半導体の受託生産で世界最大手の台湾のTSMCは20日、1月~3月までの第一四半期決算を発表し、最終的な利益が2.1%の増加と小幅な伸びとなった。
世界的な半導体需要の減少による影響を受けた。
売上高は前年同時期比3.6%増の5086億台湾元(約2.23兆円)、最終的な利益は2.1%増k2069億台湾元(約9100億円)となった。
前3ヶ月までは好調な業績が続いていたが、新コロナ特需の反動と世界的な景気低迷により、売上高、利益とも1桁と小幅な伸びにとどった。
世界の半導体メーカーでつくる業界団体「WSTS」によると、今年1年間の世界の半導体の販売額は、新コロナをきっかけとしたテレワークの広がりや巣ごもり需要が一巡し、4年ぶりに減少に転じる見通しだという。
TSMCは「経済情勢の弱さと半導体の需要が軟化しており、その影響を受けた」と説明している。
魏哲家CEOは記者会見で「今年前半の売上高は昨年よりも減少するものの、後半は新製品の投入によって業績は前半よりも回復する」との見通しを示した。
<サムスン電子>
一方、世界最大のメモリ半導体生産会社の韓国のサムスンの第一四半期の業績は、半導体では▲4300億円の赤字を記録し、これまで減産しなかった半導体を減産すると発表している。汎用性もあるメモリ半導体はSKハイニックス、米マイクロンとも昨年秋から減産し、在庫減らしをしていたものの、最大の生産量を誇るサムスンが減産しなかったことから、価格の下げが止まらなくなっていた。
ただ、メモリ半導体の回復は在庫も抱え、早くて秋以降になると見られている。
サムスンは以前からシステム半導体の受託生産はしていたが小規模。2017年後半、メモリ半導体市場が軟化、そうしたところに巨大工場が完成、サムスンはそのラインをシステム半導体の受託生産に利用し、クアルコムやエヌディベアなどから大量受注、瞬く間に18%までシステム半導体のシェアを伸ばしていた。しかし、受託生産の専業のTSMCは顧客との信頼関係が濃く、試験ラインも充実、製造設計も1日の長があり、最近では、クアルコムやエヌビディアなどが最新の半導体をTSMCに発注している。サムスンではクアルコム製品で発熱問題も生じさせていた。
ただ、サムスンはシステム半導体でも2030年までに世界一になると宣言しており、システム半導体のファブレスメーカー(生産しないメーカー)は技術流出を恐れる可能性もあり、最新のシステム半導体は発注しにくい面もある。
23年第一四半期の決算は下旬に発表され、下記はサムスン発表の速報値となっている。
スマホは好調たが新製品効果であり、世界経済の状況からして通年は持たない。
スクロール→
サムスン電子の業績
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売上高
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営業利益
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営利率
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/億ウォン
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売上高
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前年比
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営利益
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前年比
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22年通期(過去最高)
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3,022,314
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8.1
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433,766
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-16.0
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14.4%
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22年4四半期(~12)
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704,600
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-8.0
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43,061
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-69.0
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6.1%
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うちDS半導体
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200,700
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2,700
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1.3%
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うちDXスマホ家電
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427,100
|
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16,400
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3.8%
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22年第1四半期(~3)
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777,800
|
19.0
|
141,200
|
50.5
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18.2%
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うちDS半導体
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268,700
|
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84,500
|
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31.4%
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うちDXスマホ家電
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480,700
|
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45,600
|
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9.5%
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23年第1四半期(~3)
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630,000
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-19.0
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6,000
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-96.0
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1.0%
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うちDS半導体(予)
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-43,000
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うちスマホ(予想)
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33,000
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うちディスプレイ(予想)
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12,000
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うち電装・家電(予)
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4,000
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