EV(電気自動車)用車載電池で世界最大手の中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が、中国国外での市場シェアを急速に伸ばしている。
韓国の市場調査会社のSNEリサーチのデータによれば、中国を除く世界の自動車工場で2024年1月にEV、PHV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)に組み込まれたCATL製の車載電池は計5.7GWh(ギガワット時)と、韓国のLGエナジーソリューションの計5.4GWhを初めて上回った。
CATLは中国市場の巨大な需要に支えられ、車載電池の世界シェアで7年連続の首位を独走している。だが、中国を除く世界市場では長らくLGエナジーソリューションの後塵を拝し、2023年の通年では0.8GWhの僅差で第2位だった。
それが2024年1月、ついに月次ベースで逆転を果たした。SNEリサーチの分析によれば、CATLに代表される中国の電池メーカーは海外市場を急ピッチで開拓しており、中国国外での販売の伸び率が中国国内を上回っているという。
※ 中国勢が海外市場で伸びているポイントは、EVが高価なことにある。
特に車両価格に占める電池価格の比重は25%~40%と高く、車両販売価格を下げられない原因となっている。
韓国勢3社の3元系(高価なN+Co)より2~3割安価なLFP電池(N+Co使用せず)にあり、LFPは高出力では劣るものの安全性は高く、走行距離は殆ど変わらなくなっている。これは長年LFP電池を進化させ続けてきた中国勢の開発力にあり、一方、韓国勢は進化したLFP電池技術を有していない。
BYDはEVを1万ドル~2万ドルまでに二車種市場投入し、同社の快進撃の原動力となっている。(2023年販売台数実績:テスラ180万台/BYD306万台)
世界の自動車メーカーも、中国製の車載電池の採用を増やしている。
例えば、韓国自動車大手の現代G(現代自+起亜)は最近、CATL製の車載電池を小型EVに搭載することを決めた。
これはLGエナジーソリューションやSKオンなどの本拠地である韓国においても、中国メーカーの影響力が増していることを示す象徴的な事例となっている。
中国の電池メーカーは海外市場での存在感を高めているが、同時に新たな難題にも直面している。
世界の自動車市場でEVの販売増加の勢いが鈍り、車載電池の搭載量の伸び率も減速に転じている。
SNEリサーチのデータによれば、中国を除く世界市場における車載電池の搭載量は、2017年から2023年にかけて年平均58.2%のペースで伸び続けていた。しかし2023年の単年では、前年比の伸び率が43.2%に低下。2024年1月単月では、前年同月比30.1%の伸びにとどまっている。
↓CATLの収益率の減速原因は、中国市場でBYDに負けたテスラにあるとされる。CATLはテスラに3元系とLFP系の両電池系統を供給している。BYDは中国の有力電池メーカーでもある。
韓国勢3社の昨年第4四半期は何れも売上高は前年同期比でマイナスとなっている。
現行、高価なEV価格を下げるにはLFP電池を搭載するしかない。
3元系はN+Coを使用する限り価格は資源相場に左右され。2027年予定の全固体電池も歩留まりや使用するレアメタル量により価格はさらに上昇する可能性もある。
充電時間問題もすでに3元系やLFPの電池で、12分で8割充電可能充電システムも開発されている。
以上、各種報道参照
スクロール→
CATL決算 /億元
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売上高
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純利益
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23年通期
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4,009
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22.0%
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441
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44.0%
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23/1~6
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1,892
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67.5%
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207
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2.5倍
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23/7~9
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1,054
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8.3%
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104
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10.7%
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・国内シェア39.4%、
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ベンツ(納品中)とステランティスと納品契約
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ドイツとハンガリーに工場建設中、ハンガリー100GWhと巨大
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サムスンSDI / 億ウォン↓共通
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売上高
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営業利益
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23年通期
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227,083
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12.8%
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18,080
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-9.7%
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23年第4四半期
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55,648
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-6.7%
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4,908
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-36.5%
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うち電池部門
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49,983
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-6.4%
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2,261
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-37.0%
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・スマホやタブレット・ノートパソコンや家電製品の充電用も多い
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LGエナジー(米IRA補助金が営業利益に)
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23年通期
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337,455
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31.8%
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21,632
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78.2%
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23年第4四半期
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80,014
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-6.3%
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3,382
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42.5%
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・GM・ホンダ・トヨタなどと合弁工場で組みEV用では最大
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SKオン(バッテリー部門)
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23年通期
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76,177
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-9,912
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SKイノベーション(連結親)
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23年第4四半期
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27,231
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-5.0%
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※1元は20~21円/1ウォンは0.11円前後
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