大きく落ち込んだ。
トランプ前大統領による独善的な通商政策が海外からの投資にとって打撃となった。特に中国からの投資は過去数年で大きく減少した。世界経済に対する不透明さの拡大も投資減少の要因となっている。報告書によれば、対米FDIで昨年最も大きな落ち込みをみせたのは卸売業や金融サービス、製造業といった分野。
一方、中国の爆発的な経済成長や新型コロナウイルスからの急速な復活がFDIの急増につながった。2020年の経済成長は、新コロナからいち早く抜け出し、世界の多くの国々がマイナスに落ち込むなか、中国は2.3%増だった。
全体的にみれば、2020年のFDIは▲42%の減少と1990年代以来の低水準となり、2008年から2009年にかけてのリーマンショックの世界金融危機の水準を▲30%下回った。