ベトナム南部ホーチミンに生産拠点を置くサムスン電子や韓国系中小企業が対応に追われている。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、最大都市ホーチミンが外出全面禁止措置を取ったからだ。
ホーチミン市は23日から市民の外出を全面禁止する完全封鎖措置を取った。
当初は9月15日まで生活必需品や医薬品を購入する場合を除き、通行を禁止することになっていたが、同市だけで新規感染者数が1日3000人を超えたことから、さらに徹底した措置を取った。ベトナム政府は封鎖期間中、軍を動員して食料の配給と防疫指導を行う。
サムスン電子はホーチミン市に、白物家電とTVの欧米や東南アジア向けの輸出用生産拠点を構えており、即刻打撃を受けることになる。
ベトナムではこうした外資生産工場の進出が非常に多く、日本からも多くの企業が進出している。
ベトナムは感染者が急増する中、政府はそうした工場の生産をストップさせないために工場逆封鎖により、従業員を工場内に寝泊りさせ、工場内のクラスター発生を押さえ込もうとした。しかし、現実はかえってクラスターが発生し、感染拡大を助長した。
また、事業者の負担も食事提供や寝泊りの施設設営、シャワー室の設営など負担も大きくなっていた。そうした隔離生活に嫌気した従業員たちの多くも辞めているという。そうしたことから、政府は工場の逆封鎖の強制を今般やめている。
すでにベトナムでは物流や交通は、道路の要所に関所を設け、自家用車は当然のこと、トラックであっても許可なく移動を制限してきている。
今回のホーチミン市は、外出禁止令、生産工場は事前に工場敷地内に従業員を確保して継続して行う計画。それでも生産に従事する人は大幅 に減少するという。
<サプライチェーンがいたるところで寸断>
日本の自動車の部品メーカーもベトナムでは大幅に生産がダウンし、サプライチェーン国のタイやマレーシアなども感染拡大、ベトナムからの部品供給が、タイや日本への供給が大幅に遅延する事態に陥っている。
今回のトヨタの生産工場の一時休業もベトナムなどからの部品供給が滞っていることによるものだ。
最近では、韓国は、国内の最低賃金大幅上昇により中小メーカーまでベトナムへ大量進出しており、サムスンに限らず大混乱に陥っている。